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菜種油とは?キャノーラ油との違いや原料・製法・使い方を解説

菜種油は日本の食文化に深く根付いた食用油ですが、近年その活用方法は大きく進化しています。本記事では、菜種油の基本的な特徴から最新の技術を活用した革新的な商品開発まで、幅広く解説します。伝統的な製法で作られる菜種油の特徴を知りたい方はもちろん、新しい食品技術に関心のある方にも役立つ情報をお届けします。また、地域活性化と技術革新を結びつけた先進的な取り組みについても紹介しますので、食品開発や地域振興に携わる方々にとっても参考になる内容となっています。


菜種油とは


菜種油は、アブラナ科の植物の種子から抽出される食用油です。日本では江戸時代から使用されており、当初は灯油として利用されていました。明治時代に入ると、搾油技術の発展により食用油として普及し始めました。
現在では、国内生産量は少なく、その大半をカナダやオーストラリアからの輸入に頼っています。菜種油は加熱に強く酸化しにくい特徴を持ち、様々な料理に幅広く活用されています。

参考:農林水産省「植物油原料の生産国(菜種)」

菜種油の特徴

菜種油は、透明から黄色みがかった半透明の色合いを持つ食用油です。特筆すべき特徴として、クセが少なく使いやすい点が挙げられます。また、加熱に強く酸化しにくい性質を持っているため、揚げ物や炒め物など高温調理に適しています。
オメガ9系の一価不飽和脂肪酸を多く含み、コレステロールの改善や抗酸化作用が期待できます。さらに、ビタミンKやビタミンE、植物ステロールなどの栄養素も含まれており、健康面でも注目されている油です。

キャノーラ油は菜種油の一種

キャノーラ油は、セイヨウアブラナを品種改良して生まれた「キャノーラ種」から作られる油です。従来の菜種に含まれるエルカ酸の含有量を低く抑えるために、カナダで品種改良が進められ開発されました。
キャノーラ油は一般的な菜種油と比べて、より無味無臭で使いやすい特徴があります。現在では、一般家庭で使用される「菜種油」の多くが、実質的にはこのキャノーラ油となっています。

参考:内閣府 食品安全委員会|食品安全関係情報詳細

菜種油とその他の油の違い

菜種油と他の食用油を比較すると、それぞれに特徴的な違いがあります。サラダ油は複数の植物油をブレンドして作られ、低温でも結晶化しにくいように精製されています。大豆油は独特のうまみとコクがあり、中華料理や揚げ物に適しています。
オリーブオイルは特有の香りと黄緑色が特徴で、イタリア料理や肉料理によく使用されます。こめ油は米ぬかから抽出され、クセがなく酸化しにくい特徴があります。ごま油は香ばしい香りが特徴で、主に風味付けや中華料理に使われています。

菜種油の栄養価

菜種油に含まれる主要な脂肪酸は、オメガ9系のオレイン酸とエルカ酸です。オレイン酸は悪玉コレステロールを下げる効果が期待できます。
また、必須脂肪酸であるリノール酸やα-リノレン酸も含まれており、これらは体内で合成できない重要な栄養素です。
さらに、ビタミンKは骨の形成を助け、ビタミンEには抗酸化作用があり、植物ステロールはコレステロールの吸収を抑える働きがあります。

「菜種油は体に悪い」と言われる理由

菜種油が体に悪いという言説には、主に2つの要因が関係しています。1つは、かつての日本固有の菜種品種に含まれていたエルカ酸に関する懸念です。エルカ酸は多量摂取により健康上のリスクがあると考えられていました。

しかし現在では、品種改良により低エルカ酸の菜種が開発され、一般的に流通している菜種油でエルカ酸による健康被害が起きるリスクは極めて低くなっています。
もう1つの要因は、化学溶剤を使用した抽出方法に関連します。この製法では、抽出過程で生じる不快な臭いを除去するために高温加熱工程が必要となり、その過程でトランス脂肪酸が生成される可能性があります。
トランス脂肪酸の過剰摂取は生活習慣病のリスクを高める可能性がありますが、日本人の平均的な摂取量は国際機関が定める上限値を下回っています。したがって、適量を守って使用する限り、現代の菜種油は安全な食用油と言えます。

菜種油の製法


菜種油の製造方法には、大きく分けて「圧搾法」と「抽出法」があります。また、特殊な製法として「コールドプレス製法」も注目されています。それぞれの製法によって、最終製品の品質や特性に大きな違いが生まれてきます。現代では効率性と品質のバランスを考慮し、これらの製法を組み合わせた「圧抽法」も採用されています。

圧搾法は日本の伝統的な製法で、物理的な圧力のみで油を搾り出す方法です。まず菜種を焙煎して水分を飛ばし、粉砕します。その後、圧搾機で圧力をかけて油を搾り出し、残った搾りかすは肥料などに利用されます。
搾った油は静置して不純物を沈殿させ、ろ過して完成させます。この方法で作られた油は、菜種本来の風味や栄養が残りやすく、特に一番搾りは品質が高いとされています。

抽出法は大量生産に適した現代的な製法です。この方法では、菜種に溶剤(ヘキサン)を加えて油分を溶かし出します。その後、加熱して溶剤を完全に除去し、不純物を取り除くための精製工程を経て製品化されます。
抽出法は圧搾法と比べて効率的に油を取り出せますが、高温での処理が必要なため、栄養成分が失われやすい特徴があります。工場では厳しい品質管理のもと、溶剤が残留していないことを確認しています。両製法にはそれぞれメリット・デメリットがありますが、近年では効率性と品質を両立させるため、圧搾と抽出を組み合わせた圧抽法も採用されています。これにより、風味と栄養価を保ちながら、効率的な生産が可能となっています。

コールドプレス製法は、27℃以下の低温で圧搾する特殊な製法です。焙煎工程を省き、低温でゆっくりと時間をかけて圧搾することで、菜種が本来持つ栄養成分や風味を最大限に保つことができます。一般的な圧搾法や抽出法と比べて採油率は低くなりますが、ビタミンなどの栄養素が豊富に残り、より自然な風味を楽しむことができます。特に健康志向の高い消費者から支持されており、高付加価値な製品として注目を集めています。

菜種油のおすすめの使い方


菜種油は、その加熱に強く酸化しにくい特性から、以下の用途に特に適しています。

・揚げ物

・炒め物

・ドレッシング

・お菓子作り

菜種油は、加熱に強く酸化しにくい特性を活かして、様々な料理に幅広く活用できます。特に、加熱調理からドレッシングまで、一本で多用途に使える便利な食用油です。以下に、主な活用方法を具体的に見ていきましょう。

揚げ物では、油のコシが強くカラッと揚がるため、天ぷらやコロッケなどに適しています。また、クセが少ないため、素材本来の味を活かした仕上がりになります。炒め物に使う際は、高温でも酸化しにくい特性により、安定した調理が可能です。中華料理や野菜炒めなどで重宝します。

生食での使用も菜種油の特徴を活かせる方法です。サラダのドレッシングやカルパッチョのソースとして使用すると、さっぱりとした味わいに仕上がります。さらに、お菓子作りではバターの代用としても活用でき、ヘルシーなスイーツ作りが可能です。

エアゾールの技術を活かした菜種油で健康的な食生活を


長い歴史を持つ菜種油は、現代でも私たちの食生活に欠かせない存在です。品種改良や製法の進化により、より安全で使いやすい食用油として確立されています。
茨城県牛久市で、耕作放棄地を活用した革新的な菜種油製品が誕生しました。うしくグリーンファーム株式会社が耕作放棄地で栽培・コールドプレス圧搾した国産菜種油を原料に、学校法人晃陽学園つくば栄養医療調理製菓専門学校がフレーバーオイルを開発。これを三谷バルブが国内初となるBOV(Bag on Valve)技術でスプレー化し、産学官連携による画期的な商品が実現しました。
このフードスプレーは、従来の容器では課題だった光による劣化や空気による酸化を最小限に抑え、風味や香りを長く保つことができます。アルミパック入りの二重構造で不燃性ガスを使用し、安全性も確保。ワンプッシュで適量を広範囲に均一に噴霧でき、霧状にすることで芳醇な香りを引き立てる特徴を持っています。地域資源の活用から最新技術の応用まで、多様な力を結集させた画期的な商品として注目を集めています。

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