Interview Date : August 27, 2025
「Tatsuya Noda」野田達也シェフ
GIC Tokyo
Introduction
ミタニが開発する「スプレーフード」は可燃性ガス不使用で液体をミストやドロップ状に噴射することができます。その未来を探るコーナー「3F Voice」。今回はテクノロジー、アート、医療など幅広い分野と食を掛け合わせる料理人・野田達也さんを取材。
ミタニの「スプレーフード」を実際に使用していただき、野田さんが見据える食のこれからについてもお話を伺いました。
スプレーフードの香りや食感を、実際に試してみませんか?
打ち合わせ、サンプル送付、OEM開発、小ロット試作まで承ります。
「こんなスプレーを作りたい」というアイデアも大歓迎です。お気軽にご相談ください。
ガストロノミーの最前線が集まる場所「GIC Tokyo」
訪れたのは、野田さんがガストロノミーアドバイザーを務めるフードラボ「Gastronomy Innovation Campus Tokyo(以下GIC Tokyo/ジーアイシートーキョー)」。「GIC Tokyo」は、スペイン・サンセバスチャンにあるガストロノミー研究機関「Basque Culinary Center」が推進する「Gastronomy Open Ecosystem(GOe)」の海外拠点として誕生しました。食を通じて土地の文化や歴史を考察するガストロノミーの学び場です。八重洲、日本橋、京橋エリアで環境に配慮した街づくりに取り組む「株式会社東京建物」が、2024年11月に東京・八重洲に開設しました。
「GIC Tokyo」ではスタートアップ企業や、自治体関係者、研究者、料理人などの専門家が集い、セミナーや交流会等が行われてます。会場には3Dフードプリンターや介護食への活用が期待されているデリソフターという調理家電などの最新調理器具も備えられています。
ここで、野田さんにスプレーフードを使用した料理を作っていただきました。
一品目「産土(うぶすな)」

こちらは食材の育まれる畑や土地を表現した、野田さんのシグネチャーディッシュ。市松模様のように美しく皮を剥いたナスをイチジクの葉の香りをうつしたオイルで焼き、葉で包んで加熱。仕上げにイチジクの葉で香りづけしたオイルを、スプレーフードでふわりと吹きかけました。


ソースには野田さんが幼い頃食べた祖母の味から着想を得て糠漬けを使用。パプリカやキュウリ、ウイキョウの糠漬けを細かく刻み、セルフィーユなどのハーブとイチジクオイルを和えたサルサソースです。
ふっくらとしたナスを口にすると、爽やかなイチジクの香りと茄子の甘みがジュワっと広がります。異国の風を吹かせるサルサソースと、どこか懐かしい日本の味わいが不思議と融合していました。

「この料理は10年以上作り続けているので、作るたびに自分の料理観を確かめるものになっています。今回はスプレーフードを使うことで、フレッシュなイチジクの香りを重ねられました。ガスを使用せずにオイルが密閉されているので、クリアな香りをまとわせられますね」(野田さん) 野田さんはスプレーフードを手にしながら「今までできなかったことができそう。スプレーで簡易的に食事を摂れるようにしたり、ルームフレグランスに使ったりもできそうですね」と話しました。
二品目「近江鴨のロースト」

続いては、滋賀県高島市の近江鴨を低温でじっくり焼くことで柔らかくジュ―シーに火入れしたこちら。ラベンダーオイルのスプレーフードを吹き付け、炭火焼きで仕上げました。そこにローストした赤タマネギと赤ワインのうまみを凝縮させたソースを合わせます。

付け合わせには、島根県「津和野高校」の学生が自然農法で育てた桑の実を使ったジャムをはじめ、「日本草木研究所」の国産マーガオ、焼きナスと味噌のピューレ、さらに万願寺唐辛子のグリルを添えています。

パリッと香ばしい皮を噛めばハリのある鴨肉から肉汁が広がり、上品なラベンダーの香りと合わさります。付け合わせによって表情もガラリと変わり、ずっと噛みしめていたくなるようなうまみのある一品でした。

「刷毛でオイルを塗ると食材表面のうま味や塩を拭ってしまうこともあるのですが、スプレーなら直接食材に触れないので、それらを残しつつ香りを纏わせることができるのも良いですね」 (野田さん)

食材選びにもこだわりがあります。例えば、調理による端材をコンポストとすることで資源を循環させている、埼玉県「須永農園」。また、 ウインドレス鶏舎を採用し、また農場近くの良質な山水をナノバブル化した量子水を与えることで、腸内環境を整え、鴨の健康な体づくりを実現するなど、 アニマルウェルフェアへの問題にも取り組む近江鴨の生産者などから食材を仕入れています。
そのような料理を通じた地球環境への配慮は自身がディレクターを務めるイノベーティブフレンチレストラン「nôl(ノル)」(日本橋馬喰町)でも活かされています。同店は2022年から5年連続ミシュラン一つ星、2024年から3年連続でミシュラングリーンスターを獲得しています。
「リジェネラティブ」を身近においしく

食を通じた社会課題の解決。その実践が「GIC Tokyo」の隣に併設されたイノベーティブキッチン「8go」でも行われています。
2025年5月にオープンした「8go」では、「再生する」という意味をもつ「リジェネラティブ(regenerative)」をテーマとしたメニューを提供しています。野田さんが監修する同店ではグルテンフリーのハンバーガーや、ガストロノミーサイエンスの技術や国産食材を利用したタパス、腸内環境を整えるドリンクなどを楽しめます。
野田さんはリジェネラティブという言葉をどのように捉えているのでしょうか。
「これまで世の中では便利さや豊かさを追い求めてきたために、「さまざまな環境問題などが現れ、このままではいけないと『SDGs』や『サスティナブル』という概念の浸透が進みました。 でも、本来は消費してきたものを持続可能にするだけではなく、回復させ、よりよい状態へと再生していく必要がある。サスティナブルの次の目標として、リジェネラティブがあるのだと思っています」(野田さん)
リジェネラティブとは・・・
1970年代に循環型の街づくりを目指した建築家マイケル・ポーリンから提唱されました。どのようにして自然環境を再生させながら暮らすかを考えるキーワードです。
地球の環境問題や社会課題を解決しよう、というと壮大で遠く感じてしまう方もいるかもしれませんが、食材や技術を通して、食べた人に『共感』していただき、その背景を『知ってもらう』機会を創出することも料理人の大切な役割のひとつ。みなさんが日々の生活の中で、一瞬でもいいので未来のことを考えるような時間を『8go』で作れたらいいなと思います」と野田さん。
海外との交流拠点としてのGIC
現在「GIC tokyo」の母体であるスペインの「GOe」が本格始動となり、「GIC Tokyo」では今後はより一層、海外との交流を進めていきたいとのこと。日本の最新技術を海外へ発信し、海外のプロダクトを日本に紹介し、ここに来れば、日本の“いま”の食を体感できる、そんな拠点へと進化していくでしょう。
ワクワクやおいしさとともに、地球全体へ目を向けてみたくなるきっかけを生むーーそんな野田さんの挑戦や「GIC Tokyo」の活動。ぜひ注目してみてください。

料理人・野田達也さん
福岡県出身。
エンジニアから料理人を志し、調理師学校を経て、都内フランス料理店やパリのレストラン「Passage53」で修業。現在は日本橋馬喰町のミシュラン星付きレストラン「nôl」(グリーンスター獲得)、八重洲のフードラボ「GIC Tokyo」、イノベーティブキッチン「8go」のディレクションを務める。
料理人コンテスト「REDU-35」では3度の準グランプリ受賞。
フリーの料理人として、メニュー開発やコース料理のケータリングなど、様々なフードイベントのオーガナイズも手掛ける。
食×医療、アート、テクノロジーなど、多分野の垣根を越えた共創を通じて、「新たな美味しさの創出」をテーマに幅広い分野で活動。
GIC Tokyo
東京都中央区八重洲1-4-16 地下二階 八重仲ダイニング内
「Regenerative City Tokyo」を掲げ八重洲・日本橋・京橋を中心に環境課題に取り組む株式会社東京建物が立ち上げた。リジェネラティブな食体験を提案するイノベーティブキッチン「8go」とともに「TOKYO LIVING LAB」の場を形成。
https://gicTokyo.com/
8go
東京都中央区八重洲1-4-16 B2F 八重仲ダイニング内
https://8go8go8go.jp
nôl
東京都中央区日本橋馬喰町2-2-1 DDD HOTEL 1F
https://nol.jp/
interviewer 芦谷日菜乃 Photographer 大久保空

3F Voice
「食(Food)」「未来(Future)」「自由(Freedom)」
新しい食品容器の選択は新しい価値を生み出す
新しいアイデアや技術を生み出し、よりよい未来を切り開いていく
スプレーフードに関する打ち合わせ、サンプル送付、
各種お問い合わせは以下よりお願いいたします。
OEM開発や小ロットでのサンプル作成も承ります。
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というご要望などございましたらご気軽にご相談ください。
