プラスチックと上手に付き合うことは、地球温暖化の防止や海洋生態系の保護につながる重要な取り組みです。この記事では、プラスチックとの付き合い方を考えることがなぜ必要なのかという背景から、今日から始められる具体的な方法まで分かりやすく解説します。環境問題に関心がある方や、日々の暮らしでできるエコな取り組みをお探しの方にとって、実践しやすいアクションが見つかるでしょう。
なぜ今、環境にやさしい暮らしへの取り組みが重要なのか

プラスチック資源に関わる環境課題は、ものづくりに携わる企業にとって長期的な視点で取り組むべき重要なテーマです。
日本では、一人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量が世界で2番目に多く、年間約32キログラムものプラスチックごみを排出していると言われています。こうした現状を変えていくためには、企業だけでなく、日々プラスチック製品を使う私たち一人ひとりが「プラスチックとの付き合い方」を見直していくことが欠かせません。
まずは、プラスチック問題の全体像を知るところから、一緒に始めていきましょう。
参考:経済産業省 METI Journal ONLINE|【親子で学ぼう時事問題】プラスチック削減と資源循環社会
地球温暖化を加速させるプラスチック問題
プラスチックは石油を原料として作られているため、製造から廃棄までの全過程で温室効果ガスを排出します。石油由来のプラスチック1キログラムを生産または廃棄する際には、二酸化炭素が5キログラム程度排出されます。
この温室効果ガスの排出が地球温暖化を加速させ、異常気象による災害の増加や食糧危機といった深刻なリスクを生み出しています。私たち一人ひとりがプラスチック製品の使用を見直すことは、温室効果ガスの排出抑制と地球温暖化防止に直結する重要な行動なのです。
海洋生物と生態系を脅かす海洋プラスチックごみ
適切に処理されなかったプラスチックごみの多くが川を経由して海へ流出し、深刻な海洋汚染を引き起こしています。世界全体では年間約800万トンものプラスチックごみが海洋に流出しており、このままでは2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるとも試算されています。
海に流出したプラスチックごみは、ウミガメが餌と間違えて摂取してしまったり、海鳥の体に絡まって身動きが取れなくなったりするなど、海洋生物に物理的な危害を与えています。プラスチックは自然分解されにくい性質があるため、長期間にわたって海洋環境を汚染し続けるという深刻な問題を抱えているのです。
人体への影響が懸念されるマイクロプラスチック
海洋を漂流するプラスチックごみは、紫外線や波の力によって細かく砕かれ、5ミリメートル以下の「マイクロプラスチック」となります。このマイクロプラスチックには、製造時に添加された化学物質や、海洋漂流中に吸着した有害な化学物質が含まれていることが少なくありません。
マイクロプラスチックを摂取した魚介類を人間が食べることにより、間接的に人体にも取り込まれる可能性があります。現時点では人体への具体的な影響は完全には解明されていませんが、本来自然界に存在しない物質が広く生物の体内に取り込まれている現状を楽観視することはできません。
プラスチックと賢く付き合う!個人でできる取り組み

日常生活の中で意識的にプラスチック製品を減らすことは、環境負荷の軽減に大きく貢献します。世界のプラスチックごみの上位を占めるのは「食品包装材・容器」や「レジ袋」といった身近な製品であり、私たちの生活に密接に関わるものばかりです。
まずは、使いやすく愛着の持てるサステナブルな製品を選んで、生活の中にできることから環境への配慮を取り入れてみましょう。
マイバッグ・マイボトルを習慣に
レジ袋の有料化により一般的になったエコバッグ(マイバッグ)の持参は、プラスチックと上手に付き合う第一歩として最も取り組みやすい方法です。マイバッグを使用すれば、プラスチックごみを減らせるうえに、生産に必要な資源の節約にもつながります。また、ペットボトルごみの削減に効果的なマイボトルの活用も推奨されています。
日本では年間65万トン以上のペットボトルが生産されており、マイボトルを持ち歩くことで大幅な削減効果が期待できます。各地に設置されている給水スポットを利用すれば、一日中マイボトルを活用することが可能です。
ただし、エコバッグの素材によっては製造時の環境負荷が高い場合があるため、一つのものを長く大切に使い続けることが重要です。
使い捨てを選ばないという意識
コンビニやスーパーで弁当などを購入する際に提供されるプラスチック製のスプーンやフォーク、ストローを断ることも効果的な取り組みです。これらの使い捨てカトラリー類は、世界のプラスチックごみの中でも高い割合を占めており、個人の意識的な行動が大きな削減効果をもたらします。
より積極的な取り組みとして、マイ箸やマイスプーンなどを持ち歩くことで、さらに使い捨てプラスチックを削減できるでしょう。外食時には「カトラリーは不要です」と一言添えるだけで、簡単に実践できる環境配慮行動となります。
ラップの代替品(蜜蝋ラップなど)の活用
食品保存に使う使い捨てのプラスチック製ラップの代替品として、繰り返し使える蜜蝋ラップやシリコンラップの活用が注目されています。蜜蝋ラップは、布を天然の蜜蝋でコーティングしたもので、手の温度で形を変えることができ、容器にぴったりと密着します。天然素材で作られているため、製造段階から環境に優しく、使用後は水洗いして繰り返し使用できます。蜜蝋の持つ天然の抗菌性により食品の鮮度を保つ機能も備えており、プラスチックごみを減らしながら便利に使える優れた代替品です。
詰め替え製品の積極的な選択
シャンプーやボディーソープ、洗剤などを購入する際に、本体ボトルを再利用して詰め替え用の製品を選ぶことで、プラスチックの使用量を大幅に削減できます。詰め替え用のパッケージもプラスチック製である場合が多いものの、本体ボトルを毎回新しく購入する場合と比較すると、プラスチック使用量を50%以上削減することが可能です。
さらに進んだ取り組みとして、紙包装の固形石鹸や固形シャンプーバーなどを選択すれば、プラスチック包装を完全に避けることもできるでしょう。
プラスチック製から天然素材の製品への切り替え
ボールペンや歯ブラシ、使い捨てカイロなど、日常的に使う使い捨てのプラスチック製品を、木や竹、金属などの天然素材や長く使える製品に切り替えることも効果的です。たとえば、プラスチック製のボールペンの代わりに鉛筆や万年筆を使用したり、使い捨てカイロの代わりに充電式カイロや小豆カイロを活用したりできます。
初期投資は必要ですが、愛着を持って長く使える製品を選ぶことで、結果的にごみを減らし、環境負荷の低減と経済的なメリットの両方を得ることができます。
消費者の選択が未来を変える!企業の環境配慮への取り組み

プラスチックと上手に付き合っていくには個人の取り組みだけでなく、製品を提供する企業の環境配慮への姿勢も重要な要素となります。消費者がサステナブルな製品を積極的に選ぶことで、企業の環境に配慮した取り組みを後押しし、社会全体を良い方向へ導く大きな力となるのです。製品選択の際に環境への影響を考慮することで、私たち一人ひとりが持続可能な社会づくりに貢献できます。
「3R+Renewable」を意識した製品選び
ごみ削減の基本である「3R(Reduce・Reuse・Recycle)」に、「Renewable(再生可能資源への切り替え)」を加えた考え方が、効果的なプラスチック削減の指針となります。
Reduce(削減)では製品の使用量そのものを減らし、
Reuse(再利用)では使用済みの製品を繰り返し使用、
Recycle(再生利用)では廃棄物を再生資源として活用します。
これらに加えてRenewableの観点から、再生材や植物由来の素材が使用された製品を選ぶことで、より持続可能な消費行動を実践できるでしょう。
日本では2022年4月から施行された「プラスチック資源循環促進法」において、この「3R+Renewable」が基本原則として位置づけられています。
参照:プラスチック資源循環「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」
環境負荷の少ない製品を提供する三谷バルブの挑戦

私たち三谷バルブは、プラスチック製品を扱うメーカーとして、その環境負荷を低減するための技術開発に継続的に取り組んでいます。1956年の創業以来、エアゾールバルブの製造に携わり、環境に配慮したモノづくりを通じて脱炭素社会の実現を目指しています。
当社が開発した「SWAYK」は、液化ガス・圧縮ガスの両方に対応しており、圧縮ガスを採用した場合に従来のエアゾールバルブと比べて最大90%以上のCO₂排出量を削減します。
プラスチックと賢く付き合っていくためには、私たちの技術革新と、皆さま一人ひとりの行動変容の両輪が必要です。マイバッグやマイボトルの持参、蜜蝋ラップの活用、詰め替え製品の選択など、今日からできる小さな取り組みの積み重ねが、大きな環境改善につながります。未来の地球環境のために、私たちと一緒にできることから始めていきましょう。
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