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エコモジュレーションとは?EPR・PPWRとの関係とDfRによる環境配慮設計を解説

エコモジュレーション(Ecomodulation)とは、容器・包装のリサイクル性などに応じて、EPR(拡大生産者責任)のもとで生産者が負担する費用に差を設ける仕組みです。
リサイクルしやすい包装の負担を抑え、リサイクルしにくい包装の負担を大きくすることで、企業に環境配慮設計への転換を促します。
こうした考え方の背景にあるのが、製品の使用後まで生産者に一定の責任を求めるEPRと、EUで包装の資源循環を強化するPPWR(包装・包装廃棄物規則)です。
これからの包装設計では、素材そのものの環境性能だけでなく、

といった「設計」の視点が、これまで以上に重要になります。
本記事では、EPR・エコモジュレーション・PPWRの関係を整理したうえで、リサイクルを考慮した設計思想であるDfR(Design for Recycling)と、環境配慮設計がコストに与える影響について解説します。


エコモジュレーションを理解するためには、まずEPR(Extended Producer Responsibility:拡大生産者責任)を理解する必要があります。

EPRとは、製品を製造・販売する事業者に対して、製品が使用された後の回収やリサイクルなどについても一定の責任を求める考え方です。
生産者が使用後の段階にも関わることで、廃棄物処理だけではなく、製品をつくる段階から環境負荷を低減することを促します。

そして、EPR制度における生産者の費用負担に、製品や包装の環境性能を反映させる仕組みの一つがエコモジュレーションです。

たとえば、リサイクルしやすい包装と、複数の素材が複雑に組み合わされリサイクルしにくい包装が、同じように扱われるのではなく、そのリサイクル性能などに応じて負担額に差を設けます。

つまり、

EPR=生産者が使用後まで責任を持つ仕組み

エコモジュレーション=その費用負担を環境性能に応じて調整する仕組み

という関係です。環境配慮設計を「企業の自主的な取り組み」だけにするのではなく、費用面からも促すことがエコモジュレーションの特徴です。


エコモジュレーションと深く関係しているのが、EUのPPWR(Packaging and Packaging Waste Regulation:包装・包装廃棄物規則)です。

PPWRは、包装廃棄物の削減やリサイクルの促進、再生材利用などを通じて、包装の資源循環を強化するための規則です。
2026年8月12日から原則として適用が開始され、今後さまざまな要件が段階的に導入されていきます。
特に重要なのが、包装のリサイクル性能です。

PPWRでは、2030年以降、DfR(Design for Recycling:リサイクルを考慮した設計)に基づいて包装のリサイクル性能を評価し、A・B・Cなどの性能グレードで分類する枠組みが設けられています。
このリサイクル性能グレードが、生産者の費用負担にも反映されることが規定されています。

そのため今後は、

「規制を満たしているか」

だけでなく、

「使用後にどれだけリサイクルしやすい設計になっているか」

まで考えることが、包装設計やコスト面において重要になります。


DfRとは、製品が使用された後の回収・選別・分別・リサイクルまでを考え、リサイクルしやすくなるように設計段階から素材や構造を工夫する考え方です。

具体的には、次のような取り組みが考えられます。

従来の製品設計では、機能・品質・デザイン・価格などが主な検討項目でした。

これからはそこに、

「使用後にどのように処理されるか」

という視点を加えることが求められます。

環境配慮設計を進める際には、設計変更や金型製作、試作、性能評価など、新たなコストが発生する場合があります。
一方で、中長期的にはコストの最適化につながる可能性もあります。

ここでは、コストへの影響を大きく2つに分けて考えることができます。

一つ目が、 EPR、エコモジュレーションによる費用負担への影響です。

PPWRでは、包装のリサイクル性能に応じて、生産者の負担額が変わる仕組みが設けられています。
そのため、将来的にはリサイクルしやすい包装設計そのものが、制度上の費用負担にも関係する可能性があります。

これまで環境配慮設計は「環境負荷を下げるための取り組み」という側面が中心でしたが、今後は製品ライフサイクル全体のコストを考えるうえでも重要な設計要素になっていくと考えられます。

もう一つが、製品設計そのものを見直すことによるコストへの影響です。

例えば、軽量化や部品削減によって使用する材料が減れば、原材料コストの削減につながる可能性があります。
また、製品重量や梱包サイズを小さくできれば、物流効率の向上も期待できます。

さらに、異なる素材を減らしたり、分別しやすい構造にしたりすることで、使用後の選別・リサイクル工程を簡素化できる可能性があります。

環境配慮設計導入時に想定される負担期待できる効果
軽量化・薄肉化設計検証、強度試験材料使用量削減、輸送効率向上
部品点数削減構造設計、試作評価材料・組立工程の削減
モノマテリアル化材料変更、金型・性能評価分別・リサイクル性向上
異素材削減機能・耐久性の再検証リサイクル工程の簡素化
分解しやすい構造構造設計分別・選別の容易化

ただし、環境配慮設計を行えば必ずコストが下がるわけではありません。設計変更による初期コストや製品性能への影響も含めて、環境性能・品質・コストのバランスを検討することが重要になります。


日本では、欧州と同じ形でのエコモジュレーションが全面的に導入されているわけではありません。

一方で、プラスチック資源循環促進法では、製品をつくる段階から資源循環に配慮することが求められています。

プラスチック使用製品設計指針では、

などが、環境配慮設計の考え方として示されています。

制度の形は異なりますが、日本においても、「使用後の処理を考えて製品を設計する」方向へ変化しているといえます。


こうした資源循環への要求を踏まえ、三谷バルブでも、エアゾールバルブやディスペンサーポンプなどの吐出製品において、環境に配慮した素材や製品構造の検討を進めています。

DfRを実現するためには、単に環境配慮素材へ置き換えるだけでは十分ではありません。
素材を変更することで、吐出性能や耐久性、内容物との適合性、成形性などに影響する可能性があるためです。

三谷バルブでは、設計・金型・成形まで一貫して行う製造体制を活かし、素材だけではなく、部品構成や製品構造まで含めた環境配慮設計に取り組んでいます。

その一例が、オールプラスチックポンプです。

一般的なディスペンサーポンプには、金属やゴムなど異なる素材の部品が使用される場合があります。

そこで、異素材部品を減らし、樹脂部品を中心とした構造にすることで、使用後の分別やリサイクルのしやすさに配慮した設計を進めています。

オールプラスチックのポンプ

また、ゴムリングなどの異素材部品を使用しない構造についても検討することで、部品構成の簡素化やリサイクル性の向上を目指しています。

環境性能だけを追求するのではなく、ポンプとして必要な吐出性能や耐久性などの品質を維持することも重要です。
三谷バルブでは、DfRの考え方を取り入れた製品設計に加え、再生材やバイオマス素材などの環境配慮素材についても、製品化を見据えた評価・検証を進めています。

PPWRやEPRへの対応が進むなか、素材構成、部品点数、分別のしやすさ、材料使用量まで含めて設計する視点が、今後ますます重要になります。
三谷バルブでは、DfRの考え方を取り入れながら、オールプラスチック化、異素材部品の削減、軽量化、環境配慮素材の活用など、製品全体から環境性能を高める取り組みを進めています。

環境配慮素材への取り組みについて詳しくはこちら

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