私たちのようなモノづくり企業にとって、プロダクトデザインは非常に重要です。一般的に、デザインには見た目を整えるというイメージがありますが、プロダクトデザインにおいては、見た目以上にユーザーの使いやすさが重視されます。今回は、私たちミタニが大事にしているプロダクトデザインの考え方についてご紹介します。
プロダクトデザインとは?
自動車・家電製品・家具・食器・文房具・業務用品など、世の中にはさまざまなプロダクト(製品)があります。私たちミタニが作っているエアゾールバルブやディスペンサーポンプもプロダクトの一種です。プロダクトデザインとは、こういったあらゆるプロダクトをデザインすることを指します。
プロダクトデザインとよく似た言葉に、インダストリアルデザインがあります。2つの違いを簡単にまとめると次の通りです。
プロダクトデザイン:アート作品や手工芸品といった単品から大量生産を想定した工業製品まで、あらゆるプロダクトをデザインすること
インダストリアルデザイン:プロダクトデザインの中でも、工業部品・機械・自動車・家電製品といった工業製品をデザインすること
つまり、プロダクトデザインの中に、インダストリアルデザインが含まれているというイメージです。このように、プロダクトデザインとインダストリアルデザインは若干意味が異なりますが、プロダクトをデザインするという意味では共通しています。
プロダクトにおけるデザインとは?
次に、プロダクトにおけるデザインとは何かを考えていきましょう。
デザインは、英語で「Design」と書きます。日本語に訳すと「設計」という意味になるので、本来であればデザインと設計は同じ意味です。しかし、日本では見た目を整えることや、表面的な装飾を指してデザインという言葉を使うことが多くなっています。
プロダクトデザインにおいて、「美しい」「カッコイイ」「シンプル」といった見た目の良さはもちろん重要です。しかし、それ以上に重要なのは、ユーザーにとっての「使いやすさ」だと考えています。いくら見た目が良くても、使いにくくてユーザーがストレスを感じてしまうようでは、良いプロダクトとは言えません。特に、工業製品を扱うインダストリアルデザインの領域では、この傾向が顕著です。
プロダクトデザインは、プロダクトを実際に使用するユーザーの立場になって考えながら、形状や機能、素材、工法などを練り上げていく取り組みです。見た目のみを重視するわけではないことから、「Design」の本来の意味である「設計」に近い取り組みであるといえます。
良いプロダクトデザインをするためのポイント
良いプロダクトを生み出すためには、押さえておくべきポイントがいくつかあります。
コンセプトを定めてデザインする
良いプロダクトには、明確なコンセプトがあります。「なぜこのプロダクトを作るのか?」「どういったユーザーに届けるのか?」「何が売りのプロダクトなのか?」といったコンセプトを定めることから、製品開発が始まっていくものです。コンセプトが定まれば、そのプロダクトに求められる機能や使いやすさの定義も自ずと定まってきます。
素材や工法を熟知した上でデザインする
素材の選定は、プロダクトの見た目と機能の両方に大きく影響します。そのため、プロダクトデザインする人は素材の特性を深く理解していなければなりません。最近では、環境問題への関心が高まっており、環境や人体に優しい素材かという視点も重視されるようになってきました。
また、プロダクトデザインをする人は工法も熟知している必要があります。いくら見た目や機能に優れたプロダクトを考えたとしても、そもそも作るのが困難であったり、多大なコストがかかるようでは、良いプロダクトとはいえないでしょう。
人間工学的な視点を持ってデザインする
人間工学は、人が使うモノを人が使いやすいように設計・調整するための学問です。たとえば、人の手で持ちやすいのはどのような形か、どのような形であれば直感的に使えるのか、といったことが配慮されていないプロダクトは、ユーザーがストレスを感じてしまいます。場合によっては、ユーザーの安全性がおろそかになるかもしれません。
ユーザーの使いやすさを追求するのであれば、人間工学的な視点を持ってプロダクトデザインに取り組んでいくべきといえます。
ミタニにとってのプロダクトデザインとは?
私たちが作っているエアゾールバルブやディスペンサーポンプも、プロダクトデザインによって生み出されたモノです。ミタニでは、ユーザーが使いやすいプロダクトを日々追求しているだけでなく、環境への配慮といった+αの価値も付与したいと考え、プロダクトデザインに取り組んでいます。
最後に、ミタニのプロダクトデザインで生まれた製品をいくつかご紹介します。
SWAYK
SWAYKは、「カッコよくて地球にやさしい」をコンセプトにしたエアゾールバルブです。近未来的で完全オリジナルなデザインがユーザーに強い印象を与えますが、ボタンやスライドロック機構、ノズルなどの機能性を追求しており、使いやすさも抜群です。さらに、液化ガスを圧縮ガスに切り替えたり、ゴムリングを不使用にしたりしたことで、CO2排出量を最大90%削減するなど、環境にも配慮した製品となっています。
コンパクトトリガー Z-505
2002年に世界最小の汎用トリガーポンプとして生まれたコンパクトトリガーに、より選択肢が広がる0.5ml噴射の新型コアエンジンを開発しました。シンプルで洗練された見た目はそのままに、0.5ml噴射のロングストローク化に伴ってトリガーレバーの位置や握り幅を調整しており、より使いやすさを追求した製品に生まれ変わっています。また、幼児の誤飲防止や紛失防止の内蔵式ロックなど、安全面にも十分に配慮してデザインしています。
ハンディタイプの泡ポンプ
据え置き型の泡ポンプが多い中、手軽に使えるハンディタイプの泡ポンプを開発しました。オリジナルの機構により、ボトルのぎりぎりまで液体を入れても安定した泡を吐出することが可能です。指一本で押せるほどの柔らかさであるため、お子様や力のない方でも簡単に手から出せるようなデザインになっています。見た目もスリムでシンプルなのでインテリアの邪魔をすることなく、場所を選ばずに置くことができます。
他にも様々な製品がミタニのプロダクトデザインから生まれています