2025年夏、茨城県五霞町の耕作放棄地から始まった本プロジェクト。五霞町の「ごかみらいLab」、地元のボランティアの方々が所属する6団体、そして三谷バルブが一体となり開発を進め、約1年にわたる取り組みを経て、ついに「ひまわりオイルスプレー」が完成しました。
本記事では、地域とともに歩んだ1年間の軌跡を、これまで公開してきた記事とともに振り返ります。一年間の歩みや、そこに込めた想いを一本の映像にまとめた動画もあわせてご覧ください。

「ひまわりオイルスプレー」プロジェクトの年間スケジュール

本プロジェクトは2025年6月に始まり、2026年4月の完成まで次のようなステップを経て、地域の方々とともに活動を積み重ねてきました。
【プロジェクトの流れ】
【夏:栽培・収穫】真夏の奮闘と、直面した大きな試練
本プロジェクトは、五霞町にある耕作放棄地から始まりました。
使われなくなった農地を再生し、社会的な価値を還元することを目指して、2025年に地域の皆さまとの協力のもと、6月にはひまわりの種まきを行い、プロジェクトの第一歩を踏み出しました。

8月には、耕作放棄地だった場所は、一面のひまわり畑へと生まれ変わりました。
初回となる8月号では、エアゾールスプレーやディスペンサーポンプなどの吐出部品を製造してきた三谷バルブが、なぜ「食」の分野への挑戦を始めたのか、そしてその先に何を目指しているのかをお届けします。
9月には手作業での収穫(採種)を行いましたが、ここでプロジェクト最大の試練に直面します。連日の想定外の雨に見舞われた結果、収穫した種のおよそ半分にカビが発生し、廃棄処分を余儀なくされました。
この予想外の出来事は、プロジェクト最大の危機でした。しかし、この経験がメンバー全員の「絶対に良いものを完成させたい」という想いを一つにしました。
9月号では、その裏側を詳しくご紹介します。
【秋〜冬:挑戦と搾油】IDSへの挑戦と、こだわりの「コールドプレス」

10月〜11月は、地域で生まれた製品として、デザインの価値も高めたいという想いから、茨城県内の優れたデザインを選定・発信する「いばらきデザインセレクション」への応募を見据え、容器デザインの方向性についてチーム内で検討を進めました。
なお、いばらきデザインセレクションには2024年にも挑戦しており、牛久市のなたね油を使ったオイルスプレー「うしくのなたね」が「製品・工芸部門」にて選定されています。
12月には、「いばらきデザインセレクション」の結果が発表されました。選定には至りませんでしたが、この挑戦を通じて、製品の機能だけでなく、その背景にあるストーリーや社会的価値をどのように伝えるかの重要性を改めて実感しました。
12月号では、この経験から得た気づきと、今後に向けた想いについて詳しくご紹介します。
2026年1〜2月は、次のステップである「搾油(さくゆ)」へと進みました。今回の搾油ではあえて手間と時間がかかる「コールドプレス(低温圧搾)」を採用し、素材本来の風味を活かすことを目指しました。コールドプレスとはどのような搾油方法なのか。詳細は、1〜2月号をご覧ください。
【春:充填・完成】完成したひまわりオイルスプレー。酸化を防ぐ「BOV技術」

3月から4月にかけて、完成したオイルを容器へ充填する最終工程を実施しました。
今回採用したのは、三谷バルブのBOV(Bag on Valve)技術です。
酸化を防ぐBOV技術が、品質を支える

今回採用したBOV技術は、オイルとガスを分離する二重構造が特徴です。酸化を抑えながら最後まで安定した噴射を実現します。
さらに、不可燃性の窒素ガスの使用により、安心安全に使用できるのもポイントです。
毎日の使いやすさを考えた「クノック」

食用油専用に開発したボタン「クノック」は、指先の押し加減ひとつで三種類の噴霧パターンに変えることが可能。
360度どの角度でも噴射でき、ワンプッシュ(1秒)で約2.5ml噴射できるため、油の使いすぎを防ぐ役割も果たします。
「ひまわりオイルスプレー」完成お披露目会の開催

4月に開催された完成お披露目会には、ご協力いただいたボランティアの方々をご招待しました。
このお披露目会では、ごかみらいLabに用意していただいた新鮮な地元野菜のサラダに、完成した「ひまわりオイルスプレー」を吹きかけたシンプルな軽食をご用意。スプレーの使いやすさや、ひまわりオイル本来の風味について、多くのご感想をいただきました。
当日の様子は、3〜4月号でご紹介します。
アンケートから見えた「スプレーフード」がもたらす新しい体験価値

お披露目会の参加者および三谷バルブ社員を対象にアンケートを実施したことで、この取り組みを通じて得られた学びや、今後に向けた新たな気づきが整理されました。
[お披露目会]ひまわりオイルスプレーの満足度評価

お披露目会にて完成した「ひまわりオイルスプレー」を実際にご使用いただいたボランティアの方々や関係者へのアンケートでは、満足度・今後の使用意向ともに100%と、高い評価をいただきました。
一方、「安心感」に関する評価は伸び悩みました。スプレーフードという新しいカテゴリーだからこそ、その特徴や価値をより分かりやすく伝えていく必要があることが明らかになりました。
[三谷バルブ社内モニター]ひまわりオイルスプレーの満足度評価

スプレーフードの精度を今後さらにアップデートしていくため、三谷バルブ社内でもオイルスプレーの使用感・満足度調査を実施。
半数以上が完成度に満足する一方で、スプレー荷重(スプレーを押した際の負荷)、ミストの幅・広がりなどは改善の余地があることも明らかになりました。
今回のアンケートを通じて、地域資源そのものの魅力だけでなく、パッケージや吐出技術など「どう届けるか」が、体験価値に大きく影響することを改めて実感しました。
いただいたご意見をもとに、三谷バルブではオイルスプレーをはじめとするスプレーフードの改良を進め、より使いやすく価値の伝わる製品づくりを目指していきます。
完成を迎えて。プロジェクトを牽引した「ふたりの本音」

プロジェクトを牽引した三谷バルブの麻生さんと、ごかみらいLabの関根さんに、1年間を振り返っていただきました。
Q:製品の完成を遂げた感想を教えてください。
ごかみらいLab・関根さん: とにかく一安心した、ほっとしたという一言に尽きますね。
初めての取り組みだったため、どういう結果になるのか予測不可能なままプロジェクトが進んでいました。
そして、ついに「ひまわりオイルスプレー」として完成した製品、そしてお披露目会にお越しくださった関係者の方々の姿を見て、温かい製品を作ることができたんだと実感しました。
地域の皆さまと同じ時間を過ごし、多くの思い出を共有できたことが、このプロジェクトで得られた何よりの財産だと感じています。
ありがとうございました!

Q.ひまわりオイルスプレー、そしてお披露目会どちらも無事に終わりましたね!
プロジェクトを終えた率直なお気持ちを教えてください。
三谷バルブ・麻生さん: 「もうちょっとこうした方が良かったよ」とか、「どういうパッケージの方が良かったよ」と本プロジェクトに関わってくださった関係者の皆さまに言われるのではないかと正直不安だったのですが……。
完成した製品を手に取った皆さまの反応を見たとき、スッとその不安がなくなりました。
皆さんと一緒に力を合わせてつくってきた、こだわりの詰まった製品が完成し、とても安心しました。本当にありがとうございました。すごく楽しかったです。

取り組みを通じて見えた、地域資源とスプレー技術が生み出す新たな価値の可能性

地域の皆さまと種まきや収穫などの活動をともにしながら、五霞町の耕作放棄地で育てたひまわりを採種・搾油し、三谷バルブのBOV技術を活用した「ひまわりオイルスプレー」として完成を迎えました。
この1年間の取り組みを通じて、地域課題に向き合いながら、自社技術を活かすものづくりの可能性を実感しました。こうした経験を糧に、三谷バルブは今後も地域やさまざまなパートナーとの共創を通じて、スプレー技術を活かした挑戦を続けていきます。
「ひまわりオイルスプレー」プロジェクトの歩みをまとめた記事では、各月の取り組みやプロジェクトの裏側も掲載しています。ぜひあわせてご覧ください。
本プロジェクトに関わってくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。








