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プラスチックとは?
種類や特徴、環境問題を分かりやすく解説

私たちの身の回り品に欠かせないプラスチックは、ここ100年ほどで急速に普及した材料です。ミタニのエアゾールバルブやスプレー容器にも、プラスチックは多く使用されています。では、そもそもプラスチックとはどのような材料で、金属や紙に比べどのようなメリットがあるのでしょうか。本記事ではプラスチックの種類や特徴について簡単に解説します。


プラスチックとは?

プラスチックは合成樹脂とも呼ばれ、漆などの天然樹脂とは違い人工的に合成した樹脂です。食品容器や家電製品、自動車部品、医療機器、航空機と、至るところで使用されています。

プラスチックの原料は、原油から作られるナフサです。ナフサを加熱・分解して、エチレンやプロピレンといった基礎的な物質を取り出し、そこからプラスチックを合成します。例えば、エチレンの分子構造は炭素原子と水素原子から成り立っていますが、このエチレンを化学反応でたくさん繋げたものが、ポリエチレンです。ポリエチレンはよく使用するプラスチックの一種で、その代表はレジ袋です。

プラスチックの歴史は浅く、初めて作られたのは1907年とされています。そこからわずか100年ほどで多種多様なプラスチックが生まれ、私たちの生活に溶け込んだ材料となりました。

プラスチックは化学的に安定した材料のため、便利な反面、自然界では微生物に分解されずそのまま残ってしまいます。近年では、海洋プラスチックなど環境問題が取りざたされますが、今まさにリサイクル技術や微生物が分解できるプラスチックが開発されており、これからの技術進化が期待されているところです。

2022年4月、海洋プラスチックごみや気候変動問題などへの対応を目的に「プラスチック資源循環促進法」が施行されました。


プラスチックの種類

プラスチックは、「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」とに分けられます。

熱可塑性樹脂」は、固体の状態で熱すると溶け、冷却すると再び固まる性質があります。一方の「熱硬化性樹脂」は加熱すると固まる性質を持ちます。熱可塑性樹脂は加熱すれば何度でも溶けますが、熱硬化性樹脂は一度加熱すると元の状態には戻りません。

プラスチックとして主に使われるのは熱可塑性樹脂の方で、さらに汎用プラスチック汎用エンジニアリングプラスチック汎用エンプラ)、スーパーエンプラに区分されます。

汎用プラスチックは、耐熱温度100℃以下で、耐久性や衝撃強さなどの機械的な強度はそれほど高くありません。しかし、生産されるものの多くは汎用プラスチックであり、ポリエチレンやポリプロピレンが最も普及しています。

汎用エンプラは、耐熱温度が100℃以上のもので、耐久性は汎用プラスチックよりも高いことから、比較的厳しい環境での使用に適しています。防弾チョッキやヘルメットなどの素材であるポリアミド樹脂が有名です。

スーパーエンプラは、耐熱温度150℃以上のもので、高温環境で使用する部品に採用されています。一方の熱硬化性樹脂には、3Dプリンターの材料であるエポキシ樹脂があります。

熱可塑性樹脂の中でも最近注目を浴びているのが、生分解性プラスチックです。一般的なプラスチックと違い、生分解性プラスチックは微生物により二酸化炭素と水に分解されるため、地球に優しいと言えます。

生分解性プラスチックについてはこちらで紹介しています。


プラスチックの特徴

メリット

水に強く腐食しにくい

プラスチックは水をはじく性質があり、薬品をかけられても簡単に分解しない耐性があります。例えばレジ袋は雨に濡れても品物を守ってくれますが、紙袋では破れてしまいます。また、ブリキのバケツは屋外に放置すると錆びてしまいますが、ポリバケツは簡単には腐食しません。

安価で大量生産ができる

プラスチックは大量生産も可能であるため、製品を安価に提供できます。金属部品を加工する場合には、旋盤やNC装置を使って一つ一つ時間をかけて作り出します。0.1ミリという緻密な技術が必要であり、大量生産には向きません。しかし、プラスチック製品は主に射出成形とよばれる製法で作られており、製品の形状でできた金型の中に原料を流し込み、冷やし固めるだけです。わずか数秒で製品ができるため、大量生産には適しています。

軽量で衝撃に強い

プラスチック自体は軽量であるため、製品にしても持ちやすく扱いやすいのがメリットです。多少の衝撃ならキズがつかいないほどの衝撃強さもあります。ガラス瓶だと落としてしまえば割れますが、ペットボトルの場合は割れずに中身が漏れ出す心配がありません。

デメリット

熱に弱く燃えやすい

プラスチックは耐熱性では劣ります。特に熱可塑性樹脂の汎用プラスチックは、高温の環境下だと熱によって強度が落ち、変形する可能性もあります。

金属と比較して脆弱

一般的なプラスチックは、金属よりも脆い素材です。ただし、プラスチックの中にはガラス繊維を混ぜることで金属並みの強度を誇るものもあります。

環境問題

プラスチックは燃やすとダイオキシンを発生するほか、種類によってはビスフェノールAやホルムアルデヒドといった有害物質が含まれています。


ミタニで使用しているプラスチック

ミタニのエアゾールバルブやディスペンサーポンプにもプラスチックが使われています。ここでは、ミタニ製品ではどのようなプラスチックを採用しているかを紹介します。

ポリエチレン(PE)

ポリエチレンは現在、最も多く使用されているプラスチックです。単純な構造ですが、耐薬品性が高く、柔軟で、丈夫というのが特長です。ポリエチレンには、主に低密度ポリエチレン高密度ポリエチレンがあります。
低密度ポリエチレンは、薄いフィルムにすれば透明であるため、食品容器や食品ラップなどに広く使われています。
高密度ポリエチレンは、硬く耐薬品性も優れているため、化粧品やシャンプー容器に多く使用され、ミタニも採用しています。

ポリプロピレン(PP)

ポリプロピレンはポリエチレンよりも硬く、しなやかであるため曲げても簡単には割れません。ポリエチレンの次に多く使用されているプラスチックであり、繊維や粘着テープ、おもちゃ、台所用品など身近な製品でよく見かけます。
耐候性はあまり優れていないため、屋外用としては適していませんが、無色透明という特長があり、中身を確認する必要のある容器には欠かせないものです。

ポリアセタール(POM)

ポリアセタールはエンジニアリングプラスチックの一種で、非常に丈夫で、繰り返しの動作にも耐えられる強靭さを持ちます。ポリアセタールはホルムアルデヒドからできていますが、製造や使用方法を間違えてしまうとホルムアルデヒドが漏れ出す可能性があります。
ホルムアルデヒドは発がん性物質です。ミタニでは「環境や人体に優しい」サステナブルな製品を提供するため、素材の見直しを図っています。その一つとして進めているのが、ポリアセタールを使用しないPOMフリー化です。

香水ビン「LUNEX」は、ポンプ部品をPOMフリーにすることで、人体に影響のない製品としてお客様に提供しています。現在では厳しい法規制により、ホルムアルデヒドが漏れ出す危険性は極めて少ないですが、身近な製品をつくるミタニでは、より安全な素材を使うことを責務としています。


ミタニでは、既存の製品に対してもPOMフリー化を進めています。


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