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再生プラスチックとは?種類や用途・メリット・デメリット・製品例を紹介

プラスチックは私たちの生活に欠かせない素材ですが、一方で環境にも大きな影響を与えている素材です。そこで注目されているのが「再生プラスチック」です。
再生プラスチックの定義や特徴、その種類と用途、さらに具体的な製品例など、幅広く解説します。
環境に配慮した製品選びや企業の取り組みに関心のある方は、ぜひご覧ください。


再生プラスチックとは

再生プラスチックは、私たちの身近に存在しながら、その詳細を知る機会は少ないかもしれません。環境問題への対策として、再生プラスチックの重要性は日増しに高まっています。まずは、再生プラスチックの基本的な概念と、通常のプラスチックとの違いについて説明します。

再生プラスチックの定義と特徴

再生プラスチックとは、一度使用して廃棄されたプラスチックを原料として、新たに作られたプラスチックのことを指します。その製造プロセスには、主に「マテリアルリサイクル」と「ケミカルリサイクル」という2つの手法が用いられます。

マテリアルリサイクルは、廃プラスチックを物理的に処理して新たな製品を作る方法です。一方、ケミカルリサイクルは、プラスチックを化学的に分解して原料に戻し、それを使って新しい製品を作る方法です。

再生プラスチックの主な特徴は、天然資源の消費を抑えて廃棄物を減らし、海洋汚染の防止にも貢献できる点です。また、CO2排出量の削減にも効果があることから、環境負荷の低減に大きく寄与します。

再生プラスチックが求められる社会的背景

再生プラスチックの需要が高まっている背景には、深刻化する環境問題があります。プラスチックの大量生産、大量廃棄は、特に海洋汚染やCO2排出量の増加といった国際的な課題を引き起こしています。日本では、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しており、 その中で再生プラスチックの活用は重要な役割を果たします。

日本の2021年の廃プラスチック総排出量は約824万トン に達し、そのうち再生利用されたのは約25%にとどまっているのが現状です。また、2023年に発表された「新たな循環型社会形成推進基本計画の策定のための具体的な指針」では、プラスチック資源の回収量倍増が明記 されるなど、国レベルでも再生プラスチックの活用推進が求められています。

このように、環境保護や持続可能な社会の実現に向けて、再生プラスチックの需要は今後さらに高まっていくと予想されます。

参考:一般社団法人日本有機資源協会|プラスチック資源循環法の制定をはじめとする最近の動向


再生プラスチックの種類と用途

再生プラスチックの主な種類と、それぞれの特徴や主な用途は以下のとおりです。

種類概要主な用途
PET(ポリエチレンテレフタラート)強度と透明性に優れた樹脂ペットボトル、繊維製品、食品包装フィルムなど
PP(ポリプロピレン)耐熱性と耐薬品性が高い樹脂安価なプラスチック製品(バケツ等)、自動車部品、医療機器など
PE(ポリエチレン)柔軟性と耐水性に優れた樹脂ポリ袋、食品の保存容器、食品用ラップ、人工芝など

以下で詳しく解説します。

PET(ポリエチレンテレフタラート)

PETは、強度と透明性に優れた再生プラスチックで、主にペットボトルや繊維製品に使用されています。リサイクルプロセスとしては、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの両方があります。

マテリアルリサイクルでは、回収したペットボトルを洗浄・粉砕し、新たな製品の原料として使用します。一方、ケミカルリサイクルでは、PETを化学的に分解して原料に戻し、再びPET樹脂を製造します。

PETをリサイクルする際の課題は、異物混入による品質低下や、色付きPETのリサイクルの難しさなどが挙げられます。しかし、技術の進歩によりこれらの課題は徐々に解決されてきています。

PP(ポリプロピレン)

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PPは、耐熱性と耐薬品性に優れた再生プラスチックで、主にバケツなどの安価なプラスチック製品、自動車部品、医療機器などに使用されています。リサイクルプロセスは主にマテリアルリサイクルが用いられ、回収したPP製品を洗浄・粉砕し、新たな製品の原料として使用します 。

PPの特徴は、他の再生プラスチックと比べて軽量で成形しやすい点です。一方で、異種プラスチックとの分別が難しい点や、リサイクル過程での物性劣化が大きな課題となっています。これらの課題を解決するために、高度な選別技術や添加剤の開発などが進められています。

PE(ポリエチレン)

PEは、柔軟性と耐水性に優れた再生プラスチックで、主にポリ袋、食品の保存容器、食品用ラップ、人工芝などに使用されています。リサイクルプロセスは主にマテリアルリサイクルで、PPと同様、回収したPE製品を洗浄・粉砕して新たな製品の原料として使用します。

PEは化学的に安定しており、さまざまな形状に加工しやすいというメリットがありますが、こちらも異物混入による品質低下、高密度PEと低密度PEの分別の難しさなどが課題です。高度な選別技術の開発、リサイクルしやすい製品設計の推進などが求められます。


再生プラスチックを利用するメリット

再生プラスチックを利用する主なメリットは以下の3点です。

  • 新たな資源として有効活用できる
  • 企業イメージの向上につながる
  • 廃棄コストを削減できる

それぞれについて詳しく解説します。

新たな資源として有効活用できる

再生プラスチックは、廃棄物を新たな資源として有効活用する循環型経済の象徴です。使用済みプラスチックを回収し、適切な処理を経て再生することで、石油由来の新規プラスチック生産を抑制できます。これにより、天然資源の消費を減らし、環境保護に貢献します。

例えば、ペットボトルを再生PET繊維として衣料品に使用したり、廃棄プラスチックを建築資材やパレットに再利用したりする事例が増えています。このような取り組みは、資源の有効活用だけでなく、CO2排出量の削減にも寄与し、持続可能な社会の実現に向けた重要な施策となっています。

企業イメージの向上につながる

再生プラスチックの利用は、企業の環境配慮への姿勢を明確に示す効果的な方法です。環境問題への関心が高まる中、消費者や取引先は企業の環境への取り組みを重視しています。例えば、有名な飲料メーカーでは、再生PETボトルを採用したことで、年間約35,000トンのCO2排出量削減を実現し、消費者から高い評価を得ています。

また、再生プラスチック利用はSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に直接関連し、ESG投資の観点からも企業価値向上につながります。このように、再生プラスチックの活用は、環境保護への貢献だけでなく、企業の競争力強化にも寄与する重要な戦略となっています。

廃棄コストを削減できる

プラスチック廃棄物処理には、収集・運搬、中間処理、最終処分などの費用がかかります。環境省の調査によると、2017年から2022年の間に中間処理業の69.8%、最終処分業の56.3%で処理費用が増加しています。再生プラスチックの利用は、これらの廃棄コストを大幅に削減できる可能性があります。

例えば、社内でプラスチック廃棄物を再生利用することで、外部への処理委託費用を削減できます。また、再生プラスチック製品の販売による収益も期待できます。長期的には、廃棄物処理施設への投資や維持管理費用の削減、環境規制への対応コストの低減にもつながります。

このように、再生プラスチックの活用は、環境保護と経済性を両立させる有効な手段となっています。

参考:環境省|国内の廃プラスチック類の処理に関する状況調査結果~令和4年度~(概要版)


再生プラスチック使用のデメリットと課題

再生プラスチックの使用には多くのメリットがある一方で、少なからずデメリットや課題も抱えています。主なデメリット・課題は以下のとおりです。

  • 品質の均一性を確保するのが難しい
  • 生産コストや工数が必要になる

それぞれについて詳しく解説します。

品質の均一性を確保するのが難しい

再生プラスチックの品質にばらつきが生じる主な原因は、回収された廃プラスチックの種類や状態がバラバラなことです。異なる製品から回収されたプラスチックは、組成や劣化度が異なるため、均一な品質を維持することが困難で、この不均一性は、製品の強度や外観に影響を与え、最終製品の品質低下につながる可能性があります。

現在、この課題に対して、高度な選別技術や精製プロセスの開発が進められています。例えば、AIを活用した選別システムや、化学的リサイクル技術の向上により、均一な品質の再生プラスチックの生産が可能になりつつあります。

今後は、これらの技術のさらなる発展により、新品のプラスチックに匹敵する品質の再生プラスチックの生産が期待されています。

生産コストや工数が必要になる

再生プラスチックの生産には、回収、選別、洗浄、粉砕、再加工などの工程が必要となり、これらの追加プロセスがコストと工数の増加をもたらします。また、品質管理のための検査や、不純物除去のための追加処理も必要となり、これらもコスト増加の要因となっています。

しかし、技術の進歩や生産規模の拡大により、徐々にコストが低下しつつあります。例えば、化学的リサイクル技術の向上により、より効率的な再生プロセスが可能になっています。

さらに、環境規制の強化や消費者の意識向上により、再生プラスチックの需要が増加しており、これが生産規模の拡大とコスト削減につながっています。今後、さらなる技術革新と市場拡大により、再生プラスチックの生産コストは新品プラスチックに近づくことが期待されています。


ミタニのリサイクル技術

ミタニでは、プラスチック資源を循環するための取り組みを推進しています。今回は、ミタニが開発したリサイクル技術「ミクスチャーサイクル」と、ミタニが販売する代表的なプラスチック製品をご紹介します。

ミクスチャーサイクル

「ミクスチャーサイクル」は、プラスチック資源を循環するためにミタニが開発したリサイクル技術です。プラスチック部品製造時に発生する端材や余剰資材を効率的に再利用するこの技術には、大きな特徴が3つあります。

  • 特徴1 CO₂の削減

特徴の一つとして、CO₂削減への貢献が挙げられます。プラスチック1キロの生産で1.8キロのCO₂が排出されますが、ミクスチャーサイクルは既存プラスチックを循環使用するため、CO₂排出量を大幅に抑制できます。

  • 特徴2 新品と同等の品質

新品と同じくらいの品質を実現できる点も大きな特徴です。通常、使用済み樹脂を原料にすると品質が低下しがちですが、独自のブレンド材を添加することで、新品と変わらない品質を確保しています。

  • 特徴3 コストダウン

3つ目の特徴が、環境配慮と同時にコストダウンを実現できることです。余剰資材やリサイクル予定の樹脂を活用し、材料は自社内で調達できるため、環境に優しいだけでなく、コスト削減と納期短縮も実現しています。

このように、ミクスチャーサイクルは、環境保護、品質、経済性といったさまざまな面で大きなメリットがある画期的なリサイクル技術といえます。

ネイチャートップ

ネイチャートップは、間伐材を主原料とし、石油由来成分を一切使用せずに作られた樹木由来のキャップです。プラスチックの代替素材として注目されており、一部のグレードでは生分解性を持たせることで、使用後に土壌へと還る環境配慮型製品となっています。

こうした製品は、環境負荷の低減と高い機能性を両立させており、持続可能な社会の実現に貢献しています。ミタニは、今後も環境に配慮した製品開発を続け、循環型社会の構築に寄与してまいります。

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