梅雨や夏の突然の雨から大切な靴を守るために、防水スプレーは欠かせないアイテムです。正しい使い方をマスターすれば、お気に入りの靴を長く愛用できるでしょう。この記事では、防水スプレーの基本的な使い方から靴の素材別のポイント、使用時の注意点まで詳しく解説します。通勤・通学・旅行など、さまざまなシーンで靴を雨から守り、快適に過ごすためのヒントをお届けします。
防水スプレーの種類

防水スプレーには大きく分けてフッ素系とシリコン系の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。適切な製品を選ぶことで、より効果的な防水対策が可能になります。

防水スプレーの基本的な使い方

防水スプレーを効果的に使用するためには、正しい手順を守ることが重要です。適切な方法で使用することで、防水効果を最大限に引き出すことができます。以下の3つのステップを順番に実行することで、靴をしっかりと雨から守ることができるでしょう。
1. 汚れやほこりを落とす
防水スプレーを使用する前に、必ず靴の表面についた汚れやほこりを丁寧に取り除きましょう。汚れが残っている状態でスプレーをすると、防水成分が素材に浸透せず、効果が半減してしまう恐れがあります。
ブラシを使って靴全体の汚れを払い落とし、特に縫い目や装飾部分など、汚れがたまりやすい箇所は念入りに清掃します。布製のスニーカーの場合は柔らかいブラシを、革靴の場合は専用のブラシを使用するとよいでしょう。頑固な汚れがある場合は、専用のクリーナーを使って落としてから、完全に乾燥させることが大切です。

2. 適切な距離から均一にスプレーする
防水スプレーは、靴から約20〜30cm離して使用するのが基本です。この距離を保つことで、スプレーの成分が均一に広がり、ムラなく防水効果を発揮できます。
スプレーする際は、靴全体にまんべんなく噴霧することを心がけましょう。一箇所に集中してスプレーすると、素材が変色したり傷んだりする可能性があります。
靴を回転させながら、全体がしっとり濡れる程度に2〜3秒ずつスプレーし、これを2回繰り返すと効果的です。特に水が浸入しやすい縫い目部分は、忘れずにカバーすることが重要です。

3. しっかり乾燥させる
防水スプレーを噴霧した後は、風通しの良い場所で約10分以上乾燥させることが必要です。乾燥が不十分な状態で靴を履いてしまうと、防水効果が十分に発揮されません。
乾燥時間は素材や気温によって異なりますが、完全に乾くまで待つことが大切です。急いでいる場合でも、最低10分は乾燥時間を確保しましょう。乾燥が不十分だと、防水効果が低下するだけでなく、シミの原因にもなりかねません。

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防水スプレーを使い切った・古くなってもう使用しないという場合は、適切に処分することが大切です。
不適切な処分は火災や爆発事故につながる危険性があり、環境にも悪影響を及ぼす可能性があるため、中身とガスを全て出し切ってから廃棄することが重要です。
【靴の種類・素材別】防水スプレーをかける際のポイント

靴の種類や素材によって、防水スプレーの使い方には微妙な違いがあります。それぞれの特性を理解し、適切な方法で防水処理を行うことで、靴を長持ちさせることができます。以下では、布製スニーカー、革靴、スエード・ヌバック靴それぞれに適した防水スプレーの使い方を詳しく解説します。
布製スニーカーへの使い方
布製スニーカーは水を吸収しやすい素材のため、防水スプレーの効果が特に重要です。適切な処理を行うことで、雨の日でも快適に履くことができるようになります。以下のポイントを押さえて、効果的な防水対策を行いましょう。

靴ひもを取り外す
布製スニーカーに防水スプレーを使用する際は、まず靴ひもを取り外すことが重要です。靴ひもがついたままだと、その下の部分にスプレーが届かず、防水効果にムラが生じてしまいます。
靴ひもを外すことで、タン(足の甲の部分)や靴ひもを通す穴の周辺など、隠れた部分にも均一にスプレーできます。また、靴ひも自体も別途防水処理することで、全体的な防水効果を高めることができるでしょう。靴ひもは平らに広げてスプレーし、完全に乾燥させてから再度取り付けることをおすすめします。
足の甲の泥よけ部分もスプレーする
足の甲を覆う泥よけ部分(タン)は、雨水が浸入しやすい箇所の一つです。この部分は歩行時に曲がりやすく、水分を吸収しやすい特性があるため、念入りな防水処理が必要です。
タンの部分は他の箇所よりも厚みがあることが多いため、しっかりとスプレーを浸透させることが大切です。表面だけでなく、縫い目部分にも注意を払い、全体的に防水効果が行き渡るようにしましょう。この部分の防水処理を怠ると、雨の日に不快な思いをすることになりかねません。
白い靴底は変色の可能性がある
白い靴底(ソール)を持つスニーカーの場合、防水スプレーの商品によっては付着することで黄色く変色する可能性があります。この変色は一度起きると元に戻すことが困難なため、予防が重要です。
スプレーする際は、靴底にマスキングテープを貼るか、新聞紙などでカバーすることをおすすめします。万が一スプレーがかかってしまった場合は、乾く前にすぐにティッシュペーパーなどで拭き取りましょう。靴底は防水処理の必要がない部分なので、アッパー部分のみに集中してスプレーすることが大切です。
革靴への使い方
革靴は高価なものが多く、適切なケアによって長年愛用できる靴です。防水スプレーを正しく使用することで、雨による劣化を防ぎ、美しい状態を保つことができます。革靴特有の注意点を理解して、効果的な防水対策を行いましょう。

フッ素系の防水スプレーを選ぶ
革靴には必ずフッ素系の防水スプレーを選びましょう。フッ素系スプレーは革の通気性を保ちながら防水効果を発揮し、革本来の風合いを損なうことがありません。
シリコン系スプレーは革の表面に膜を作ってしまい、通気性が失われることで革が劣化する恐れがあります。また、油分がにじみやすく、シミの原因にもなりかねません。
フッ素系スプレーであれば、革に必要な通気性を確保しながら、水や汚れから守ることができるため、革靴の寿命を延ばすことにつながります。
靴クリームでのお手入れ後にスプレーする
革靴の防水処理は、靴クリームでのお手入れ後に行うのが最も効果的です。この順序を守ることで、革に栄養を与えながら、防水効果も得ることができます。
まず、汚れを落としてから靴クリームで革に栄養を与え、完全に乾燥させます。その後、防水スプレーを使用することで、クリームで整えた革の状態を保ちながら防水効果を付与できます。
ただし、革に膜を作るタイプの靴クリームを使用している場合は、古いクリームを除去してから防水スプレーを使い、その後に改めてクリームを塗るという手順が必要になることもあります。
エナメル革や爬虫類の革には使用不可
エナメル革や爬虫類の革(クロコダイル、リザードなど)には、防水スプレーを使用することができません。これらの特殊な革素材は、通常の革とは異なる表面加工や構造を持っているため、防水スプレーの成分が適さないのです。
エナメル革は表面に特殊なコーティングが施されており、すでに撥水性を持っています。この上から防水スプレーを使用すると、コーティングを傷める可能性があります。
また、爬虫類の革は独特のウロコ模様や質感が特徴ですが、防水スプレーの成分がこれらの繊細な表面を変質させてしまう恐れがあります。そのため、爬虫類系の皮に防水スプレーを使いたい場合は専用のスプレーを選ぶと安心です。
スエード・ヌバック靴への使い方
スエードやヌバックなどの起毛素材の靴は、独特の風合いが魅力ですが、水濡れによる影響を受けやすい素材でもあります。適切な防水処理を行うことで素材本来の美しさを保ちながら、雨から守ることができます。起毛素材特有の注意点を押さえて、効果的なケアを行いましょう。

新品の状態で防水スプレーをかける
スエードやヌバック靴は、新品の状態で防水スプレーをかけることが特に重要です。一度履いてしまうと、汚れが繊維に入り込み、防水効果が十分に発揮されない可能性があります。
新品時に防水処理を行うことで、繊維の奥まで防水成分が浸透し、長期的な防水効果を得ることができます。また、汚れがつきにくくなるため、日々のメンテナンスも楽になります。購入後すぐに防水スプレーを使用し、完全に乾燥させてから初めて履くことを習慣にしましょう。
フッ素系の防水スプレーを選ぶ
スエードやヌバック素材にも、フッ素系の防水スプレーが最適です。フッ素系スプレーは起毛素材の風合いを損なうことなく、効果的な防水性能を発揮します。
シリコン系スプレーを使用すると、起毛が固まってしまい、スエード特有のふわっとした質感が失われてしまいます。また、通気性が低下することで、革の劣化を早める原因にもなります。
フッ素系スプレーであれば、繊維一本一本をコーティングしながらも、素材本来の柔らかさと通気性を保つことができるため、長期的な使用に適しています。
均一にスプレーし色ムラが出ないよう注意する
起毛素材は色ムラが出やすいため、防水スプレーを使用する際は特に注意が必要です。一箇所に集中してスプレーすると、その部分だけ色が濃くなったり、質感が変わったりする可能性があります。
スプレーする際は、靴から30cm程度離し、素早く全体に行き渡るように動かしながら噴霧します。薄く何度も重ねるようにスプレーすることで、ムラなく仕上げることができます。また、スプレー後はスエード用のブラシで軽くブラッシングすることで、起毛を整え、より自然な仕上がりにすることができるでしょう。
防水スプレーを使用する際の注意点

防水スプレーは便利なアイテムですが、使用方法を誤ると健康被害や製品の劣化につながる可能性があります。安全かつ効果的に使用するために、以下の注意点を必ず守りましょう。正しい知識を持って使用することで、トラブルを避けることができます。
必ず換気を行う
防水スプレーには可燃性の高い有機溶剤やガスが含まれているため、必ず風通しの良い屋外で使用することが重要です。密閉された空間で使用すると、スプレーの霧を吸い込んでしまい、呼吸困難などの健康被害を引き起こす危険性があります。
屋外での使用が難しい場合でも、窓を全開にして十分な換気を確保することが必要です。また、火気の近くでの使用は絶対に避け、タバコやストーブなどから離れた場所で作業を行いましょう。マスクを着用することで、より安全に作業を行うことができます。小さなお子様やペットがいる場所での使用も避けることをおすすめします。
利用可能な素材かどうか確かめる
防水スプレーを使用する前に、必ずパッケージの表示を確認し、使用可能な素材かどうかを確かめることが大切です。素材によっては防水スプレーが適さないものもあり、誤って使用すると製品を傷める可能性があります。
不明な素材の場合は、目立たない部分でテストすることをおすすめします。靴の内側やかかとの下部など、普段見えない箇所に少量スプレーし、変色やシミがないか確認してから全体に使用しましょう。エナメル革、爬虫類の革、一部の特殊素材には使用できないことが多いため、特に注意が必要です。購入時に店員に確認することも有効な方法です。
一箇所に集中してスプレーしない
防水スプレーを一箇所に集中して噴霧すると、素材の変色や劣化の原因となります。スプレーの成分が過度に浸透することで、素材本来の風合いが損なわれたり、シミになったりする危険性があります。
適切な使用方法は、靴全体に薄く均一にスプレーすることです。手を一定の速度で動かしながら、全体をカバーするように噴霧しましょう。特に薄い生地や淡い色の素材は変色しやすいため、より慎重に作業を行う必要があります。必要に応じて、薄く何度も重ねることで、ムラのない仕上がりを実現できます。
靴は外側のみに使用する
防水スプレーは靴の外側(アッパー部分)のみに使用し、内側には絶対にスプレーしないことが重要です。内側に使用しても、足との摩擦によってすぐに効果が失われてしまい、意味がありません。
また、インソールや内部の素材が変色したり、劣化したりする恐れもあります。さらに、内側に防水処理を施すと、足の汗が逃げにくくなり、蒸れや臭いの原因にもなりかねません。防水効果は外側からの水の浸入を防ぐことが目的なので、内側への使用は避け、外側のみに集中して処理を行いましょう。
防水スプレーの効果の持続時間とスプレー頻度

防水スプレーの効果は永続的ではなく、使用状況や環境によって徐々に低下していきます。一般的に、フッ素系スプレーの効果は約1〜2週間程度、シリコン系でも1ヶ月程度で効果が弱まってきます。
効果的な防水を維持するためには、定期的な再スプレーが必要です。アウトドアやスポーツで頻繁に使用する靴の場合は、使用前日に毎回スプレーすることをおすすめします。普段使いの靴であれば、週に1回程度の頻度で十分でしょう。
また、使用しない期間が長い靴でも、月に1度はスプレーすることで、いつでも使える状態を保つことができます。雨の多い時期は頻度を上げ、乾燥した時期は頻度を下げるなど、季節に応じて調整することも大切です。
防水スプレーを正しく使って梅雨や夏場も快適に過ごそう
防水スプレーは、正しく使用することで靴を雨から守り、長持ちさせることができる優れたアイテムです。フッ素系とシリコン系の違いを理解し、靴の素材に適したスプレーを選ぶことが重要です。また、使用前の汚れ落とし、適切な距離からの噴霧、十分な乾燥時間の確保という基本的な手順を守ることで、効果を最大限に発揮できます。
素材別の注意点や安全な使用方法を心がけることで、お気に入りの靴を長く愛用できるでしょう。梅雨や夏の突然の雨にも慌てることなく、快適な毎日を過ごすために、防水スプレーを上手に活用してください。定期的なメンテナンスを習慣化することで、いつでも安心して外出できる準備が整います。
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