ナフサは、化粧品容器やスプレー製品など、多くのプラスチック製品の原料となる主要な石油化学原料の一つです。そのため、ナフサの価格変動は、プラスチックを使用する化粧品容器や日用品などの製品コストにも影響します。
こうした原料価格の変動に対しては、調達面での対応だけでなく、製品開発の段階から樹脂使用量や部品構成を見直すことも一つの方法です。必要な機能や品質を維持しながら材料を効率的に使用することで、原材料コストの抑制や資源使用量の削減につなげられる可能性があります。
三谷バルブでは、軽量化やオールプラスチック設計などを通じて、資源使用量の削減と製品品質の両立を目指しています。本記事では、ナフサの基礎知識から、価格変動が製品に与える影響、設計による対応について解説します。
ナフサとは?石油から生まれるプラスチック原料としての基礎知識

ナフサは原油から取り出され、基礎化学品や樹脂などへの加工を経て、さまざまなプラスチック製品につながっています。化粧品容器やスプレー製品などに使用される、多くのプラスチックにつながる主要な石油化学原料の一つです。
ナフサをナフサクラッカー(熱分解設備)で分解すると、エチレンやプロピレンなどの基礎化学品が得られます。さらに、これらを原料として、PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)などのプラスチック樹脂が製造されます。
化粧品容器やスプレー製品などに使用される代表的な樹脂との関係を整理すると、以下のようになります。
| ナフサ分解後の主な化学品 | 代表的な樹脂 | 化粧品・スプレーでの主な用途例 |
|---|---|---|
| エチレン | PE(ポリエチレン) | チューブ容器・キャップ |
| プロピレン | PP(ポリプロピレン) | バルブ・ポンプ部品 |
参考:経済産業省
ナフサの主な用途と化学品サプライチェーンでの役割
ナフサは、プラスチックをはじめ、合成繊維や合成ゴムなど、さまざまな化学製品の原料として利用されています。
化粧品容器やエアゾール製品などに使われるプラスチックも、ナフサを起点とする化学品サプライチェーンを通じて製造されています。
製品になるまでの流れを簡単にすると、以下の関係になります。
” ナフサ → 基礎化学品 → 樹脂 → 成形部品 → 製品 ”
このように、ナフサは私たちが日常的に使用するプラスチック製品を支える、化学品サプライチェーンの上流に位置する原料といえます。
ナフサの価格はなぜ変動する?
ナフサの価格は原油価格の影響を受けやすく、産油国の増減産や世界的な需給バランス、精製設備の稼働状況など、さまざまな要因によって変動します。また、日本のナフサ価格は、原油価格だけでなく、為替や国内外の需給、輸入環境など、複数の要因の影響を受けます。
ナフサ価格が変動すると、その影響が基礎化学品や樹脂の価格に波及し、さらにプラスチック部品や製品のコストにも影響する可能性があります。
ナフサを取り巻く市場環境と石油化学産業の変化

ナフサは、プラスチックや合成繊維、合成ゴムなどの化学品をつくるための重要な原料です。日本の石油化学産業でも、ナフサを原料としてさまざまな製品が生産されています。
日本で使用されるナフサは、国内での精製に加えて海外からの輸入によって調達されています。そのため、原油価格だけでなく、国際的な需給や為替、輸送環境など、さまざまな外部要因の影響を受けます。
また、世界各国で脱炭素化やエネルギー転換が進むなか、石油化学産業では生産体制の見直しや、再生材・バイオマス由来原料など、原料を多様化する動きも進んでいます。
こうした環境変化は、ナフサの供給や価格を通じて、樹脂やプラスチック製品のコストにも波及する可能性があります。
参考:第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました│経済産業省
ナフサ価格の変動が化粧品・スプレー製品のコストに伝わる仕組み

ナフサ価格の変動は、最終製品の価格に直接反映されるわけではありません。原料であるナフサの価格変動が、基礎化学品や樹脂などの価格に影響し、それが部品や製品のコストへと波及していきます。
特に、化粧品容器やエアゾール製品では、ボトルやキャップ、バルブ、ポンプなどにプラスチックが使用されているため、樹脂価格の変動が部品コストに影響する場合があります。
” ナフサ価格の上昇 → 基礎化学品・樹脂のコスト上昇 → プラスチック部品のコスト上昇 → 製品コストへの波及 ”
このように、ナフサ価格の変動はサプライチェーンの各段階を通じて、最終的な製品コストにも影響する可能性があります。
樹脂価格の変化が部品コスト・製品原価に与える影響
ナフサ価格が上昇すると、樹脂メーカーの原料コストにも影響し、市場環境によっては樹脂価格の上昇要因となります。さらに、その樹脂を使って部品を製造する成形メーカーにもコスト増加の影響が及び、最終的には部品価格や製品原価にも波及します。
例えば、バルブやポンプなどの部品では樹脂が主要な材料として使用されるため、樹脂価格の変動は部品コストにも影響します。
化粧品・エアゾールメーカーにおける調達コスト管理の考え方
原料価格の変動に対しては、サプライヤーとの価格交渉や在庫管理など、調達面での対応も重要です。一方で、ナフサ価格のように市場環境によって変動するコストを、調達面だけで抑えるには限界があります。
そこで、製品開発の段階から樹脂使用量や部品構成を見直し、材料を効率的に使用するという考え方も選択肢になります。単に材料を安価なものへ置き換えるのではなく、軽量化や構造の見直しによって使用する樹脂そのものを減らすことで、原材料コストの低減につなげられる場合があります。
原料価格の変動と環境配慮に対応する設計アプローチ

ナフサ価格や供給環境の変化に対応する方法は、調達だけではありません。
製品開発の段階から、使用する樹脂の量や部品構成、製品サイズなどを見直すことも、原料コストや物流負荷を考えるうえで重要なアプローチです。
ここでは、代表的な設計方法を紹介します。
軽量化・薄肉化による樹脂使用量の削減
部品を設計する段階で、肉厚や形状、補強リブの配置、成形条件などを総合的に検討することで、必要な機能や強度を確保しながら、樹脂使用量を抑えられる場合があります。
例えば、必要以上に厚くなっている壁面を薄くしたり、補強リブ(型崩れを防ぐための突起構造)の配置を見直したりすることで、使用する樹脂量を抑えられる可能性があります。樹脂使用量の削減は、原材料コストの低減につながる設計上の選択肢の一つです。
構成する素材の単一化
異なる素材を組み合わせた製品では、部品ごとに異なる材料を使用するため、材料調達や組立、廃棄・リサイクルなどの面で複雑さが生じる場合があります。
そこで、機能を維持しながら異素材の部品を樹脂化し、製品全体の素材構成をシンプルにすることも、設計上の選択肢となります。
例えば、ディスペンサーポンプでは、従来、ポンプ機構のスプリングに金属が使用されることがあります。これを樹脂製スプリングに置き換えることで、主要な部材を樹脂で構成することができます。
このように、製品を構成する部品や素材を見直すことで、使用する材料を最適化し、原材料コストや資源使用量の削減につながる可能性があります。
輸送効率を高めるコンパクト設計
製品の小型化・軽量化は、輸送効率を高めるための設計アプローチの一つです。同じトラックや輸送コンテナにより多くの製品を積載できれば、一製品あたりの輸送コストを抑えられる可能性があります。
容器設計では、スタッキング性(製品を積み重ねやすい形状)や体積効率(容積に対して無駄なスペースが少ない設計)を考慮することで、積載効率の向上や物流負荷の低減につながる場合があります。
ナフサ由来素材とこれからのものづくり

ナフサ価格や供給環境は、原油価格や世界的な需給、為替、エネルギー政策など、さまざまな要因によって変化する可能性があります。
こうした変化に備える方法として、樹脂使用量や部品構成を見直すだけでなく、使用する素材そのものを見直すことも選択肢の一つです。
例えば、再生材やバイオマス材などを活用し、ナフサ由来素材への依存を見直す取り組みも進められています。
ただし、環境配慮素材は単純に従来の素材と置き換えればよいわけではありません。成形性や強度、耐久性、製品性能、量産性など素材ごとの特性を踏まえ、用途や要求性能に適した素材を選択することが重要です。
三谷バルブにおける素材評価
三谷バルブでは、製品の小型化・軽量化、樹脂スプリングを採用したオールプラスチックポンプなど、製品機能を維持しながら材料や部品構成を見直す開発を進めています。
環境配慮素材の種類や特徴、製品への活用に向けた三谷バルブの取り組みについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
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