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FOODSPRAY

3F Voice 01 | フードスプレーで広がる香り。新しい食の体験。 レストラン「Kabi」

Interview Date: February 8, 2023

2017年、東京・目黒にオープンして以来、その独創的かつ斬新な料理スタイルで注目を集めているレストラン「Kabi(カビ)」。オーナーシェフの安田翔平さんにミタニのフードスプレーの使用感や新たな可能性について伺いました。

20~30種類のオイルを揃える
”香り”を大切にするKabiが思うフードスプレーとは?


-フードスプレー(オイルスプレー)を使った新しいメニューを考案いただいたということですが、どのようなメニューでしょうか。

今がすごくおいしいフグの白子、それから野菜をいっぱい食べられる皿を作りたいと思って考案しました。オイルもいっぱい使っていて、香りを出すために泡を乗せて、最後にちょっとだけ松の葉っぱのピクルスを使ったポン酢をかけています。メニューはいつもだいたい1か月半に1回くらいで変えています。

-新メニューはいつもどのように考えていますか?

音楽は絶対に聴くようにしていますね。電子音系の音楽が多いです。温泉に行ったりして、ゆっくりできる場所で音楽を聴きながら考えています。

-コロナ禍では、お店もいろいろと大変だったことと思います。

給付金の話が出るまでにかなり時間がかかったので、結局借入れもすることになって大変でした。本当に毎日暇で、仕込んでもお客さんが来ないので、テイクアウトや朝食だけの営業をしたり、人数を限定して営業したりしていました。それでなんとか生き延びて、最近はやっと海外のお客さんも増えてきましたね。

-Kabiさんは若いお客さんが多い印象がありますが、その層に対して何かメッセージを発信していましたか?

いえ、僕らは広告をまったく打っていないので、Instagramや口コミで広がっていったのかなと思います。オープン当初は食べるのが好きな、ちょっと上の年齢層の人が多かったんですが、だんだん若いアーティストやデザイナー、DJが来てくれるようになって、そこから若い世代に広がっていった感じです。

-安田さんの新しい形の料理の発信が、若いアーティストの方に響いているのでしょうか。

そうなんですかね。僕もInstagramで発信をしているので、刺激をし合えているのかなという感じはあります。

-安田さんと食との出会いは?

僕が小さい時に父親がフランスで三ツ星の料理人をしていて、帰国してから毎週水曜日に僕たち家族にもフランス料理を作ってくれていたんです。そこから将来は料理をしたいなと思うようになって、高校卒業後に辻調理師専門学校に入学し、料理の道に入りました。

-Kabiさんではオイルやソースをたくさんご準備されているそうですが、何種類ぐらいのオイルを用意されていますか?

全部で20〜30種類あります。香りを大事にしていて、備長炭のオイルとか、ローストした昆布のオイル、ローストした麹のオイル、イチジクの葉のオイル、カシスの葉のオイル、松の葉のオイル、パセリの葉のオイル、ディルのオイルなどいろいろと揃えています。

-約1年前、初めてフードスプレー(オイルスプレー)の試作品をお渡しした時にはどう思いましたか?

塩水をスプレーで吹きかけたりするのは焼鳥屋さんもやっているし、僕らもやっていたんですけど、オイルがスプレーで霧みたいになるのは見たことがなかったので「どうなってるのかな?」って思ったのが最初の印象です。自分で普通のスプレーボトルにオイルを入れてやってみたこともあるんですけど、垂れるだけだったので諦めていたんですよ。

-実際に何度か使われてみて、どういった印象ですか?

すごく使いやすいですね。オイルの香りが飛んで広がるのがいいですね。それから細かく広がるので、焼く時に一瞬で全体に油がついてくれるのがすごく便利ですね。お客さんを待たせたくないので、料理と料理の間はできるだけ時間を詰めたいんですよ。今までハケで油を塗っていたのを、このスプレーだとサッとできるので、その20〜30秒の時間短縮はすごく大きいです。サラダにも、オイルが一定に広がるので合うと思います。

-焼き物やサラダの他にはどんな使い方ができそうですか?

皿に直接スプレーしてもいいと思うんですけど、コントロールがちょっと難しくて、量の調節に慣れが必要なんですよ。それがうまく調節できるようになったら、皿にもそのままいけるかなっていうのはあります。そこは今後改良をお願いしたいですね。

-Kabiさんはオープンキッチンでお客様との距離も近いですが、オイルの香りに加えて「魅せる」という演出面での使い勝手はどうですか?

カウンターなので、お客さんのほうにもオイルが散ってしまうというのが1つ懸念としてあるんです。料理よりもカクテルなんかで使ったりすると、グラスの中なので散らないし、香りも広がるのでいいんじゃないかなと思います。

-今回製品の開発にご協力いただきましたが、三谷バルブに対して何か印象に残っていることはありますか?

フィードバックをする度に新しいものがどんどん上がってくるので、そのスピード感みたいなものはすごいなと思いました。

-三谷バルブとしてはフードスプレーの領域は新しい取り組みになりますが、新しい企業の参入は、外食産業にいい影響をもたらすと思いますか?

そう思います。逆に料理人は今あるもので頭が凝り固まってしまっているので、外の人がいろいろと提案してくれたほうが新しいものがどんどん出てくるんじゃないかなと思います。フードスプレー(オイルスプレー)なんかも思いつかなかったですし。

-今回のフードスプレー(オイルスプレー)は、知り合いや後輩のシェフの方に薦めていきたいですか?

そうですね。もちろん現場で使ってもいいし、アウトドアで使うにもすごく便利ですよね。僕もキャンプが大好きなので、その時に持って行こうかなと思っています。ただ、中身をもうちょっと簡単に詰め替えられればいいなとは思いますね。

-三谷バルブに対してほかに要望はありますか?

ボンベみたいなのを作ってほしいです。エスプーマってあるじゃないですか、フランス料理で使うガスを入れるやつ。できるだけクイックにやりたいので、すぐに中身を変えられるといいですね。

-世界で活躍されている安田さんは、これまでいろいろなレストランを見てこられたと思いますが、特に印象的だったメニューや、インスピレーションを受けたものはありますか?

スペインに行った時に現地の有名なレストランで、口の中がパチパチしたり、「これ、食べられるのか?」っていう演出を経験したんですけど、それは驚きがあってすごく楽しかったです。ただ、味が全然おいしくなくて(笑)。演出だけではダメで、バランスが大事なんだなと思いましたね。

-海外のシェフたちがフードスプレー(オイルスプレー)を使っているところを見たら、どのような印象を持たれそうですか?

「何かけてるの?」って言われると思います。たぶん海外でも誰も知らないと思います。喜んでもらえると思いますよ。

-これからインバウンドが復活して、食が観光の要素にも大きく関わってくると思いますが、今後海外に対してはどのような発信をされる予定ですか?

海外でもっとイベントをしようと思っています。以前もニューヨークでイベントを企画していたんですが、ちょうどコロナが来てしまったんです。海外にシェフの友だちがたくさんいるので、今年か来年は行きたいですね。

-それでは、これからは海外と日本の架け橋をされていかれるのですね。

でも、実は3〜4年後にKabiは閉める予定なんです。長野でオーベルジュをやりたくて、もう土地は買ってあります。子どもも5歳で、僕が田舎で育ったので田舎で育てたいなと思って。一緒に畑もしたいですし。

-東京では、KabiのスタッフさんがDNAを受け継いでいかれるのですか?

そうですね。6月頃にまた新店がオープンする予定です。

-最後に、Kabiさんのファン、Kabiさんをこれから訪れたい方にメッセージをお願いします。

僕が東京にいられる時間は残り少ないので、早く来てほしいです(笑)。今、僕らのチームもいい状態ですし、料理もよくなっているので、今が来どきかなと思います。

Restaurant Kabi
〒153-0063 東京都目黒区目黒4丁目10−8
https://kabi.tokyo/
デンマークの二つ星レストランKadeauでシェフとして活躍した安田氏とソムリエの江本氏で2017年にRestaurant Kabi を開店。 日本の伝統的な発酵食品である味噌や醤油、漬物などをはじめ、チーズやワインといった西洋の発酵食品も取り入れたオリジナルの料理を提供。「日本の食材や食文化を、和食とは違う自分たちらしい表現で世界に発信すること」をテーマにフードカルチャーを牽引する。

interviewer
Gastronomist 杉山 尚美


3F Voice
「食(Food)」「未来(Future)」「自由(Freedom)」

新しい食品容器の選択は新しい価値を生み出す
新しいアイデアや技術を生み出し、よりよい未来を切り開いていく


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