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EcoVadisとは?製造業が知るべき評価の仕組みと対応ポイント

EcoVadis(エコバディス)は、「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な調達」の4つのテーマから、企業のサステナビリティ(持続可能性)への取り組みを評価するサービスです。

企業が取引先を選ぶ際には、製品の品質や価格に加えて、工場の環境対策や働く人の安全、原材料の調達先への配慮なども判断材料になります。EcoVadisは、こうした情報を共通の枠組みで把握するために活用されています。

本記事では、EcoVadisの評価の仕組みや項目、製造業が対応を進める際のポイントを紹介します。

EcoVadisとは?基本的な仕組みと役割


EcoVadisでは、企業が環境や人権などに関する方針を定めているか、具体的な対策を実施しているか、その結果を把握しているかなどを評価します。評価結果は「スコアカード」という評価表にまとめられ、自社の強みや改善点の確認、取引先との情報共有などに活用されます。

EcoVadisの評価制度やサービスの詳細は、EcoVadis公式サイトでも確認できます。

EcoVadisが生まれた背景

2000年代以降、企業活動における環境問題や人権、労働環境などへの関心が高まり、欧米の企業を中心に、自社だけでなく取引先を含めたサプライチェーン全体での対応が求められるようになりました。

こうした背景の中、2007年にフランス・パリで誕生したのがEcoVadisです。

サプライチェーンにおけるEcoVadisの役割

サプライチェーンでは、製品を購入する企業(バイヤー)が、部品や材料を供給する企業(サプライヤー)に、EcoVadisの評価を受けるよう依頼することがあります。

バイヤーは評価結果を取引先の取り組みの把握に活用し、サプライヤーは自社の状況を説明する資料として利用できます。また、サプライヤー自身が強みや改善点を把握し、今後の取り組みを検討する際にも役立ちます。

EcoVadisの評価プロセス


登録から評価結果の確認まで

EcoVadisの評価は、主に以下の4段階で進みます。

まず、企業情報を登録します。企業の規模や業種、事業活動を行う地域などに応じて、質問票が設定されます。

質問票に回答し、環境方針や社内規程、実施記録、各種認証など、取り組みを裏付ける証明書類を提出します。質問数や内容は企業によって異なります。
回答に必要な情報は、環境管理、安全衛生、人事・労務、法務・コンプライアンス、調達など、複数の部門にまたがります。各部門で管理している方針や実施記録を持ち寄ることで、回答の準備を進めやすくなります。

回答内容と提出された証明書類は、EcoVadisの専門アナリストによって分析・評価されます。

結果は、企業のサステナビリティへの取り組みを示すスコアカードとして発行されます。なお、EcoVadisの評価は有料サービスであり、企業規模や登録プランなどによって費用が異なります。

スコアカードとメダル・バッジの授与基準

EcoVadisのスコアカードでは、企業のサステナビリティマネジメントの状況が0~100点で評価されます。一定の条件を満たした企業には、評価対象企業の中での順位などに基づいて、プラチナ・ゴールド・シルバー・ブロンズの4種類のメダルが授与されます。

2026年のメダル授与基準となる上位割合は、次のとおりです。

各企業が上位何%に位置するかは、スコアカードの発行時点で、過去12か月に評価された全業種の企業との比較によって決まります。ただし、順位だけで授与されるわけではありません。4つの評価テーマの得点や外部情報、事業活動などに関する資格条件を満たす必要があります。
また、メダルとは別に、一定の評価水準や改善状況を示した企業に対して「コミットメント」や「ファストムーバー」といったバッジが授与される場合があります。メダルやバッジの有効期間は12か月です。

なお、授与条件は定期的に見直されるため、最新の条件はEcoVadisの公式情報で確認できます。

※メダルやバッジは、企業のサステナビリティへの取り組みに対する評価を示すもので、個々の製品の環境性能を認証するものではありません。

EcoVadisの評価項目と採点の仕組み


EcoVadisの評価は、「何を評価するか」と「どのように取り組んでいるか」の2つの視点から構成されています。
「何を評価するか」を示すのが4つのテーマと21のサステナビリティ基準、「どのように取り組んでいるか」を確認するのが7つのマネジメント指標です。

ただし、21の基準すべてが一律に評価されるわけではなく、企業の業種や規模、事業活動を行う地域などに応じて適用される項目が異なります。

4つのテーマと21のサステナビリティ基準

各テーマに含まれる主な評価基準を、以下の表にまとめました。

テーマ評価基準
環境・エネルギー消費、温室効果ガス
・水
・生物多様性
・大気汚染
・原材料、化学物質、廃棄物
・製品の使用
・製品の使用後、廃棄
・顧客の健康と安全
・環境サービス、環境保護活動
労働と人権・従業員の健康と安全
・労働条件
・社会対話
・キャリア管理、研修
・児童労働、強制労働、人身取引
・多様性、公平性、包摂性
・外部ステークホルダーの人権
倫理・腐敗行為防止
・反競争的慣行
・責任ある情報管理
持続可能な調達・サプライヤーの環境慣行
・サプライヤーの社会慣行

7つのマネジメント指標と採点の仕組み

EcoVadisでは、企業の取り組みを「方針」「実施対策」「結果」の3つの柱から確認します。
これらを詳しく評価するために、7つのマネジメント指標が設けられています。

例えば、工場の省エネルギー対策では、エネルギー使用量の削減目標を定めることが「方針」、設備更新や運用改善が「措置」、電力使用量の記録や削減実績の公表が「報告」に当たります。

このように、方針を定めるだけでなく、実際に対策を行い、その結果を把握できているかが確認されます。なお、「範囲 ― 措置の展開」は大企業を対象とする指標であり、企業規模に応じて質問内容が異なります。

また、「360°ウォッチ結果」は、報道機関やNGO、公的機関などの外部情報をもとに、企業のサステナビリティへの取り組みや問題に関する情報を確認するものです。こうした情報が評価に影響する場合もあります。
EcoVadisでは、質問票への回答だけでなく、実際の活動を裏付ける証明書類や外部情報も評価に活用されます。

製造業に関係する主な評価内容


製造業では、工場での環境対策や従業員の安全衛生、原材料の調達先への配慮など、幅広い分野での取り組みが関係します。

ここでは、EcoVadisの4つの評価テーマについて、製造業との関係を紹介します。

環境への取り組み

EcoVadisの「環境」テーマでは、エネルギー使用量や温室効果ガスの排出、廃棄物・化学物質の管理など、企業活動に伴う環境負荷への対応が確認されます。

製造業では、工場での省エネルギーや廃棄物の削減、資源の有効活用などが身近な取り組みとして挙げられます。
また、事業内容によっては、原材料の選定や製品の使用・廃棄段階を考慮した環境配慮も関係します。

例えば、製品設計の段階では、次のような取り組みが考えられます。

  • モノマテリアル化:製品や包装を単一素材で構成し、リサイクルしやすくすることを目指す設計
  • 軽量化: 製品に使用する材料の量を減らし、資源使用量の削減を目指す設計
  • DfR(Design for Recycling): 使用後のリサイクルを考慮した製品設計

これらは、資源使用量の削減やリサイクル性の向上を目指す取り組みの一例です。
EcoVadisの評価では、設計手法の採用に加え、自社に適用される評価項目に沿って、取り組みの方針や実施内容、改善結果を資料で示すことが求められます。

DfRや、環境配慮を促す制度については、以下の記事で詳しく紹介しています。

労働と人権

「労働と人権」では、従業員の安全衛生、労働条件、差別やハラスメントの防止などが確認されます。

工場での作業安全や労働災害の防止、適切な労働時間の管理、従業員への教育などが重要な取り組みです。また、多様な人が公平な機会を得て、安心して働ける職場環境づくりも含まれます。

安全衛生に関する方針や教育記録、労働災害の発生状況、改善対策の記録など、継続的な取り組みを確認できる資料を整備しておくことが重要です。

倫理

「倫理」では、贈収賄などの腐敗行為や、競争を妨げる行為の防止、個人情報・機密情報の適切な管理などが確認されます。

企業として行動規範や社内ルールを定めるだけでなく、従業員への教育や相談・通報の仕組みなど、日常業務でルールを守れる体制を整えることが重要です。

製造業においても、取引先との公正な取引や、技術情報・顧客情報の適切な管理などが関係します。

持続可能な調達

「持続可能な調達」では、原材料や部品などの調達先に対して、環境や人権への配慮をどのように求め、確認しているかが評価されます。
例えば、サプライヤーへの調達方針の共有や、環境・人権に関する取り組み状況の確認、必要に応じた改善の働きかけなどが挙げられます。

自社の工場や製品だけでなく、原材料や部品の調達段階にも目を向けることが重要です。
こうした取り組みを通じて、サプライチェーン全体で環境・社会面への配慮を進めていくことが求められています。

製造業がEcoVadisへの対応を進める3つのステップ


EcoVadisへの対応は、現在の取り組みと、それを裏付ける資料を整理するところから始められます。
ここでは、現状の把握、資料の整備、改善の継続という3つのステップを紹介します。

STEP 1:自社の取り組みと課題を整理する

EcoVadisの4つの評価テーマに沿って、自社で実施している取り組みを整理します。

「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な調達」の各テーマについて、方針や社内ルール、実施記録、実績データなどがあるかを確認します。

活動は行っているが記録が残っていない、方針はあるが実施状況を確認できないといった課題が見つかるかもしれません。
自社に適用される評価基準と照らし合わせながら現状を整理することで、優先して取り組むべき課題が明確になります。

STEP 2:証明書類・実績データを整備する

EcoVadisでは、取り組みそのものだけでなく、それを裏付ける証明書類が重要です。

例えば、環境分野ではエネルギー使用量やCO₂排出量、廃棄物のリサイクル率などの定量データが考えられます。
また、環境方針、社内規程、教育記録、ISO認証、実績報告書なども、関連する取り組みを示す資料になります。

提出する資料には、評価対象の組織が実際に行っている活動を裏付ける、正式かつ最新の情報が求められます。質問票への回答だけを目的に作成した資料は、受け入れられません。
日常業務で使用している方針や規程、活動記録、実績データを、該当する質問と対応づけて整理します。

STEP 3:不足する取り組みを改善・継続する

現状の整理や評価結果から見えてきた課題に応じて、改善を進めます。

例えば、製造工程のエネルギー使用量の削減、従業員の安全衛生対策、社内ルールに関する教育、サプライヤーとの情報共有などが考えられます。

課題ごとに目標や担当部門を定め、実施内容と結果を振り返ることで、次の改善につなげられます。
環境面の改善例として、容器・包装の素材や構造を見直す方法もあります。化粧品・日用品容器の素材選定と設計の考え方は、以下の記事で紹介しています。

EcoVadisへの対応を継続的な改善につなげる

EcoVadisへの対応は、各部門で行っている活動や実績を整理し、取引先に伝える機会になります。スコアカードに示された強みや改善点を社内で共有することで、今後の取り組みの優先順位を考える材料にもなります。

三谷バルブでも、環境負荷の低減に加え、安全・安心に働ける職場づくりや人材育成、サプライヤーとともに進めるサステナビリティを経営課題に位置づけています。職場環境の改善やハラスメント防止に向けた教育、サプライヤー行動規範への回答収集などについて、目標と指標を定めています。

三谷バルブの方針や具体的な目標は、以下のページで紹介しています。

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