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【冬にスプレーが出ない!】原因と治し方|押しても出ない・詰まりの解消方法

冬になるとスプレー缶が突然出なくなり、困った経験はありませんか。実は、低温環境下ではスプレー缶の内圧が低下し、正常に機能しなくなることがあります。本記事では、冬場にスプレーが出なくなる原因と具体的な解決方法を解説します。塗料スプレーやヘアスプレーなど、あらゆる種類のスプレー缶で使える対処法をご紹介しますので、トラブルを抱えている方はぜひ参考にしてください。

まずは試して!スプレーが出ない時の症状別クイック診断


スプレー缶が出なくなった際は、まず症状を正確に把握することが大切です。症状によって原因と対処法が異なるため、以下の表で現在の状況を診断してみましょう。適切な解決策へスムーズにたどり着けるはずです。

症状考えられる原因解決策
全く音がせず、缶が冷たい低温による内圧低下▶︎ 対処法①:缶を室温に戻す を見る
「シュー」と音はするが、中身が出ないノズルや内部チューブの詰まり▶︎ 対処法②:ノズル部分の洗浄・交換 を見る
ボタンが固くて押せないボタン周りの内容物の固着▶︎ 対処法③:固まって押せないボタンの対処法 を見る
音もせず、缶も冷たくないガス抜け、または内部機構の故障▶︎ それでもダメな場合:処分の判断と安全な捨て方 を見る

なぜ?冬にスプレーが出なくなる3つの主な原因


冬場にスプレー缶が使えなくなるトラブルには、いくつかの典型的な原因が存在します。低温による物理的な影響から、使用方法に起因する問題まで、主な3つの原因を詳しく見ていきましょう。
原因を正しく理解することで、適切な対処が可能になります。

原因①:低温によるガス圧の低下

ボタンを押しても音がせず、缶が冷たい場合は、低温による内圧低下が原因です。スプレー缶にはLPG(液化石油ガス)やDME(ジメチルエーテル)といった噴射剤が封入されており、これらのガスが気化することで缶内に圧力が発生し、中身を押し出しています。

ところが気温が下がると、噴射剤は気化しにくくなるのです。LPGの沸点はマイナス42度程度と非常に低いものの、冬の寒い環境では気化速度が大幅に低下します。その結果、缶内の圧力が不十分となり、ボタンを押しても中身が噴射されなくなってしまいます。

「缶を触ると冷たい」「冬の屋外や暖房のない倉庫に保管していた」といった状況に心当たりがある場合は、この低温による内圧低下が原因である可能性が高いでしょう。

参照:LPガス安全委員会「LPガスとは?」

原因②:ノズルや内部チューブの詰まり

「シュー」とガスの音はするのに中身が出ない場合、ノズルの詰まりが疑われます。これは物理的な閉塞によるトラブルで、低温とは別の原因です。

塗料スプレーの場合は塗料成分が、ヘアスプレーの場合はセット樹脂が、ノズルの噴射口や内部のチューブで固まってしまうことがあります。使用後にノズル周辺を拭かずに放置したり、長期間使わずに保管していたりすると、こうした詰まりが発生しやすくなります。

厄介なのは、固まった成分がパイプやノズルの細い部分を完全に塞いでしまう点です。ガスの圧力はあるのに、液体の通り道が塞がれているため噴射できない状態になります。ホコリや空気中の微粒子がノズル内部に入り込み、それが核となって詰まりを引き起こすケースもあります。

原因③:ガスだけ抜けてしまった

缶を振ると「チャプチャプ」と液体の音はするのに、ボタンを押しても全く反応がないケースがあります。これはガスだけが抜けてしまった状態です。

スプレー缶は内容液と噴射用のガスが別々に封入されており、ガスの圧力で液体を押し出す仕組みです。缶に微細な傷があったり、バルブ部分の密閉が不完全だったりすると、ガスだけが徐々に漏れ出してしまうことがあります。また、垂直に立てて使用すべきタイプを斜めや逆さまにして使うと、液体ではなくガスだけが先に放出されてしまいます。

重要なのは、一度ガスが抜けたスプレー缶を元通りに復活させる安全な方法は存在しないということです。これは炭酸が抜けたコーラに後から炭酸だけを足せないのと同じ原理でしょう。

この場合の唯一の対処法は、中身を安全な方法で出し切ってから、自治体のルールに従って正しく処分することです。

関連記事:スプレー缶の使い方完全ガイド:倒立使用や振る・振らないの違いを徹底解説!

【実践】出ないスプレー缶の直し方・詰まり解消法


原因が分かったところで、具体的な解決方法を見ていきましょう。症状に応じた適切な対処を行えば、多くのケースでスプレー缶を復活させることができます。以下で紹介する方法を、状況に合わせて試してみてください。

対処法①:缶を室温に戻す

低温が原因でスプレーが出ない場合、最も効果的かつ安全な対処法は、缶を室温に戻すことです。冷えた缶を暖かい部屋に持ち込み、20度前後の環境で30分から1時間程度放置してください。

室温に戻した後、再度使用を試みても改善しない場合は、購入店舗またはメーカーのお問い合わせサポートに連絡することをおすすめします。初期不良や製品の問題である可能性も考えられるためです。

ここで絶対に注意していただきたいのが、急激な加熱は絶対に避けるということです。スプレー缶を高温にすると、内部のガスが急激に膨張し、缶が破裂する危険性があります。ストーブやファンヒーターの前に置く、熱湯につける、ドライヤーで温めるといった行為は、重大な事故につながる恐れがあるため厳禁です。

対処法②:ノズル部分の洗浄・交換

ノズルの詰まりが原因の場合、洗浄によって解消できる可能性があります。まずノズル部分を缶本体から取り外しましょう。

取り外したノズルは、40度程度のぬるま湯に5分から15分ほど浸けてください。この間に固まっていた成分が柔らかくなります。その後、綿棒や濡れたタオルで噴射口周辺をやさしく拭き取り、水気をしっかり拭き取ってから缶に戻します。

製品の種類によっては、より効果的な洗浄液があります。塗料スプレーの場合は塗料用のうすめ液、ヘアスプレーの場合はエタノールを使用すると、固まった成分をより確実に溶かすことができます。ただし洗浄液を使用する際は、換気の良い場所で作業し、手袋を着用するなど安全に配慮してください。

針やピンで穴を突いて詰まりを解消する方法を聞いたことがあるかもしれません。しかしこの方法はノズルを破損させるリスクが高く、推奨できません。

対処法③:固まって押せないボタンの対処法

ボタン自体が固着して押し下げられない場合の対処法を紹介します。これはボタンの隙間に内容物が入り込んで固まってしまった状態です。

ノズル周辺をぬるま湯で温めたり、少量の溶剤を含ませた布で拭き取ったりすることで、固着を解消できる場合があります。注意していただきたいのは、力任せにボタンを押し込もうとしないことです。無理に力を加えると、バルブ機構が破損して修復不可能になる恐れがあります。

特に長期間放置していたスプレー缶では、内部のゴムパッキンなども劣化している可能性があるため、慎重に作業を進めてください。固着がひどく、穏やかな方法で解消できない場合は、無理に使用せず処分を検討することも選択肢の一つです。

関連記事:スプレー缶が出ない!|原因や固まって出ないノズルの目詰まり解消方法

【予防策】スプレーを長持ちさせる正しい使い方・保管方法


トラブルを未然に防ぐための知識を身につけておきましょう。日頃から適切な使用方法と保管方法を実践することで、スプレー缶を最後まで快適に使い切ることができます。
スプレー缶を長持ちさせるための主なポイントは以下の通りです。

使用後は必ずカラ吹きを行う

使用後、缶を逆さまにして1秒程度噴射することで、ノズル内部の液体を排出できます。これにより次回使用時の詰まりを大幅に予防できます。

保管場所に気をつける

高温多湿や直射日光を避け、室内の涼しい場所で保管してください。冬場でも暖房器具の近くは避け、極端な温度変化のない場所を選びましょう。

正しい向きで保管する

横向きや逆さまでの保管は避け、必ず垂直に立てて保管します。これによりガスと液体が適切に分離され、次回使用時にスムーズに噴射できます。

使用前によく振る

特に塗料スプレーの場合、缶内で内容物が分離していることがあります。使用前によく振ることで、均一な噴射が可能になり、詰まりの予防にもつながります。

使用後はキャップを確実に閉める

キャップはノズルを保護し、内容物の乾燥を防ぐ重要な役割を果たしています。特に乾燥しやすい冬場は、使用後すぐにキャップを閉めることを習慣づけましょう。

それでもダメな場合:処分の判断と安全な捨て方


あらゆる対処法を試しても改善しない場合は、安全な処分を検討する時期です。スプレー缶は誤った方法で処分すると、火災や爆発事故の原因となる危険性があります。

中身が残ったままのスプレー缶は、多くの自治体でそのままごみ収集に出せません。風通しの良い屋外で火気のない場所を選び、中身を出し切る必要があります。消臭スプレーなどは空気中に放出し、塗料は新聞紙に吸収させる方法が適しています。

ガス抜きキャップを使用すると、より安全にガスを抜くことができます。缶を振って音がしなくなれば空の証拠です。その後の処分方法は自治体によって異なるため、必ずお住まいの地域のルールを確認してください。

より詳しい処分方法については、以下の記事をご覧ください。

関連記事:中身があるスプレー缶の捨て方|ガス抜き・処分方法を解説

動画リンク先: [一般社団法人日本エアゾール協会]

スプレーが出ない時に関するよくある質問


スプレー缶のトラブルに関して、多くの方が疑問に感じる点をまとめました。安全で適切な対処を行うための参考にしてください。

Q1. 新品のスプレーが最初から出ない原因は?

新品のスプレーが最初から出ない場合、初期不良または冬場の輸送・保管中に缶が冷え切っている可能性が考えられます。製造過程での不具合によりバルブ機構が正常に作動しないケースでは、他の対処法を試しても改善しない可能性が高いでしょう。

一方、屋外倉庫で保管されていた商品や寒冷地から配送された商品では、缶内のガス圧が極端に低下していることがあります。まずは缶を常温(20度前後)に戻し、30分から1時間程度放置してから再度試してみてください。

それでも改善しない場合は、購入レシートを持参して購入店舗に相談するか、製品に記載されているお客様相談室に問い合わせることをおすすめします。初期不良であれば、新品と交換してもらえる可能性があります。

関連記事:スプレー缶が出ない!|原因や固まって出ないノズルの目詰まり解消方法

Q2. 中身が残っているのに出なくなったスプレー缶の捨て方は?

中身が残っているのに出なくなったスプレー缶を処分する際は、まず安全にガス抜きを行う必要があります。作業は必ず風通しの良い屋外で、火気のない場所を選んでください。

製品に付属しているガス抜きキャップを使用すると、安全にガスを抜くことができます。ガス抜きが完了したら(缶を振って音がしなくなったら)、お住まいの地域の自治体のルールに従って処分してください。自治体によって穴開けの要否や分別区分が異なるため、不明な点は必ず確認しましょう。

どうしても自分で処理できない場合や大量のスプレー缶を処分したい場合は、不用品回収業者に相談する選択肢もあります。業者によっては中身が残ったままでも回収可能な場合があります。

関連記事:中身があるスプレー缶の捨て方|ガス抜き・処分方法を解説

Q3. スプレー缶を温めるのは危険ですか?

スプレー缶を「温める」行為は、方法によっては非常に危険です。急激な加熱は絶対に避けなければなりません。

直火、ストーブ、ファンヒーター、熱湯、ドライヤーなどでの加熱は、缶内のガスが急激に膨張して破裂する危険性があり厳禁です。実際に暖房器具の近くに置いたスプレー缶が破裂し、火災や怪我につながった事故が数多く報告されています。

推奨される方法は「温める」のではなく「室温に戻す」ことです。冷えたスプレー缶を20度前後の室内に持ち込み、自然に温度が上がるまで待つ方法であれば安全でしょう。

急がず、30分から1時間程度かけてゆっくり室温に馴染ませてください。それでも改善しない場合は、購入店舗またはメーカーのお問い合わせサポートへ連絡することをおすすめします。

まとめ:正しい知識で、冬のスプレーも快適に使おう

冬場にスプレーが出なくなる原因は、低温による内圧低下、ノズルの詰まり、ガス抜けの3つが主なものです。症状を正確に診断し、適切な対処法を選択することで、多くのケースで問題を解決できます。

重要なのは、急激な加熱など危険な方法を避け、安全に配慮しながら対処することです。室温に戻す、ノズルを洗浄するといった穏やかな方法を優先し、それでも改善しない場合は専門家に相談しましょう。

そして何より、信頼できる品質のスプレー製品を選ぶことが、快適な使用体験につながります。三谷バルブは、1956年の創業以来、エアゾールバルブの国産化を実現し、日本のスプレー文化を支えてきた老舗メーカーです。

「一貫生産体制」による高品質な製品づくりと、環境に配慮した製品開発に積極的に取り組んでいます。冬場でも安定した性能を発揮する、信頼性の高いスプレー製品をお探しの方は、ぜひ三谷バルブの製品をご覧ください。

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