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海洋汚染の影響とは?生態系・人体への影響と5つの原因や対策を解説

海洋汚染は、私たちの生活に直結する深刻な環境問題です。この記事では、海洋汚染が生態系や人体、経済に与える影響を分かりやすく解説し、その原因と対策を具体的に紹介します。環境問題に関心がある方、日常生活でできるアクションを知りたい方に役立つ情報をお届けします。

海洋汚染とは?地球の海が直面する危機


海洋汚染とは、人間の活動によって海の環境が悪化する現象を指します。工場や家庭から排出される汚水、プラスチックごみ、船舶からの油など、さまざまな汚染物質が海に流れ込むことで、本来の美しく豊かな海が損なわれています。

この問題が世界的に注目されている理由は、海洋汚染の影響が年々深刻化し、もはや一部の地域だけの問題ではなくなっているためです。海は地球の約70%を占め、気候調整や酸素供給、食料資源の提供など、私たちの生命を支える重要な役割を果たしています。

その海が危機に瀕しているということは、私たち人類の未来そのものが脅かされていることを意味します。特にプラスチックごみの増加は深刻で、このままでは2050年には海のプラスチック量が魚の量を上回るという予測もあります。

海洋汚染がもたらす深刻な影響


海洋汚染は、単に海が汚れるという問題にとどまりません。その影響は多岐にわたり、私たちの生活に直接的・間接的に関わっています。

まず生態系への影響が挙げられます。海に流れ込んだプラスチックごみや有害物質が、海洋生物の生存を脅かしています。次に、汚染された海から採れる魚介類を通じて、私たち人間の健康にも悪影響が及ぶ可能性があります。そして経済面では、漁業や観光業に深刻な打撃を与えています。

これらの影響は互いに連鎖しています。生態系が破壊されれば漁獲量が減少し、漁業が衰退します。汚染された海岸は観光客を遠ざけ、地域経済に打撃を与えます。

そして最終的には、汚染された魚介類を通じて人体への健康リスクが高まる可能性があります。海洋汚染は単独の問題ではなく、環境・経済・健康が複雑に絡み合った課題なのです。

海洋汚染が生態系にもたらす被害は深刻です。最も目に見える形で現れるのが、プラスチックごみによる被害です。

ウミガメがレジ袋をクラゲと間違えて食べてしまったり、海鳥の胃の中からプラスチック片が大量に見つかったりするケースが世界中で報告されています。これらの海洋生物は、消化できないプラスチックによって命を落とすことも少なくありません。

さらに深刻なのが「ゴーストフィッシング」と呼ばれる問題です。海に放置された漁網が、意図せず魚や海洋哺乳類を捕らえ続け、無駄な犠牲を生み出しているのです。

そして、目に見えない脅威として広がっているのがマイクロプラスチックです。5ミリメートル以下の微細なプラスチック粒子は、海洋生物の体内に蓄積するだけでなく、サンゴの成長を阻害することも明らかになっています。

サンゴ礁は「海の熱帯雨林」とも呼ばれ、多様な生物の生息地となっている生態系の土台です。その基盤が揺らげば、海全体のバランスが崩れてしまいます。

参考:WWFジャパン「海洋プラスチック問題について」

海洋汚染は、海から遠く離れた場所に住む私たちの健康にも影響を及ぼす可能性があります。

汚染された海で育った魚介類を食べることで、有害な化学物質やマイクロプラスチックが人間の体内に入り込むリスクが指摘されています。特に懸念されているのは、食物連鎖を通じて濃縮される「生物濃縮」という現象です。

小さな魚がマイクロプラスチックを取り込み、それを大きな魚が食べ、最終的に私たち人間の食卓に届く。このプロセスで、有害物質の濃度は徐々に高まっていきます。

ただし、この点については注意が必要です。現時点で、マイクロプラスチックが人体に与える長期的な影響については、まだ完全には解明されていません。研究は進行中であり、科学的な結論を出すには時間がかかります。過度に不安になる必要はありませんが、予防の観点から対策を進めることが重要です。

参考:日本財団ジャーナル「【増え続ける海洋ごみ】マイクロプラスチックが人体に与える影響は?東京大学教授に問う」

海洋汚染は、私たちの経済活動にも深刻な打撃を与えています。漁業への影響は計り知れません。汚染によって魚の生息環境が悪化すれば、漁獲量は減少します。

さらに問題なのは、水産物のブランド価値の低下です。「あの海域の魚は汚染されているかもしれない」という懸念が広がれば、たとえ実際には安全であっても、消費者は買い控えてしまいます。漁業で生計を立てる人々にとって、これは死活問題です。

観光業も大きな影響を受けています。美しい海岸や透明度の高い海は、多くの観光地の最大の魅力です。しかし、海岸に大量のごみが漂着している光景を目にすれば、観光客の足は遠のきます。清掃作業にかかるコストも、地域の財政を圧迫します。

海洋汚染は環境問題であると同時に、経済問題でもあるのです。海の健康を守ることは、地域経済を守ることにも直結しています。

参考:JAMSTEC「海に流れたプラスチックは、海洋生態系、経済・社会にダメージを与える」

海洋汚染の主な5つの原因


海洋汚染を引き起こす原因は多岐にわたりますが、主要なものとして5つの要因が挙げられます。

ペットボトルやレジ袋など、分解されないプラスチック製品が海に流れ込み、マイクロプラスチック化して生態系に影響を与えています。

家庭から出る油や洗剤に含まれる窒素・リンが海に流れ込み、富栄養化や赤潮の原因となります。

有害な化学物質や重金属を含む排水が、適切に処理されずに海に流出するケースがあります。

タンカー事故による大規模流出だけでなく、日常的な運用における小規模な油の排出も問題となっています。

使わなくなった家電製品や粗大ごみが海や川に捨てられ、海洋生物の生息地を破壊し、有害物質を溶出させています。

関連記事:海洋汚染の現状とは?原因や対策と私たちにできること

 海洋汚染の現状


海洋汚染の現状は、想像以上に深刻です。具体的なデータを見ると、その緊急性がより明確になります。

2022年に行われた経済協力開発機構(OECD)の報告によると、世界の海には、推定で3億5300万トンものプラスチックごみが存在すると言われています。そして毎年、約2200万トンのプラスチックごみが海や山などの環境に流入しているのです。

最も衝撃的な予測は、「このままでは2050年、海のプラスチックごみの量が魚の量を上回る」というものです。魚よりもプラスチックが多い海。そんな未来を、私たちは次世代に残すわけにはいきません。

日本の沿岸でも、漂着ごみの問題は深刻化しています。海上保安庁のデータによれば、日本周辺海域で確認される海洋汚染事案は年間400件以上に上ります。特に日本海側では、国外から流れ着くごみも多く、国際的な協力が必要な状況です。

関連記事:海洋汚染の現状とは?原因や対策と私たちにできること

 海洋汚染を食い止めるための対策


海洋汚染という地球規模の課題に対して、世界はどのように立ち向かっているのでしょうか。

対策は大きく分けて2つの軸で進められています。国際社会全体が共通の目標を掲げ、それを受けて各国が法律や政策を整備する。この連携によって、より効果的な対策が実現しています。

重要なのは、これらの対策が私たち一人ひとりの行動にもつながっているということです。国際的な目標や法律は、最終的には日常生活の中での選択や行動に反映されます。ここからは、具体的にどのような取り組みが行われているのかを見ていきます。

国際社会は、海洋汚染問題に対して共通の目標を掲げています。その代表的なものが、SDGs(持続可能な開発目標)の目標14「海の豊かさを守ろう」です。

この目標では、2025年までにあらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減することが掲げられています。具体的には、海洋ごみや栄養塩類(窒素・リンなど)による汚染を含め、陸上活動による汚染を減らすことが求められています。

また、プラスチックごみの国際的な移動を規制する「バーゼル条約」も重要な枠組みです。2019年の改正により、汚れたプラスチックごみの輸出入が規制対象となりました。これにより、先進国が途上国にごみを押し付けるような事態を防ぐことができます。

国際的な取り組みは、各国が協力して問題に取り組む基盤となっています。海はつながっているからこそ、一国だけの努力では解決できません。

参考:外務省「SDGグローバル指標(SDG Indicators)14: 海の豊かさを守ろう」

参考: 環境省「バーゼル条約附属書改正とバーゼル法・廃棄物処理法の施行について」

日本も、海洋汚染対策に積極的に取り組んでいます。法的な枠組みとして重要なのが「海洋汚染防止法」です。この法律は、船舶や海洋施設からの油や有害物質の排出を規制し、違反者には罰則を科すものです。また、「水質汚濁防止法」によって、工場や事業場からの排水基準が定められています。

近年注目されているのが、環境省が推進する「プラスチック資源循環戦略」です。この戦略では、2030年までに使い捨てプラスチックを25%削減するという具体的な数値目標が掲げられています。その一環として、2020年7月からレジ袋の有料化が全国で実施されました。

レジ袋有料化の効果として、消費者の意識は確実に変わり、マイバッグの使用が広がりました。環境省の調査によれば、レジ袋の国内流通量は有料化前の約半分に減少し、1週間レジ袋を使用しなかった人の割合は約7割に達しています。

参考:環境省「レジ袋有料化(2020年7月開始)の効果」

関連記事:再資源化事業等高度化法とは?基本概要から企業への影響まで分かりやすく解説

海洋汚染対策のために私たちが今日からできること


国や企業の取り組みも重要ですが、私たち一人ひとりの行動も大切です。海洋汚染対策の基本は「3R」、つまり「ごみを減らす(Reduce)」「繰り返し使う(Reuse)」「資源として再利用する(Recycle)」です。この考え方を日常生活に取り入れることで、誰でも海を守るアクションを起こせます。

小さな行動の積み重ねこそが、大きな変化を生み出します。ここからは、今日から実践できる具体的なアクションを紹介します。

最も基本的で、しかし最も重要なアクション。それが、ごみの正しい分別とポイ捨てをしないことです。この基本が徹底されていないからこそ、海洋汚染は深刻化しています。

街中に捨てられたペットボトルは雨で側溝に流れ、川を通じて海へと辿り着きます。海岸でのバーベキュー後に残されたごみも、同じ運命をたどるのです。ちょっとした不注意や「これくらいなら」という油断が、やがて大きな環境問題へとつながっていきます。

もう一歩進んだアクションとして、地域の清掃活動やごみ拾いイベントへの参加もおすすめです。実際に海岸のごみを拾うことで、問題の深刻さを肌で感じることができるでしょう。同じ志を持つ人々とのつながりも生まれ、継続的な活動のモチベーションにもなります。

使い捨てプラスチックを削減する具体的な方法として、マイバッグ、マイボトル、マイ箸などの活用が効果的です。

買い物の際にマイバッグを持参すれば、レジ袋は不要です。外出時にマイボトルを持ち歩けば、ペットボトル飲料を買う必要がなくなります。外食時にマイ箸を使えば、割り箸のごみも出ません。こうした小さな習慣が、年間で見ると大きなプラスチック削減につながります。

最初は面倒に感じるかもしれません。しかし、習慣化してしまえば、持ち歩くことが当たり前になるものです。最近では、デザイン性の高いマイボトルやエコバッグも増えており、環境に配慮した選択が自然にできる時代になっています。

お気に入りのアイテムを見つければ、楽しみながら環境保護に貢献できるのではないでしょうか。

生活排水による汚染を防ぐためには、日々のちょっとした工夫が大切です。食器の油汚れは、洗う前に紙や布で拭き取る。これだけで、排水に流れる油の量が大幅に減ります。

洗剤についても、多ければ良いというものではありません。適量を守ることで、余計な化学物質を海に流さずに済みます。「たくさん使ったほうがきれいになる」と思いがちですが、実は適量で十分な洗浄力が得られるのです。

使い終わった天ぷら油の処理も重要です。絶対にそのまま流してはいけません。市販の凝固剤で固めたり、牛乳パックに新聞紙を詰めて吸わせたりして、燃えるごみとして捨てましょう。多くの自治体では、廃食用油の回収も行っています。回収された油は、バイオディーゼル燃料などにリサイクルされ、新たな資源として生まれ変わります。

ここまで、ごみを減らす(3R)といった物理的な対策を中心に紹介しました。しかし、もう一つ見過ごされがちな重要な視点があります。それは、ごみになる前の「製品そのものの使い方」です。

特に、日々の生活で使う洗剤やシャンプーなどは、その「中身」が生活排水として海に流れ出ています。この「使いすぎ」を無理なく防ぐことも、未来の海を守るための新しいアクションなのです。

毎日の「使いすぎ」を見直すことが、未来の海を守る第一歩に


ここでは、これまでとは少し違う角度から海洋汚染対策を考えてみます。それは「中身の使いすぎ」という視点です。

洗剤やシャンプー、ボディソープなどを必要以上に使うと、その分多くの化学物質が排水として海に流れ込みます。これは前述した「生活排水」による水質汚染を悪化させる直接的な原因となります。
解決の鍵は、「適量を使う」というシンプルな習慣にあります。しかし、「適量」を意識し続けるのは簡単ではありません。忙しい日常の中で、毎回量を考えながら使うのは現実的ではないでしょう。ここで重要になるのが、「使い方」を変えることです。

たとえば、押す回数で出る量が決まるような仕組みがあれば、毎回意識しなくても自然に使いすぎを防げます。日常の負担を増やさずに、排水の負荷を減らすことにもつながります。

 「適量を出す工夫」を支えるディスペンサーポンプの考え方や種類については、こちらでわかりやすく紹介しています。

まとめ:豊かな海を未来へつなぐために

2050年、海のプラスチックごみの量が魚の量を上回る――記事の冒頭で、この衝撃的な予測をお伝えしました。

海洋汚染は、私たちの想像以上に深刻な問題です。海に住む生き物たちの命を奪い、食物連鎖を通じて私たちの健康にも影響を及ぼし、漁業や観光業といった経済活動にも打撃を与えています。

その大きな原因となっているのが、プラスチックごみです。ごみの分別、マイバッグの使用、洗剤や油の使い方への配慮。これまで紹介してきたアクションは、どれも海を守るための大切な一歩です。

しかし、もう一つ忘れてはならない視点があります。それは「プラスチックを循環させる」という考え方です。使い終わったプラスチックを「ごみ」として終わらせるのではなく、新しい製品として生まれ変わらせる。ここで注目したいのが「再生プラスチック」という選択肢です。

再生プラスチックとは、使用済みのプラスチックを回収・処理して作られる、環境負荷の少ない素材のことです。

この循環の仕組みが社会全体で機能すれば、海に流れ込むプラスチックごみは確実に減っていきます。未来の子どもたちに豊かな海を残すために。私たち一人ひとりができることから、今日、この瞬間から始めていきましょう。

関連記事:再生プラスチックとは?種類や用途・メリット・デメリット・製品例を紹介

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