技術職は、数学、工学、情報工学などの理系の専門知識を活かして製品の製造や維持管理に関わる職種です。製品の開発・設計から保守・運用・修理・メンテナンスまで、その仕事内容は多岐にわたります。特に「モノづくり大国」と呼ばれる日本において、技術職は産業の根幹を担う重要な存在となっています。実際に自分が関わった製品やシステムが人々の役に立つ姿を目にできる、やりがいのある仕事でもあります。本記事では、技術職の種類や仕事内容、向いている人の特徴、未経験から目指す方法などについて詳しく解説していきます。
技術職とは

技術職は、製造業をはじめとする多くの産業分野で重要な役割を果たしています。その定義や具体的な役割、そして技能職との違いについて詳しく見ていきましょう。
技術職の定義と役割
モノづくり大国として知られる日本において、技術職は産業の中核を担う存在です。具体的には、数学、工学、情報工学などの専門知識を活用し、製品の研究開発や設計、製造工程の確立、品質管理などを行います。
たとえば製造業では、新製品の開発から量産体制の構築、製造ラインの保守・管理まで、製品が完成するまでの各工程で技術職が重要な役割を果たしています。製品の高性能化や製造工程の効率化を実現するため、常に新しい技術や知識を取り入れながら、より良いモノづくりを追求していくのが技術職の大きな役割となっています。
また、製品の品質や安全性を確保するため、さまざまな規格や基準に基づいた技術的な判断も技術職の重要な責務です。
技術職と技能職の違い
技術職は研究所や会社で働き、製造の前段階である開発や設計、技術開発が主な業務となります。
一方技能職は、主に工場で働き、ベルトコンベアでの作業や組立、機械操作など、製品を実際に作る作業が中心です。
給与面でも違いがあり、技術職は専門知識が必要とされるため、技能職と比べて給与水準は高めとなっています。
採用形態も異なり、技術職は正社員での募集がほとんどですが、技能職は派遣スタッフやアルバイトなどの募集も多く、未経験者の採用も活発に行われています。

このように、同じものづくりの現場でも、技術職と技能職では役割や特徴が大きく異なるのです。
技術職に求められる基本的なスキル
技術職には次の3つの基本的なスキルが必要とされます。
課題発見・解決力
製品不具合の原因特定から生産ライン効率化まで、問題の本質を見極めて最適な解決策を導き出す能力です。技術の進歩や市場ニーズの変化に柔軟に対応し、より良い製品やシステムを生み出し続けることが技術職の重要な役割であるため、このスキルは不可欠となります。
マルチタスク能力
開発、設計、保守など、性質の異なる複数の業務を同時並行で進められる力です。予期せぬトラブルにも柔軟に対応しながら、期限内に成果を出すことが求められます。限られた時間とリソースの中で最大の効果を生み出すことが企業の競争力向上に直結するため、重要視されています。
コミュニケーション能力
高度な専門知識や技術的な内容を、社内外の関係者に分かりやすく説明し、円滑に業務を進められる力です。技術職の仕事は他部署や取引先との密接な連携のもとで進められ、チームでの協力が不可欠なため、このスキルが重要となります。また、顧客の要望を正確に理解し、技術的な提案や助言を行う場面も多いため、双方向のコミュニケーション能力も必要です。
【種類別】技術職の具体的な仕事内容

技術職は業界や分野によって、求められる専門知識や業務内容が大きく異なります。メーカー系技術職のほか、IT、建築、医療など様々な分野で専門性を発揮できます。以下では、各分野における具体的な仕事内容を詳しく見ていきます。
メーカー系技術職
メーカーにおける技術職は、製品の設計開発から製造、保守に至るまでの一連のプロセスを担当します。設計開発職、研究開発職、生産技術職、設備保全職の4つの職種があり、それぞれが密接に連携しながら製品の開発・製造を行っています。
設計開発職
設計開発職は、樹脂、基盤図、回路図、3Dモデルなどの設計業務を担当します。設計した図面に基づいて部品の選定も行い、他のメーカーや社内の部署と連携を図りながら量産化に向けた準備を進めます。単に図面を引くだけでなく、製品の品質や性能、コストなど多角的な視点から最適な設計を行うことが求められます。
特に他部署との打ち合わせや認識のすり合わせに多くの時間を費やすため、コミュニケーション力の高い人材が活躍できる職種です。
研究開発職
研究開発職は、基礎研究と応用研究の2つに大別されます。基礎研究では新技術や新素材の発見を目指し、応用研究では基礎研究の成果を製品開発に活用する方法を探ります。
技術職の中でも特に高度な専門性が必要とされ、最先端の技術や知識を常に追い求める姿勢が重要です。人々の生活を豊かにする新しい価値を生み出せることが、この職種の大きなやりがいとなっています。
生産技術職
生産技術職は、安全性とコスト削減を両立させた生産工程を確立する役割を担います。新しい工場の立ち上げ時には、必要な機械の選定や設備のカスタマイズなども行います。
海外に工場を設置する際は、現地採用の従業員への指導も重要な業務となるため、語学力やコミュニケーション力が求められます。また、生産ラインの不具合を見つけ出し、効率的な生産を実現するための課題発見力も必要とされます。
設備保全職
設備保全職は工場の機械や設備の維持管理を担う職種で、予防保全(定期点検・修理)、予知保全(故障予兆の察知と対応)、事後保全(トラブル発生後の対応)という3つの業務を行います。
予防保全では定期的な点検や修理を実施し、機械の状態を最良の状態に保ちます。予知保全では測定データの分析や日々の観察から故障の予兆を察知し、トラブルを未然に防ぎます。事後保全では実際に不具合が発生した際の対応を行い、原因の特定から修理までを担当します。
生産ラインの安定稼働を支えるため、機械の知識はもちろん、トラブル発生時に冷静に対処できる判断力も求められます。他部署と連携しながら工場全体の生産性向上に貢献する、製造現場になくてはならない存在です。
その他技術職
メーカー系以外の技術職も、それぞれの分野で重要な役割を果たしています。各分野における専門性と技術力が、社会のさまざまな場面で必要とされています。
IT系技術職
IT系技術職には、主にシステムエンジニア、ネットワークエンジニア、セキュリティエンジニアがあります。システムエンジニアは、顧客のニーズに合わせたシステムの設計・開発を行い、ネットワークエンジニアは、通信ネットワークの構築・運用を担当します。
セキュリティエンジニアは、システムやネットワークのセキュリティ対策を講じる役割を担っています。
建築・土木系技術職
建築・土木分野の技術職は、民間と公共工事の両方で活躍します。設計職は建築物や構造物の設計を行い、施工管理職は実際の建設現場での工程管理や品質管理を担当します。
特に近年は、環境配慮型の建築や耐震技術など、新しい技術への対応も求められています。
医療系技術職
医療系技術職には、診療放射線技師、臨床工学技師、臨床検査技師などがあります。診療放射線技師はX線やMRIなどの医療機器を操作し、臨床工学技師は人工心肺装置などの生命維持管理装置の操作を行います。
臨床検査技師は、血液検査などの各種医学的検査を担当します。
化学系技術職
化学系技術職は、研究職と開発職に大別されます。研究職は新素材や新製品の基礎研究を行い、開発職はその研究成果を実際の製品化につなげます。製品開発では、様々な試験や評価を繰り返し行い、品質と安全性の確保に努めます。
食品系技術職
食品系技術職は、研究、商品開発、品質保証、製造の各部門で活躍します。研究部門では新しい食品素材や加工技術の開発を行い、商品開発部門では消費者ニーズに合わせた新商品の開発を担当します。
品質保証部門では食品の安全性確保を、製造部門では効率的な生産体制の確立を担っています。
▼ミタニの詳しい採用情報はこちらから!▼
技術職に向いている人の特徴

技術職には向き不向きがあり、以下のような性質を持つ人材がより活躍しやすい傾向にあります。技術職を目指す前に、自身の適性について確認しておくことで、よりスムーズなキャリア形成が可能となります。





技術職には特定の資質や性格が向いていると言われています。たとえば、新しい機能を持つ製品の開発に取り組んだり、生産工程の効率化に挑戦したりすることに喜びを感じられる人は、技術職で大きな活躍が期待できます。
また、新しい技術が次々と登場するIT分野では、最新の開発言語やツールを積極的に学ぼうとする姿勢が重要です。製造業では、何度も試作品を作り直して最適な設計を追求したり、微細な部品の組み立てに根気強く取り組んだりすることも必要です。
建設現場では、図面の細かいチェックを丁寧に行い、安全性を確保することが求められます。また、顧客の要望を正確に理解し、技術的な提案を分かりやすく説明できる対話力も必須となっています。
一方で、「今のやり方で十分」と考えて改善に消極的な人や、指示されたことしかしない受け身な姿勢の人は、技術職では苦労する可能性が高いでしょう。
技術職に必要な資格・スキル
【技術職の分野別推奨資格】
・IT系………基本情報技術者試験、ITパスポート
・建築系……建築士、施工管理技士
・電気系……電気主任技術者、電気工事士
・その他……CAD利用技術者、品質管理検定
製造業などのメーカー系では、CAD利用技術者や品質管理検定が重要視されています。特に設計職では2次元・3次元CADの操作スキルが必須となることが多く、CAD利用技術者試験の資格保有は強みとなります。
IT業界では、基本情報技術者試験やITパスポートの取得が推奨されており、これらはシステム開発やネットワーク構築に必要な基礎知識を証明するものとして評価されています。建築業界では建築士や施工管理技士が重視され、実際の設計や現場管理に直結する専門的な知識が問われます。
電気系の仕事では電気主任技術者や電気工事士の資格が必要とされ、特に高圧電気を扱う現場では必須となります。
企業によってはこれらの資格取得に対して手当を支給したり、昇進・昇格の判断材料としたりするケースも多く、キャリアアップの重要な要素となっています。
技術職への転職で重要なポイント
技術職への転職を検討する際は、職種ごとの特性をよく理解し、自分に合った分野を選ぶことが重要です。たとえば研究職や医療系技術職は、高度な専門知識が必要なため未経験からの転職は困難です。
一方で、CADオペレーターやシステムエンジニア、設備保全職などは、基本的な技術スキルを持っていることが前提となりますが、入社後のキャリアパスは企業によって異なります。実際の転職活動では、教育制度の確認がカギとなります。
入社後の研修プログラムや資格取得支援制度が整っているか、技術力向上のための取り組みがあるかなどを、面接時に確認しておくとよいでしょう。
また、転職エージェントを活用するのも効果的です。技術職に特化したエージェントであれば、業界の詳しい情報や企業の採用動向を把握できるほか、書類選考や面接対策でも的確なアドバイスを得られます。
三谷バルブの求人情報

株式会社三谷バルブは、エアゾールバルブ国内シェア50%を誇る業界のリーディングカンパニーとして、新たな技術職の募集を行っています。
本職種では、CADの使用経験、樹脂部品の設計経験、そして化粧品・医薬品・食品容器等の設計経験が必須スキルとして求められています。
具体的な仕事内容としては、ヘアスプレーやUVスプレー、消毒用スプレーなど、国内外の大手メーカーが採用する製品のバルブ設計を担当していただきます。三谷バルブの製品は、私たちの日常生活に欠かせない様々な製品に使用されており、その設計には高い技術力と創造性が求められます。
創業68年を誇る三谷バルブは、長年の技術開発で培われた確かな技術力と、顧客との強固な信頼関係を持つ企業です。応募者には、これまでの設計経験を活かしながら、新しい技術への挑戦意欲も求められます。
具体的には、3D-CADを使用した設計経験、樹脂成形品の設計経験に加え、化粧品や医薬品などの容器設計の経験が活かせる職場です。具体的な待遇や勤務条件については、同社のリクルートページで最新の情報を確認することができます。