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家庭ごみは海へどう流れ着くのか|汚染経路と私たちにできること

普段何気なく捨てている家庭ごみが、実は海洋汚染の大きな原因になっていることをご存じでしょうか。海洋ごみの約8割は陸上から流れ着いたもので、私たちの生活圏から遠く離れた海へと到達しています。

本記事では、家庭ごみがどのような経路で海へ流れ着くのか、そして私たちにできる対策について詳しく解説します。



家庭ごみが海洋汚染の原因になっている現状

海は地球の表面の約7割を占め、私たち人間の生活と密接に関わっています。しかし、その海が今、陸上から流れ着くごみによって深刻な汚染にさらされています。特に問題となっているのが、家庭から出るプラスチックごみです。ここでは、海洋プラスチックごみの実態について見ていきましょう。

世界中の海には、年間約800万トン以上ものプラスチックごみが流入していると推計されています。驚くべきことに、海洋ごみの約8割は陸上由来のものです。日本近海でも状況は深刻で、海岸に漂着するごみの調査ではペットボトルや食品包装、レジ袋などの家庭由来のプラスチックごみが上位を占めています。

これらのごみは分解されず、海洋環境に長期間残り続けるため、生態系への影響が懸念されています。さらに細かく砕けたマイクロプラスチックは回収が困難で、問題はより深刻化しています。

参考:第3節 海洋プラスチックごみ汚染・生物多様性の損失│環境省


家庭ごみが海へ流れ着く5つの主な経路

家庭から出たごみがどのようにして海へたどり着くのか、不思議に思ったことはありませんか。実は、私たちの身近な場所から意外な経路を通って、ごみは海へと流れ着いています。

ここでは、家庭ごみが海洋汚染の原因となる5つの主要な経路について、具体的に解説していきます。

家庭ごみが海へ到達する一般的な経路が、雨水や河川を通じた流出です。道路脇や側溝に捨てられたごみ、風で飛ばされた包装材などは、雨が降ると雨水とともに排水溝へ流れ込みます。その後、小川や河川へと運ばれ、最終的には海へと到達するのです。 特に台風やゲリラ豪雨などの大雨時には、普段は動かなかったごみも一気に流出し、大量のごみが短時間で海へ流れ着くリスクが高まります。

参考:「海洋プラスチック問題の解決策」 | 政府広報オンライン
参考:ごみのない水辺を目指して ~流域と連携した河川ごみ対策の事例集~|国土交通省

①雨水・河川を通じた流出

山林や空き地、河川敷などへの不法投棄も、海洋ごみの重要な発生源です。人目につきにくい場所に投棄された家電製品やプラスチック製品、建材などは、風雨にさらされて少しずつ劣化し、破片となって周囲に散乱します。

これらは雨水によって流され、河川に混入して海へと運ばれていきます。不法投棄されたごみは適切に管理されていないため、台風などの災害時には特に大量のごみが一度に流出する危険性があります。自治体による回収や監視が追いつかない場所では、問題がさらに深刻化しています。

参考:「海洋プラスチック問題の解決策」 | 政府広報オンライン
参考:海がプラスチックで溢れる!?| ecojin(エコジン):環境省
参考:岸漂着物処理推進の取組 | みやざきの環境

②不法投棄からの流出

意外かもしれませんが、家庭の下水道や排水溝からも微細なごみが海へ流出しています。特に問題となっているのが、洗濯時に衣類から抜け落ちるマイクロファイバー(合成繊維の微細な糸くず)です。これらは非常に小さいため、下水処理施設のフィルターをすり抜けてしまうことがあります。

また、誤って排水口に流されたプラスチック片や、化粧品に含まれるマイクロビーズなども、完全には除去されずに海へと流れ出ています。一つひとつは微細でも、膨大な量が毎日流出し続けているため、累積的な影響は無視できません。

参考:「マイクロプラスチックの影響」| 日本財団ジャーナル

③下水道・排水溝からの流入

海岸や港湾エリアで直接捨てられるごみも深刻な問題です。海水浴場では観光客が残した食品容器やペットボトルなどが見られます。これらは風で飛ばされたり、波で流されたりして直接海へ入ります。

また、漁業活動に伴う漁網やロープなども、破損したり廃棄されたりすることで、海洋ごみとなります。観光地や港周辺ではごみ箱の設置や管理が課題となっており、利用者のモラル向上も求められています。

参考:「海洋プラスチック問題の解決策」 | 政府広報オンライン

④海岸・港湾での直接投棄

適切に処理されるはずのごみでも、工場から適切に回収・処理されなかったりするケースも考えられます。
地震や台風などの災害時には、水路や川を通じ、最終的には海にまで流れ込みます。適切な施設管理と災害対策が、海洋ごみ防止の観点からも重要です。

参考:「プラスチック問題の解決策」| 政府広報オンライン

⑤ごみ処理施設からの漏出

家庭ごみが海洋生態系に与える影響

海へ流れ着いた家庭ごみは、海洋環境や生態系にさまざまな悪影響を及ぼしています。目に見える大きなごみだけでなく、目に見えないほど小さなマイクロプラスチックまで、その影響範囲は広範囲に及びます。ここでは、家庭ごみが海洋生態系に与える具体的な影響について見ていきましょう。

海へ流れ着いたプラスチックごみは、海洋生物に深刻な被害をもたらしています。ウミガメやクジラ、海鳥などがプラスチック片を餌と間違えて誤飲・誤食し、消化器官に詰まらせて死亡する事例が世界中で報告されています。

また、漁網やプラスチックバンドに絡まって身動きが取れなくなり、命を落とす生物も少なくありません。これらの被害は個体数の減少につながり、海洋生態系全体のバランスを崩す要因となっています。サンゴ礁や海藻などの生息地も、堆積したごみによって破壊され、多様な生物の生存環境が失われつつあります。

参考:東京二十三区清掃一部事務組合

プラスチックごみが海中で紫外線や波の作用によって細かく砕けると、5mm以下のマイクロプラスチックになります。これらは非常に小さいため、プランクトンや小魚が餌と間違えて摂取してしまいます。

問題なのは、マイクロプラスチックが食物連鎖を通じて大型魚へと蓄積されていくことです。私たち人間が食べる魚介類にも含まれている可能性があり、健康への影響が懸念されています。マイクロプラスチックは有害物質を吸着しやすい性質があるため、生物濃縮によってさらに危険性が高まる恐れがあります。


家庭ごみを海へ流出させないための対策

海洋汚染を防ぐためには、一人ひとりが日常生活の中で意識的に行動することが大切です。難しいことを始める必要はありません。身近なところから少しずつ取り組むことで、大きな変化を生み出すことができます。ここでは、家庭ごみを海へ流出させないために、私たちができる具体的な対策を紹介します。

海洋ごみを減らすために、まず私たちができるのはプラスチック製品の使用削減です。マイバッグやマイボトル、マイ箸などを持ち歩くことで、使い捨てプラスチックの消費を大幅に減らせます。

また、購入時には詰め替え製品を選んだり、過剰包装を避けたりする選択も効果的です。さらに、適切なごみの分別とリサイクルを徹底することで、ごみの総量を減らせます。

そして何より大切なのが、ポイ捨てをしない習慣づくりです。外出時にはごみを持ち帰る、公共のごみ箱がない場所では自宅まで持ち帰るといった意識が、海洋汚染防止の第一歩となります。

目に見えないマイクロプラスチックの流出を防ぐには、日常的な工夫も効果的です。洗濯時には、合成繊維の衣類から出るマイクロファイバーをキャッチする専用の洗濯ネットを使用するなどが挙げられます。

また、洗濯機の設定を「手洗いコース」などの優しいモードにすることで、繊維の脱落を抑えられます。キッチンや洗面所の排水口には、微細なごみをキャッチするフィルターやネットを設置しましょう。

化粧品や洗剤を選ぶ際には、マイクロビーズが含まれていない製品を選ぶことも重要です。これらの小さな対策の積み重ねが、海洋環境の保全につながります。

個人の取り組みに加えて、地域や社会全体で協力することも大切です。自治体や環境団体が主催する海岸清掃や河川清掃活動に参加することで、既に流出したごみの回収に貢献できます。

また、買い物の際には、プラスチック削減に取り組む企業の製品を選ぶことで、企業の環境配慮型の姿勢を応援できます。学校や職場でも環境問題について話し合い、意識を共有することで、社会全体の行動変容につながります。子どもたちへの環境教育も、未来の海を守るための重要な投資です。


一人ひとりの行動が海を守る

本記事では、家庭ごみが海洋汚染の主要な原因となっている現状と、その流出経路、そして私たちにできる対策について解説してきました。

家庭から出たごみは、雨水・河川、不法投棄、下水道・排水溝、海岸・港湾での直接投棄、ごみ処理施設からの漏出という5つの主な経路を通じて海へ到達しています。海へ流れ着いたプラスチックごみは、海洋生物への直接的な被害をもたらすだけでなく、マイクロプラスチックとなって食物連鎖を通じて生態系全体に影響を及ぼします。

こうした問題に対しては、日常生活でのプラスチック製品の使用削減や、適切なごみの分別・リサイクル、ポイ捨てをしない習慣づくりが重要です。洗濯時の専用ネットの使用や排水口フィルターの設置といったマイクロプラスチック対策、地域の清掃活動への参加も、海洋環境の保全につながる身近な行動といえるでしょう。

家庭ごみの問題は、「捨てた後にどうなるのか」まで考えることで、より立体的に理解できます。特にプラスチックごみは、適切に回収・処理されなければ長期間にわたって環境へ影響を及ぼしますが、一方で、分別や回収の工夫、リサイクル技術の進展によって、資源として再び活用される可能性も広がっています。

実際に廃プラスチックは、どのように回収され、どこで、どのように再利用されているのでしょうか。廃プラスチックの処理やリサイクルの現状については、別の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

遠く離れた海の汚染が、実は私たちの日常生活と深く結びついています。一人ひとりの小さな行動の積み重ねが、海洋環境を守る大きな力となります。今日からできることを始めてみましょう。

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