Interview Date: July 1, 2024
「Haruka Murooka」 室岡春香シェフ 東京・南青山
Haruka Murooka
「デザートに香りを添える新たな試み」。
今回のインタビューでは、室岡シェフがデザートに香りを活かす工夫や、フードスプレーを使用した印象、そして今後の展望について語っていただきました。
フードスプレーの新たな可能性とデザートへのこだわりに迫ります
-「Haruka Murooka」 を今年の春にオープンされた室岡シェフの思いをお聞かせください。
「Haruka Murooka」は、季節の「春」に「香」と書く自分の名前を店名にしました。1年に1度感じる、春の香りや、寒い冬を抜けて春が来るんだ、という、一瞬のワクワク感や、ときめきを、みなさんに感じていただきたいと思いました。
-室岡シェフは、デザートに注目され、デザートのコースを振る舞われていますが、デザートとの出会いやデザートコース専門のレストランを開業された経緯を教えてください。
自分でメニューを考え、デザートを作るようになったのが、約15年前です。当時、私が働いていた「リビエラ青山」の近くにあった、「ランベリー」のシェフパティシエをしていた森田さんがデザートのコースを提供されており、「こんな世界があるんだ、私もいつかデザートをコースで出したい」 と思ったのが、最初のデザートコースとの出会いです。
私の経歴は料理人から始まっており、パティシエの修行は26歳からです。パティスリー、ケーキ屋ではなく、レストランの最後に、お皿の上で表現するデザートに興味を持っていました。コースの構成の考え方についてはレストランの料理人から学んできた部分が大きいと思います。素材の活かし方、温かい、冷たい、や、柑橘なのか、ビネガー、ベリー系なのか等、様々な要素を取り入れられる点が面白いです。「リビエラ青山」は、平日はレストラン、週末には結婚式を行っていて、パティシエの基礎は、今、八芳園でペストリーシェフをしている黒田さんに教わりました。
-多くの先輩シェフ、先輩パティシエの皆さんから吸収され、経験を積まれて来られ、みなさんも「Haruka Murooka」のオープンを大変喜ばれていることと思います。お客様の反応はいかがですか。
オープンして数カ月ですが、お客様の3割の方は今までデザートコースの経験がない、と言われます。デザートコースは、全部甘いものだと思われ、すべて食べられるだろうか、ランチ・ディナーどちらで行けば良いのか、など迷われている方もいらっしゃいます。
私のデザートは、素材を活かすように作っており、単調にならず、目で見て楽しく、軽く召し上がっていただけるように工夫しています。みなさんに「こんな世界があったのですね」 というふうにおっしゃっていただけます。
-直接、生産地を訪れることも多いのでしょうか。
生産者の方々を訪問するようになったのは約5年前からです。例えば、桃だと、私は主に山梨、岡山、和歌山の生産者の桃を使っていますが、土地によって、種類が違っていたり、梅雨の長さや、日光をどれくらい浴びたか、で、味が左右されます。生産者さんも本当にご苦労されているので、毎年お付き合いをして、信頼関係を築いていくことが、大事だと思っています。
-室岡シェフにとって、これからのデザート、果物、野菜というのは、どのような可能性がある、とお考えですか。
素材の可能性です。今、生産者の方々が、努力されて美味しいものができているのですが、私はあまり進化しすぎない方がいいと思っています。特にいちごや柑橘類は、交配し、どんどん甘くなっていますが、私は原種を守ってほしい、と思っています。いちごの生産者さんで、とちおとめを交配させずに、原種を作り続けている方がいらっしゃいます。その方のいちごは、しっかり酸っぱくて、香りが強いんです。それが私のデザートには向いていて、甘いだけだとデザートにしづらい、ということがあります。
-デザートコースは、これからの素材の可能性を考え、拡げる機会にもなるのですね。
室岡シェフがデザートコースを通じて、お客様に伝えていきたい、感じてもらいたいことを教えてください。
今まで勤めていたお店だと、お料理の後に2品だけしかデザートを出せなかったんです。私は、その季節の旬のフルーツを、1つのコースで余すことなく感じていただきたい、その体験をしてもらいたいと思っています。例えば、夏の時期のフルーツだと、メロン、マンゴー、すいか、桃、と、一気に旬がやってきます。以前だと、どれかに絞らなければならなかったのですが、今だと、全部提供することができるので、みなさんとても喜んでくれています。
-常に、素材と向き合っている室岡シェフが、三谷バルブのフードスプレーを手に取った時の印象はいかがでしたか。
私は香りをデザートに乗せたい、と思うのですが、その方法の1つとして、フードスプレーは気軽に取り入れられるので、すごく便利だと思いました。香りを乗せるためには、自分で少し泡の状態にする必要があり、かけるということができなかったので、これはいいな、と思いました。
-マンゴーのパフェにジャスミンティーのフードスプレーはどのような発想で考えられたのでしょうか。
マンゴーは、ちょっとエキゾチックなイメージがあります。パフェの中には、パッションフルーツや、完熟の台湾パイナップルも入れていて、ちょっと香りを乗せていきたい、と思った時に、ジャスミンの香りが、マンゴーのちょっとエキゾチックな感じを上品に引き立ててくれる、と思ったので、ジャスミンティーのフードスプレーを合わせました。
-いくつかのフードスプレーを試されて、ジャスミンティーのスプレーを合わされたのですか。
はい。カルダモンも考えていました。カルダモンは、デザートメニューの中で、アイスパウダーにして使っていますが、ジャスミンティーは、アイスパウダーにした場合、ちょっと香りが出づらかった。でも、スプレーだと、ジャスミンティーの香りが、そのまま出たので 「この方法だったらいいかも」 と思い、使わせていただきました。
-香りを大切にされていらっしゃる室岡シェフならではの発想ですね。
メロンのデクリネゾンのミントには、オイルスプレーを。
ミントのデザートを作る時、私はいつもアップルミントを少し入れています。メロンはそのまま食べてもおいしいのですが、ウリ科なので、食べ終わった時に、若干、青臭さや瓜の残香のようなものが残るんです。そこに、ミントが入ることで、とても爽やかで、後味を華やかにしてくれます。今回、ミントをオイルでスプレーしてみました。スプレーしたその瞬間に、部屋中ミントの香りになるので、その香りの中でメロンを召し上がっていただくと、鼻からミントの香りがし、口ではメロンのジューシーさを味わっていただく、二重奏のような感じとなり、よりメロンがおいしくなるなと思いました。
-ほかにも、フードスプレーの活用アイデアはお持ちですか。
お料理でも使っていけると思います。私は、必ず、少しお料理に近い、野菜を使った1品を出しています。例えば、アスパラを使ったメニューで、白アスパラの部分をムースにし、グリーンアスパラを冷製のスープにして、その上にオリーブオイルを垂らしています。これをフードスプレーでやってみたい、と思いました。
他には、スフレの最後にスプレーをすることもできる、と思います。フードスプレーは揮発性があるので、温かい上にスプレーすると、お客様の目の前でさらに香りが拡がる、ということもできるのではないか、と。性能としてはとても良いので、これからもいろいろ試していきたい、と思います。
-ご意見ありがとうございます。最後に、室岡シェフの今後の展望をお聞かせください。
私が、「Haruka Murooka」 を10年やったとしても、いちごの季節で10回しかできないということなので、お客様にも楽しみにしていただけるようにしていきたいです。本当は、私は、焼き菓子も得意なので、デザートコースと焼き菓子も徐々に進めていければと思っています。
Haruka Murooka
〒107-0062 東京都港区南青山1丁目21−9 LUXE南青山1F−B
https://harukamurooka.jp/
レストランパティシエとし16年経験してきた室岡が全国の生産者さんから直接取り寄せた旬のフルーツやお野菜の美味しさを活かし、お客様の目の前で調理いたします。
作家さんにご制作いただいた器やカトラリーと共にお楽しみください。
interviewer
Gastronomist 杉山 尚美
3F Voice
「食(Food)」「未来(Future)」「自由(Freedom)」
新しい食品容器の選択は新しい価値を生み出す
新しいアイデアや技術を生み出し、よりよい未来を切り開いていく
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OEM開発や小ロットでのサンプル作成も承ります。
こんなスプレーが作ってみたい!というご要望などございましたらご気軽にご相談ください。