スプレー缶製品は私たちの生活に欠かせないものとなっていますが、製品によって使用方法が異なることをご存知でしょうか。「使う前に振る必要があるのか」「逆さまで使用できるのか」といった疑問を持つ方も多いはずです。本記事では、スプレー缶の基本的な仕組みから、製品タイプ別の正しい使用方法まで、詳しく解説していきます。DIY愛好家の方から、業務でスプレー缶を使用される方まで、より効果的な製品の使用方法が分かります。
スプレー缶(エアゾール)の仕組み
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スプレー缶内部では、内容物と噴射剤が共存しています。噴射ボタンを押すと、噴射剤の圧力により内容物がディップチューブを通って上昇し、バルブを通過して放出されます。この仕組みにより、均一な噴射が実現され、製品を効果的に使用できるのです。
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スプレー缶内部では、内容物と噴射剤が共存しています。噴射ボタンを押すと、噴射剤の圧力により内容物がディップチューブを通って上昇し、バルブを通過して放出されます。この仕組みにより、均一な噴射が実現され、製品を効果的に使用できるのです。
使用前に振る製品・振らない製品
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スプレー缶製品は使用される噴射剤の種類によって、使用前の取り扱い方が大きく異なります。液化ガス(LPGやDME)を使用した製品と、圧縮ガス(窒素や炭酸ガス)を使用した製品では、それぞれ適切な使用方法が異なります。以下では、それぞれのタイプについて詳しく説明していきます。
使用前に振る必要がある製品
噴射剤としてLPGやDMEなどの液化ガスを用いている製品には、使用前に振る必要があるものがあります。以下の特徴を持つ製品は必ず振って使用してください。
・噴射剤が原液に溶解せず3層に分離する製品:噴射剤と内容液原料を混合し一定の噴射状態を保つため
・内容物に粉末が配合されている製品:内容物を均一に混ぜ合わせるため
・グリース、塗装剤など沈殿物が発生する製品 :沈殿した内容物を均一にするため
これらの製品は、使用前に振ることで製品の性能を最大限に引き出すことができます。
使用前に振らない製品
窒素ガス(N2)や炭酸ガス(CO2)などの圧縮ガスを使用した製品は、振って使用してはいけません。振ってはいけない理由として、以下の2点が挙げられます。
・ガスが液層に溶解してガス圧が低下するため
・内容液を最後まで噴射できなくなる可能性があるため
内容液を最後まで噴射できなくなる可能性として、代表的な例にリークシーカー(CO2使用製品)があります。これらの製品は、そのまま使用することで、最適な性能を発揮します。
なお、液化ガス(LPGやDME)を使用した製品の中には、内容液が噴射剤をよく溶解する場合があります。特にエタノールを含む製品では、内容液と液化ガスが溶解した状態となるため、振る・振らないに関係なく使用できるものもあります。
倒立で使用不可な製品・正倒立で使用可能な製品
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エアゾール製品は、製品に使用されているバルブの機構により、倒立で使用できる製品と使用できない製品があります。倒立で使用できない製品は、容器内のディップチューブを通り内容物が噴射されるため、ディップチューブの先端が内容液中に浸漬されていなければ、ガスのみが噴射され、内容液が残ったまま使用できなくなります。
一方、正倒立で使用できる製品には2種類あります。
①ディップチューブ先端におもりが取り付けられた製品。これにより、傾けてもディップチューブ先端が常に液層に浸漬された状態になり、内容液を噴霧することができます。
②バルブ部分からも内容液が排出される製品。バルブ部分からも内容液が排出される機構があるため、傾けて使用した際でも、内容液を排出することができます。
まとめ
スプレー缶製品は、その使用方法を正しく理解することで、効果的に使用することができます。液化ガスを使用した製品は振って使用する必要がある一方、圧縮ガスを使用した製品は振ってはいけません。また、製品の構造によって倒立使用の可否も決まってきます。さらに、使用時の温度管理も重要です。低温では内容液が出にくくなり、高温では缶破裂の危険性があるため、適切な温度での保管と使用が必要です。
このように、スプレー缶製品には様々な特性があり、製造時にも高い技術力が求められます。この分野での技術革新の一例として、株式会社三谷バルブが開発した新G型バルブがあります。この新G型バルブは2本の充填スリットを持ち、内容物に勢いよくガスをぶつけて溶け込ませることができる画期的な製品です。
従来の製造工程で必要だったシェイキング工程を省略でき、製造側の生産性向上とコスト削減を同時に実現しています。ヘアスプレーやシリコンスプレー、殺虫剤、ブレーキクリーナーなど、幅広い用途で活用されており、エアゾール業界に大きな変革をもたらしています。