近年、環境負荷を減らすだけでなく、環境や社会をより良い状態へ回復・再生していく「リジェネラティブ」という考え方が注目されています。
三谷バルブでは、化粧品容器などに用いられるスプレーやポンプの設計・開発を通じて、素材の特性を活かした製品づくりや資源循環に取り組んでいます。また、地域資源を活用した取り組みなど、リジェネラティブな考え方につながる活動も進めています。
本記事では、こうした取り組みも交えながら、リジェネラティブの基本的な考え方やサステナブルとの違い、製造業で注目される背景について解説します。
リジェネラティブとサステナブルの違いとは?概念の整理

サステナブルは環境負荷を抑え、持続可能な状態を維持する考え⽅です。⼀⽅、リジェネラティブは環境を回復・再⽣し、現状よりも良い状態を⽬指す考え⽅です。
リジェネラティブは、サステナブルの考え方をさらに発展させ、環境負荷を抑えるだけでなく、環境や社会にポジティブな変化を生み出すことを目指す考え方として語られています。
リジェネラティブの意味と考え⽅
「リジェネラティブ(Regenerative)」は「再⽣する」「回復させる」という意味を持ち、環境や地域、資源を現状より良い状態へ導くことを⽬指す考え⽅です。
| 観点 | サステナブル | リジェネラティブ |
|---|---|---|
| ⽬指す⽅向性 | 環境負荷を現状より悪化させない | 環境を現状より良い状態に改善・回復させる |
| 環境への働きかけ | 負荷の抑制・現状の維持に重点を置く | 再⽣・創出・回復に視野をおく |
| 典型的な問い | 「これ以上悪くしないためにどうすべきか」 | 「どうすれば環境がより良くなるか」 |
| 企業の⾏動指針 | CO2 削減・廃棄物削減・省エネ推進 | 素材の再⽣循環・⽣態系の回復・ポジティブインパクトの創出 |
| 関係性 | 負荷を抑え持続可能性を高める考え方 | そこからさらに「回復・再生」を目指す考え方 |
なぜ今、リジェネラティブが注⽬されているのか?

リジェネラティブが注⽬される背景には、環境規制の強化や消費者・投資家の環境意識の⾼まりがあります。その背景や、製造業に求められる理由について解説します。
環境負荷を抑えるだけでは解決できない課題
国際的な環境規制の強化が、製品設計に求められる要件を⼤きく広げています。EU が導⼊を進めている PPWR(包装・包装廃棄物規則)はその代表例であり、包装のリサイクル性や再生材の利用など、設計段階から資源循環を考慮することが、これまで以上に求められています。
こうした国際規制は、輸出先市場で製品を販売する⽇本企業にも影響を与えるため、設計段階からの対応が求められています。
国際規制に加え、製造業では、製品を世に出した企業が廃棄・リサイクルまで責任を負う「拡⼤⽣産者責任(EPR)」の考え⽅も広がっています。
以上の背景からも、設計段階で資源循環を考慮する重要性が⾼まっています。
さらに、消費者の間でも環境配慮型製品への関⼼と需要が拡⼤しており、ESG 投資(環境・社会・ガバナンスを重視した投資)の普及と相まって、環境対応が企業のブランド価値や競争優位性に直結する状況が⽣まれています。
環境配慮を「コスト」として捉えるのではなく、「企業価値を⾼める投資」として位置づける視点が製造業にも広がりつつあります。
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リジェネラティブな考え⽅は、ものづくりにどう取り⼊れられる?

リジェネラティブを実践するために、必ずしも特別な技術が必要というわけではありません。
製造業では、「資源を循環させる設計」「既存の技術や素材の新たな活⽤」「地域やサプライチェーンとの共創」といった取り組みが、リジェネラティブな考え⽅につながります。
資源を循環させる製品設計
環境の回復・再⽣を⽬指す製品づくりでは、製品を使⽤した後まで⾒据えた設計が重要になります。
例えば、複数素材を組み合わせるのではなく単⼀素材で構成する「モノマテリアル設計」は、廃棄後の分別やリサイクルを容易にし、資源循環を促進する設計⼿法の⼀つです。
また、リフィル対応や再利⽤しやすい構造を採⽤することで、容器を繰り返し使⽤できるようになり、新たな資源の消費や廃棄物の発⽣を抑えることにつながります。
既存の技術や素材を新たな価値につなげる
リジェネラティブな考え⽅を取り⼊れるうえでは、すでにある技術や素材を活かし、新たな価値につなげていく視点も重要です。
例えば、エアゾール製品では、液化ガスから圧縮ガスへの転換や、製品構造・使⽤材料の⾒直しなど、従来の製品をより環境に配慮した形へ変えていく取り組みが考えられます。
また、スプレー技術を⾷品分野へ応⽤するなど、既存の技術を異なる⽤途で活⽤することで、新たな製品や体験を⽣み出すこともできます。
こうした取り組みは、それ⾃体が環境の再⽣や回復を直接意味するものではありません。
⼀⽅で、既存の技術や資源を活かしながら新たな価値を⽣み出し、従来とは異なる可能性を広げていくことは、リジェネラティブなものづくりを考えるうえで重要な視点の⼀つです。
食の体験から広がる、リジェネラティブなものづくり

リジェネラティブな考え方は、製造業に限らず、食をはじめとするさまざまな分野でも広がっています。
その一例として、食を通じて環境や地域との関係を見つめ直す取り組みがあります。野田達也シェフは、食材の生産背景や地域とのつながりにも目を向け、料理を味わう体験を通じて、地球環境について考えるきっかけを生み出しています。
環境への負荷を減らすだけでなく、人の共感や行動を起点に、より良い未来へつなげていく。こうした姿勢には、リジェネラティブな考え方と重なる部分があります。
野田シェフには、三谷バルブのBOV(Bag on Valve)を活用したスプレーフードで創作料理を制作いただきました。
食とスプレー技術を掛け合わせることで、新しい味わい方や体験を提案するとともに、食を入口として環境に意識を向けてもらえる可能性があります。
分野は異なっていても、ものづくりや体験を通じて人の共感を生み、より良い未来につなげていくという考え方には、共通する部分があります。今回の共創を一つのきっかけとして、三谷バルブはこれからも、技術や製品が環境や社会にどのような価値を生み出せるのかを考え、リジェネラティブなものづくりの可能性を探っていきます。
BOVを活用した創作料理と、食とスプレー技術から生まれた新しい体験について、詳しくはこちらの記事でご紹介しています。

