私たちの身の回りにたくさんあるスプレー。
前回のVol.3ではエアゾールがどのような製品に使用されているのか、「エアゾール」の「種類」について説明しました。
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生活に無くてはならないほど身近な製品となった、エアゾール(スプレー)。殺虫剤や消臭剤を使った人の中には、環境面への影響や可燃性ガスの安全性について意識したこともあるのではないでしょうか。
今回は、エアゾールが環境に与える影響や安全性を解説します。
エアゾールとは
エアゾールとは、スプレー容器の中にあるLPガスや窒素などの噴射剤により、内容液を霧状または泡状に噴出させる製品のことです。エアゾールは一般的に以下のようなパーツから成り立っています。
内容物を放出する部品がボタンとスパウトで、ボタンであれば霧状に、スパウトであれば泡状に噴出します。バルブも内容物を放出するための部品であり、気密性を保つのが役割です。ショルダーはバルブを隠し、デザイン性を高めます。
エアゾールの起源は虫よけスプレー(Bug bombs)と言われており、日本には終戦後に持ち込まれました。今や年間5億本も流通しており、家庭用品から工業用品まで私たちの生活を支えています。
ここまで普及した要因には、以下のようなエアゾール特有のメリットが関係しています。
・ボタンを押すだけで噴射できる
・密閉性が高いため、品質を長期間維持できる
・噴射パターンが選べる
・出したい量を調整しやすい
エアゾールが環境に与える影響は?
メリットの多いエアゾール製品ですが、噴射剤としてLPガスやフロンなどの様々なガスを使用しています。地球温暖化に対する意識が高まっている今、エアゾールも地球に優しい製品へ変化しているのをご存知でしょうか。
ここでは、エアゾールの噴射剤に使われる成分と、その影響について簡単に解説します。
噴射剤は「液化ガス」と「圧縮ガス」に分かれる
一般的に使われる噴射剤は、「液化ガス」か「圧縮ガス」のどちらかです。液化ガスの場合はLPガスやジメチルエーテル、フロン類、圧縮ガスの場合は炭酸ガスや窒素などが使用されます。
フロンには3種類あり、炭素にフッ素と塩素が結合したCFC(クロロフルオロカーボン)と、水素を含んだHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、塩素を含まないHFC(ハイドロフルオロカーボン)があります。
このフロンはオゾン層を破壊するとともに、温室効果ガスでもある化合物です。地球温暖化への影響が大きいものから順に挙げると、CFC、HCFC、そしてHFCであり、比較的影響が小さいHCFCとHFCは代替フロンとも言われています。
過去にはエアゾールの噴射剤としてフロンを使用していました。しかし、現在では生産規制や排出規制の対象となっており、近年では代替フロンよりさらに環境性に優れたHFO(ハイドロフルオロオレフィン)も開発されています。
一方、フロン類以外の噴射剤のジメチルエーテルやLPガス、窒素などは地球温暖化に影響の小さいグリーン燃料です。特にエアダスターには、炭化水素や二酸化炭素、アンモニアといった地球にやさしい「ノンフロン」も噴射剤として多く使用されています。
このような多方面での努力により、エアゾールが環境に与える影響は極めて小さいものになっているのが現状です。
ミタニでは安心安全なエアゾールを開発
私たちミタニは、ものづくりの企業としてサステナブルな製品を提供することを大切な価値観としています。エアゾール製品においても地球温暖化対策はもちろん、お客様の安全性も意識した製品を開発しています。
クリーンエネルギーのLPガスを使用
ミタニのエアゾール製品には、噴射剤にLPガスを使用しています。
家庭で使われることも多いLPガスは、石油や石炭などの化石燃料と比べ地球に優しいクリーンエネルギーです。「CO2排出量が少ない」「酸性雨やオゾン層破壊の原因にもならない」「ススの発生量が少ない」などのメリットがあります。
また、当社製品SWAYKでは、LPガスを使用するのではなく圧縮ガスにしたり、製造しやすい部品を採用したりすることで、CO2排出量の削減を実現しています。
安全性の高いエアゾールも登場
ミタニでは食品に対応した、まったく新しいエアゾールも開発しました。エアゾールのように噴射ボタンを押すと、調味料が均一に塗布される製品です。この食品対応エアゾールシステムでは、窒素ガスを使用しています。
先述のように、エアゾールの噴射剤にはLPガスやジメチルエーテルなどが一般的に使用されています。LPガスは圧力を一定に保てるなどメリットの多い一方で、可燃性のガスであり、運搬時や廃棄には十分な注意が必要です。
しかし、窒素ガスは不可燃性であるため、火元近くでの使用や廃棄時に爆発する危険性がなく安全にご利用いただけます。
当社はエアゾール業界のパイオニアとして、これからも「地球に優しく、使いやすい」サステナブルな製品を提供してまいります。