地球温暖化や海洋プラスチックごみ問題など、プラスチックにまつわる環境問題が注目を集めています。しかし、プラスチックは現代社会で幅広く使用されており、プラスチックを全く使わないというのは現実的ではありません。私たちのようなモノづくり企業にできることは、なるべく環境に配慮したプラスチックを使って環境に優しいモノづくりをすることだと考えています。では、環境に配慮したプラスチックとは一体どのようなものでしょうか?
1. 再生プラスチック
再生プラスチックとは、一度使用して廃棄されたプラスチックを再利用して作られたプラスチックのことです。環境配慮型プラスチックの中では最も歴史が古く、すでに多くの製品が再生プラスチックから作られています。
再生プラスチックを作る技術としては、「マテリアルリサイクル」と「ケミカルリサイクル」の2つが主流です。
マテリアルリサイクル
マテリアルリサイクルは、使用済みのプラスチックをそのまま原料にして新しい製品を作る技術です。たとえば、使用済みのペットボトルは分別回収された後に選別され、粉砕、洗浄、異物除去などの工程を経てフレークやペレットと呼ばれる再生プラスチックの形に生まれ変わります。この再生プラスチックから、トレイやフィルムなどの別のプラスチック製品が作られたり、繊維の形に変えて衣類が作られたりしているのです。ただし、マテリアルリサイクルで作られた再生プラスチックは新品に比べると品質が低下する傾向にあり、用途が限定されるというデメリットもあります。
ケミカルリサイクル
もう一つのケミカルリサイクルは、使用済みのプラスチックを化学的に分解して石油原料やモノマーまで戻し、新品と同等のプラスチック原料にする技術です。マテリアルリサイクルよりも新しい技術であり、種類の異なるプラスチックが混在していたり、異物や汚れがあったりしてもリサイクルできるという優れた特徴を持っています。ケミカルリサイクルの技術が発達したことで、使用済みペットボトルからペットボトルを作る「ボトルtoボトル」が実現し、話題になりました。
2. 生分解プラスチック
生分解プラスチックとは、使用中は通常のプラスチックと同じように使えて、使用後は自然界の微生物によって分解されて自然に還るプラスチックです。通常のプラスチックは人間が焼却するなどして処分しなければ分解されず、半永久的に自然の中に残り続けてしまいます。このプラスチックの特徴が、海洋プラスチックごみなどの問題を引き起こしているのです。
生分解プラスチックは、土壌や海中に存在する微生物によって最終的には水と二酸化炭素にまで分解されるため、自然環境への負荷が少ない材料として導入が進んでいます。特に、ワンウェイプラスチックなど使い捨てされやすい製品の材料を生分解プラスチックに置き換える動きが活発です。ほかにも、釣り糸や漁網といった自然に流出する可能性が極めて高い製品には、優先的に生分解プラスチックが導入されています。
深刻化する海洋プラスチックごみ問題や気候変動問題などへの対応を目的として、2021年6月4日 「プラスチック資源循環促進法」が成立しました。
3. バイオマスプラスチック
バイオマスプラスチックとは、生物由来の資源を原料にしたプラスチックのことを指します。現在は、サトウキビやとうもろこし、樹木といった植物を原料にしたものがよく使われています。生物由来であるがゆえに自然に還るものが多く、上述した生分解プラスチックと混同されがちですが、バイオマスプラスチックであっても自然に還らないものもあるので、両者は明確に区別されています。
バイオマスプラスチックは、通常のプラスチックのように石油を原料として使用していないため、枯渇する心配がないことが大きな特徴です。また、原料となる植物が育成過程で二酸化炭素を吸収していることから、製造過程や焼却処分時に二酸化炭素を排出しても二酸化炭素の増減に影響を与えません。この考え方は「カーボンニュートラル」と言われており、地球温暖化の抑制に貢献することができます。
ミタニの製品と環境配慮型プラスチック
私たちミタニは、すべての地球市民にとって最大のテーマである環境に配慮した製品づくりに積極的に取り組んできました。私たちが製造しているエアゾールバルブやディスペンサーポンプの材料として環境配慮型プラスチックを積極的に採用し、環境に優しいモノづくりを続けています。
サトウキビをポンプに変える
【ディスペンサーポンプ 】Z-1000-C
ディスペンサーポンプ Z-1000-Cの外装品の材料として、サトウキビからできたバイオマスプラスチックであるグリーンポリエチレンを採用しました。製造過程での二酸化炭素の排出量を抑えられるだけでなく、リサイクルも可能なため、環境に配慮した製品になっています。
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カッコよくて地球にやさしい
【エアゾールバルブ】SWAYK
スワイクのアタッチメントは完全プラスチック製であるためリサイクルが容易です。キャップのような取り外し可能なパーツがなく一体型なので、パーツの意図しない紛失によるマイクロプラスチックゴミの飛散がありません。
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プラスチックリサイクルシステム
「ミクスチャーサイクル」
ミタニでは、プラスチック部品を成形するときに発生するロス材を再利用できる取り組み「ミクスチャーサイクル」を始めました。社内リサイクルシステムを構築して、貴重なプラスチック資源を使い捨てることなく有効に活用できるようにしています。
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