Interview Date: April 24, 2025
「Masaru Motooka」 本岡将シェフ 埼玉・川口
Restaurant KAM
ミタニが開発するスプレーフードの未来を探るコーナー「3F Voice」。今回は埼玉県川口市にあるフレンチレストラン「Restaurant KAM(レストラン カム)」を訪ねました。オーナーシェフの本岡 将さんは、自家菜園で収穫した採れたてのハーブや野菜を活かしたフランス料理を得意としています。ミタニのスプレーフードを、どのように活かすのでしょうか。
スプレーフードの香りや食感を、実際に試してみませんか?
打ち合わせ、サンプル送付、OEM開発、小ロット試作まで承ります。
「こんなスプレーを作りたい」というアイデアも大歓迎です。お気軽にご相談ください。

日本家屋で堪能するフレンチ
「Restaurant KAM」はJR武蔵野線東川口駅から徒歩10分ほどの住宅地にあります。

レストランの建物は、築60年以上の日本家屋。こちらはもともと本岡さんの義祖父が住んでいたのだそう。
建物はそのまま活かされ、靴を脱いで上がった和室にテーブル席があります。趣ある組木細工や欄間に囲まれた、どこか懐かしく、心落ち着く空間です。

フランスでの衝撃、大事なのは「今」
まずは本岡さん自身についてお話を伺いました。料理人を志したきっかけは何だったのでしょうか。
「物心ついた時からいつも家事を手伝わされていたので、小さいころから料理をしていました。進路を考えたのは中学生のころだったのですが、楽しめる仕事をしたいと思いました。
そこで、自分にとって当たり前になっているものなら嫌いにならないだろうと、料理を選びました。」
そして調理師専門学校に進んだ本岡さんは、さまざまな文化に触れながら料理を学びたいと、19歳でフランスへ渡りました。
本岡さんは修業時代をこう振り返ります。
「行って驚いたのは、フランスの人々がいかにその時々の感情を大事にしているかということでした。例えば、一つ星レストランでのことなんですが、前日に彼氏と喧嘩した仕事仲間が、涙を流しながら働いていたんです。『仕事中だから切り替えよう』と声をかけると、『私は今、悲しいんだ』って言われたんです。
日本では『TPOを考えて』って言われるような場面だと思うんですが。
未来も過去も『今』の積み重ねなので、今が大切。フランスへ行ってから、強くそう思うようになりました。」

南仏やバスク地方で修業した本岡さんは、23歳で帰国後、静岡県富士宮にある里山レストラン「レストランビオス」の料理長に就任。そこで野菜作りの基本も学びました。その後、栃木県那須郡「レストランμ」の統括シェフを勤めました。
「Restaurant KAM」は2021年に、幼なじみであり、ソムリエの田代圭佑さんとともにオープン。2022年からはグルメガイド「ゴエ・ミヨ」にも掲載、そのほか、ヒトサラBest Chef & Restauran、Destination Restaurants 2025にも選ばれました。
一方で、地元とのつながりも生まれているそうです。「最近は近所の方が犬の散歩の途中に、立ち寄ってくださったり、誕生日など特別な日に選んでくださったり。徐々に近隣の方にも知っていただいていることが嬉しいですね」と本岡さん。
育てているから分かる野菜の姿
お店では広い庭を耕し、野菜やハーブを育てています。

本岡さんは、その日に採れた野菜の状態をみて、毎日少しずつメニューを変えているそう。フランス料理の技法をベースにした「その日」しか食べられない料理を「おまかせコース」として楽しむことができます。

「料理では畑で”今”採ったばかりのものをそのまま食べてもらうっていうのを大事にしているんです。
スーパーに並ぶ食材は、出荷に適したサイズのものがほとんどです。でも、野菜の人生には、子どもからおじいちゃんまで、時期によっていろいろな状態があるんです。それぞれの状態で良さが合って、おもしろいですよ」

取材時はちょうど春半ば。エンドウ豆が実をつけ始めたばかりでした。生のエンドウ豆を食べさせていただくと、みずみずしさと甘みを感じました。
ところが、同じエンドウ豆も収穫時期が夏に近づくにつれ、徐々に「芋っぽくほっくりとした感じ」に変化するのだそう。畑で日々野菜を見ているからこその気づきが料理に活かされます。
「食材にあわせて料理をするのは、尊敬する自分のおばあちゃんがそうやって毎日料理を作っていたからです。フランス料理は学びましたが、自分のルーツは家庭料理にあるんですよ」
そんな、本岡さんならではのお料理をご紹介します。
採れたてのフレッシュさを引きたてる
~朝採れアスパラと春野菜のサラダ仕立て~

収穫したばかりのみずみずしいアスパラガスに、新タマネギ、ラディッシュ、菊の花びら。そこに柑橘のドレッシングを合わせ、生ハムを添えたサラダです。
お皿に散らされているのは、レモンバーム、温州みかんのつぼみ、小松菜の「菜の花」。そして蓮の葉のような形の、ナスタチウム。数分前に摘んだばかりだから、それぞれの香りも鮮やかに感じられます。みかんのつぼみや、小松菜の菜の花などは「普通は食べないけれど、香りが良いんです」とのこと。遊び心が詰まっています。
仕上げに、本岡さんがスプレーフードをひと吹き。レモングラスの香りが広がりました。

今回、本岡さんがスプレーフードのために用意したのは、自家菜園で採ったレモングラスのフレーバーオイルです。
「レモングラスオイルを使うことで、柑橘や、生姜のような香りを表現しました。この時期にぴったりの爽やかさを感じてほしいです。畑の情景、香りの記憶を呼び覚ますようなイメージで使用しました」
一口いただくと、レモングラスがフワっと香ったのち、ジューシーなアスパラガスのうまみが広がります。爽やかな柑橘の香りや、新タマネギやラディッシュの甘みもたまりません。食材ひとつひとつが生き生きとした、なんとも春らしい逸品でした。
「シズル感」の演出にも
「使っているときの体験自体も楽しいんですよね。手軽に使えますし」と、スプレーフードを手にしながら、顔をほころばせる本岡さん。さらにその魅力を語ってくれました。「よく、料理ではおいしさを演出する”シズル感”が大事だといわれています。例えば、鉄板でステーキを焼くと、ジューッという音や焼けた香りがおいしさを引き立ててくれますよね。スプレーフードも同じように、”シズル感”を引き出してくれるアイテムだと思います」

オイルのクオリティについては「フレッシュ感がしっかり残っている」と評価しました。
ちなみに、オイルにとって空気に触れる「酸化」は⾵味を損なう原因。スプレーフードは中のものを密閉できる「BOV」という仕組みなので、オイルの鮮度を保つことができるのです。

では、家庭料理ではどのようにスプレーフードを使うのがおすすめでしょうか。
「爽やかな香りのハーブオイル、レモンの香りがついたオリーブオイルなどのオイルは、サラダにぴったりだと思います。サラダのように冷たいお料理では香りが揮発しにくいので、香りが感じられないことも多いと思うんです。そんな時に、スプレーフードは香りを補ってくれます。」
また、濃厚な旨味のあるオイルを使えば、一味違った楽しみ方もできるそうです。
「エビや根菜、トリュフのオイルなどは、スープや焼き魚などに直前にかけると、より美味しくなりますね。直前に温めたお皿の淵にスプレーフードをかけて香りを広げるのも良いと思います。」

自由に試して、自分なりの使い方を見つけるのも良さそうですね。
新技術が広まり、文化になる
最後に改めて、スプレーフードのように新たな調理器具が生まれることはどのような意味があるのかを伺いました。
「ムースを作るための“エスプーマ“という調理器具がありますが、開発されたばかりのころは最先端の店でしか使われてなかったんです。でも、それがだんだん広まって、ホイップクリームが必要なカフェの現場や、家庭のキッチンでも目にするようになりましたよね。だから、フード業界が新しいことを試して、僕たちがそれを使うことで、文化として根付いていくのって、すごく面白いと思います。この新しい試みは広がっていってほしいですね」
スプレーフードが今後広がりをみせ、新たな文化が生まれたら――?
これからの展開に期待が高まります。

「Restaurant KAM」にも、ぜひ足を運んでみてください。
Restaurant KAM
埼玉県川口市戸塚3-1-13
https://www.instagram.com/restaurant_kam_1130
自家菜園で収穫する旬の野菜をふんだんにつかったおまかせコースが楽しめるファームレストラン。
オーナーシェフ・本岡将さんは1993年生まれ、兵庫県加古川出身。南仏やスペインバスク地方で修業後、静岡県のレストラン・ビオスを経て2021年にオープン。
interviewer 芦谷 日菜乃 Photographer 大久保 空

3F Voice
「食(Food)」「未来(Future)」「自由(Freedom)」
新しい食品容器の選択は新しい価値を生み出す
新しいアイデアや技術を生み出し、よりよい未来を切り開いていく
スプレーフードの香りや食感を、実際に試してみませんか?
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「こんなスプレーを作りたい」というアイデアも大歓迎です。お気軽にご相談ください。