使い終わった化粧品のプラスチック容器、どのように捨てればよいか迷っていませんか?この記事では、化粧品容器の適切な分別方法と処分のコツを詳しく解説します。環境に配慮した正しい捨て方を身につけることで、地域のリサイクル活動に貢献できるだけでなく、ごみ収集のトラブルも避けられるでしょう。コスメを愛用する方なら誰もが知っておきたい、実践的な処分方法をお伝えします。
化粧品を正しく捨てるための基本原則

化粧品を処分する際は、まず中身と容器を分けることから始めます。そして自治体のルールを確認し、容器に記載されている識別表示マークをチェックすることが重要です。これらの基本原則を守ることで、環境負荷を減らし、リサイクル資源を有効活用できるでしょう。
原則1:中身と容器の分別
化粧品の中身は基本的に燃えるごみとして出せますが、容器は材質によって分別が変わるため、中身と容器を分ける必要があります。化粧品の内容物をそのまま排水溝に流すと、水質汚染につながる危険性があるので絶対にやめましょう。
液体タイプの化粧品は古い布やキッチンペーパーに吸わせ、パウダータイプは袋や新聞紙に出してから可燃ごみとして処分します。残った化粧品の中身は、家庭にある棒状のものを使えば簡単に取り出せます。爪楊枝・竹串・割り箸などを使って容器のフチを刺すと、中身が崩れて簡単に取り出せます。
原則2:自治体ルールの確認
プラスチックは自治体によって処理方法が異なるので注意が必要です。自治体の分別方法をよく確認して、指定された回収場所や収集日にごみに出すようにしてください。
プラスチックは「資源」「可燃」「不燃」の場合があってややこしいため、まずは自分が住んでいる自治体のホームページなどで、プラスチックがどの扱いになるのか調べましょう。リサイクル可能な資源ごみとして出す場合でも、汚れの程度によっては不燃ごみや可燃ごみになるケースがあることを覚えておいてください。
原則3:リサイクルマークのチェック
化粧品容器を捨てる時は識別表示マークを確認し、自治体の分別方法に従って捨ててください。容器や箱にリサイクルマークがあるか確認することが重要です。容器本体だけでなく、化粧箱にマークが記載されている場合もあります。
リサイクルの表示(識別マーク)は消費者のゴミの分別を容易にして、市町村の分別収集を促進する役割があり、「資源の有効な利用の促進に関する法律」に基づいて表示が義務付けられています。マークが確認できない場合は、自治体のルールに従い可燃ごみや不燃ごみとして処分します。
関連記事:リサイクルマークの意味とは?種類を一覧で分かりやすく解説
【容器の素材別】化粧品の捨て方と分別

化粧品の容器は、使用される素材によって捨て方が異なります。素材を見分けるコツとして、爪で素材の表面を叩いて音を確認する方法があり、ガラスはコンコンと硬い音が、プラスチックは鈍い音がします。ここでは、プラスチック、ガラス、金属などの主要な素材別に、適切な分別方法を解説します。

プラスチック製容器の場合
容器に”プラマーク”があるものは、プラスチックごみとして資源ごみに出すことが可能です。ただし、残った内容物を取り出せなかったり、ひどく汚れていたりする場合は、可燃ごみか不燃ごみとして捨てることになります。ファンデーションのコンパクトやマスカラの容器などが該当します。
コスメは、中身を使い切っているなら、洗わずそのまま出して大丈夫。もしも容器の汚れがひどい場合は、地域の基準に従って「可燃」か「不燃」に出してください。キャップやフタなどのパーツも、プラマークがあれば容器包装プラスチックとして資源ごみに出せます。

ガラス製容器の場合
ガラス製容器はきれいな状態であれば資源ごみとして出せますが、汚れている場合や中身が出しきれない場合は不燃ごみになります。化粧水や美容液の瓶、香水瓶などがこれに当たります。
匂いの強いものは不燃ごみへ出すことが推奨されています。キャップがプラスチック製など異なる素材でできている場合は、分解して別々に分別する必要があります。綺麗に洗い、ラベルを剥がした状態でリサイクルビンに出しましょう。

金属製容器の場合
アイシャドウパレットの金皿など、容器の一部に金属が使われている製品があります。基本的には他のパーツから分離させて資源ごみか不燃ごみに出しますが、分離が難しい場合はそのまま不燃ごみとして処分できます。
金属の割合がごくわずかであれば、容器全体の主要素材に従って分別される場合もあります。複数素材が混在している場合は無理に分解せず、安全を優先して不燃ごみとして処分することをおすすめします。

スプレー缶の場合
エアゾール缶は、必ず中身を使い切ってからごみに出しましょう。中身が残ったまま捨てると、収集車や処理施設で引火・破損などの事故につながる恐れがあります。ヘアスプレーやデオドラントスプレーなどの日用品が主な対象です。
ガスを抜く際は、風通しの良い屋外で、火気のない場所を選びましょう。静電気にも注意が必要です。近年では安全面から、缶に穴を開ける方法を推奨しない自治体が増えています。 ガス抜きキャップ付きの製品であれば、キャップを使って安全にガスを抜けます。古い缶や錆びた缶は無理に処理せず、専門業者への相談がおすすめです。
また、自治体によっては専用袋で分けて出すなど、独自ルールがあるため、必ず確認しましょう。 中身が残ったスプレー缶の処分方法を詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください

鏡付きコンパクトなど複合素材製品の場合
コンパクトケースの鏡は不燃なので、できる人はコンパクトケースの上半分を手で折って切り離し、不燃ごみに出すことをおすすめします。怪我しないように折りましょう。鏡は不燃ごみ、プラスチック部分は資源ごみなど、素材ごとに分別が必要ですが、コンパクトタイプで鏡が付属している容器でも、プラマークがあればプラスチックゴミとして処分できます。
しかしプラマークの記載がない場合は、不燃ゴミに捨ててください。パウダーファンデーションやアイシャドウパレットなどは、プラスチック、金属、鏡、スポンジなど複数の素材で構成されているため、理想的には各パーツを分解して素材ごとに分別しますが、接着剤で固定されている部分を無理に外そうとすると破片が飛び散る危険があります。
容器裏面の識別表示マークを確認し、分解が危険な場合は無理せず不燃ごみとして処分してください。
【コスメの種類別】中身の適切な処分方法

化粧品の中身は、液体、粉末、クリーム状などテクスチャーによって処分方法が異なります。どの種類も基本的には可燃ごみとして処分できますが、環境への配慮から適切な方法で処理することが重要です。処分作業には新聞紙、ビニール袋、割り箸などを用意すると便利です。
化粧水やリキッドファンデーションなどの液体
中身を不要な布に出したあと、そのまま可燃ごみとして捨ててOKです。水質汚染を考えて、容器の中は洗わなくて大丈夫。化粧水、美容液、リキッドファンデーション、香水、マニキュアなどの液体状の中身は、新聞紙や不要な布に染み込ませてから可燃ごみとして捨てるのが基本です。
特に重要なのは、液体は洗面所には流さず、ティッシュや不要なタオルなどに吸わせてから燃えるごみで出すことです。香水やマニキュアなど匂いが強いものは、袋に入れてしっかり縛るなど周囲への配慮も忘れずに行ってください。
液体の量が多い場合は、牛乳パックや空き箱に新聞紙を詰めて、そこに流し込む方法が効果的でしょう。ただし、マニキュアや除光液は揮発性が高いため、必ず換気の良い場所で作業し、火気には十分注意してください。
ファンデーションやチークなどの粉末
パウダーファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウ、チークなどの粉状の中身は、ビニール袋や新聞紙にかき出してから処分します。パウダータイプは袋や新聞紙に出してから可燃ごみとして捨てましょう。
また、パウダー自体は燃えるごみで、容器は素材によってそれぞれ分別します。付属のパフ、スポンジ、チップ、ブラシなども可燃ごみとして一緒に処分できるため、まとめて処理すると効率的でしょう。
固形のプレストパウダーの場合は、竹串や爪楊枝で表面を削るようにすると取り出しやすくなりますが、粉状であるルースパウダーは容器を逆さにして軽く叩くと、残った粉が落ちてきます。作業中は粉が舞いやすいため、マスクを着用することをおすすめします。
口紅やクリームなどの油性、クリーム状
口紅、リップグロス、クリーム、ジェルなど油分や粘度の高い中身は、ティッシュやキッチンペーパーで拭き取ってから処分します。拭き取った後は新聞紙などにくるんで可燃ごみとして捨てるのが基本でしょう。
チューブタイプの容器で中身を出し切るのが難しい場合は、無理に分解せずそのまま可燃ごみとして捨てても問題ありません。口紅の場合は、できるだけ繰り出して根元から折り、残った部分を紙で包んでから処分するとよいです。
スティック状の製品は、温めると柔らかくなって取り出しやすくなるため、ドライヤーで軽く温めてから作業する方法もあります。ジャータイプのクリームは、スパチュラや使い捨てスプーンでかき出してから処分すると効率的です。
「捨てる」から「選ぶ」へ。環境に配慮したサステナブルなアクション

化粧品の適切な処分は大切ですが、購入する段階から環境への配慮を始めることもできます。消費者として環境負荷の少ない製品を選ぶことで、ごみの削減に貢献できるのです。
リサイクル可能な素材を使用した容器、詰め替え可能な製品、環境配慮型の原材料を使用した商品など、企業の環境への取り組みに注目して製品を選ぶことが、持続可能な社会の実現につながるでしょう。使い終わった後の処分だけでなく、購入時から環境を意識することで、より効果的な環境保護活動に参加できます。
「使う・使い切る・捨てる」までを見据えたディスペンス設計

化粧品容器(キャップや部品)の適切な廃棄・分別には、内容物・容器材質・吐出機構の構成を正しく理解することが重要です。容器は単一素材で構成されるとは限らず、プラスチック、ガラス、金属、ゴム等複数の部材が一体化されていることが多いため、ユーザーが無理なく分別できる構造設計が今後さらに求められていきます。
三谷バルブは、エアゾールバルブおよびディスペンサーポンプの開発において、
- 内容物特性に応じた吐出量・霧化・粘度対応
- 安全性・密封性・耐薬品性の確保
- 使用後の処理・分別性を考慮した構造提案
といった観点から、製品体験と運用性を両立するディスペンス設計を行っていきます。
化粧品容器の分別・処理の課題は、消費者段階だけではなく、設計段階での配慮により改善できる領域が大きく残されています。
「使う・使い切る・廃棄する」までを一連のプロセスとして捉え、適切な吐出機構と構造設計を選択することが、持続的な製品価値とブランド体験の向上につながります。
今後も三谷バルブは、化粧品メーカー・容器メーカーとともに、使用性と分別性を両立するディスペンス技術の開発を進めてまいります。製品ラインナップや各機構の特性については、以下のカタログよりご覧いただけます。用途に合わせた試作・共同開発のご相談も承っております。



