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コールドプレス製法とは?オリーブオイルや菜種油に使われる低温圧搾の仕組み

オイルの製造方法には、温度によって異なる圧搾法があります。その中でもコールドプレス製法は、素材本来の栄養価や風味を損なうことなく、高品質なオイルを生み出す製法として注目されています。この記事では、コールドプレス製法の仕組みや特徴、そのメリット・デメリットについて詳しく解説します。オイルの品質にこだわる生産者や、より良質なオイルを選びたい消費者の方々にとって、参考となる情報をお届けします。


コールドプレス製法(低温圧搾製法)とは


コールドプレス製法は、食用オイルの原料となる果実や種子を低温で圧搾する製造方法です。この製法では、オリーブやコーン、菜種などの原料を27度前後の低温に保ちながら圧搾します。
そうすることで、素材本来の栄養価を損なわない高品質なオイルを生み出すことができます。圧搾時には摩擦熱が発生するため、一気に圧力をかけるのではなく、ゆっくりと時間をかけて圧力を加えていきます。

この工夫により、摩擦熱の発生を最小限に抑え、原料の品質劣化を防ぐことができます。自宅でフレッシュな野菜ジュースを作る時に加熱しないのと同じように、素材の鮮度を最大限に活かすため、丁寧な圧搾工程が必要不可欠です。
低温圧搾製法とも呼ばれるこの製法は、原料をそのまま圧力をかけて押しつぶしたり、すり潰してから圧力をかけたりと、素材に応じて最適な方法で行われます。

コールドプレス製法のメリット・デメリット


コールドプレス製法のメリット・デメリットは以下の通りです。

コールドプレス製法の最大のメリットは、原料となる果実や種子の栄養素やビタミンを壊すことなく搾れることです。低温で丁寧に圧搾することで、素材本来の風味や香りを損なわず、フレッシュな状態を保持できます。
また、高温による酸化を防ぐため、より安定した品質のオイルを製造できます。一方で、この製法には採油効率の低さという大きな課題があります。
例えば菜種油の場合、低温圧搾法では20~30%しか搾れないのに対し、高温圧搾法では60~70%の抽出が可能です。この効率の低さは生産コストの上昇につながり、大量生産が難しいというデメリットとなっています。

コールドプレス製法と高温圧搾法の違い


オイルの製造方法には、コールドプレス製法の他に高温圧搾法があります。コールドプレス製法と高温圧搾法の違いは以下の通りです。

高温圧搾法では、オイルの採油効率を高めるために170度という高温で加熱して圧搾します。この方法では、搾油効率が60~70%と高く、大量生産に適しています。しかし、高温処理により原料の栄養素が失われ、風味も弱まってしまいます。
さらに、高温圧搾後の搾りかすからも油を抽出するため、溶剤を使用することがあります。この場合、採油効率は99%まで上がりますが、フレッシュな栄養素や風味は大きく損なわれてしまいます。

オリーブオイルにおけるコールドプレス製法の重要性


オリーブオイルは熱に対して非常に繊細で、高温にさらされると品質が急速に劣化してしまう特徴があります。特に最高級品のエキストラバージンオリーブオイルでは、オリーブ本来の風味と香りを保持することが最も重要です。
そのため、27度以下での製造が義務付けられ、製造過程の全工程で温度計の設置が必要とされています。この厳密な温度管理により、オリーブの持つ揮発性成分の損失を防ぎ、豊かな香りと風味を保持することができます。
また、コールドプレス製法では原料の酸化を抑制できるため、品質の指標となる酸度を低く抑えることが可能です。そのため、コールドプレス製法のラベルが貼られたエキストラバージンオリーブオイルは、徹底した品質管理のもとで製造された良質な製品であると言えます。このように、コールドプレス製法は最高級オリーブオイルに不可欠な製造方法となっています。

コールドプレス製法の菜種油をフードスプレーに


コールドプレス製法は、低温でゆっくりと時間をかけて素材を圧搾することで、栄養価や風味を最大限に活かすことができる製法です。茨城県牛久市では、耕作放棄地を活用してうしくグリーンファーム株式会社が菜の花を栽培し、このコールドプレス製法で菜種油を製造しています。

この希少な菜種油に、つくば栄養医療調理製菓専門学校が香り付けを施してフレーバーオイルを開発。さらに、株式会社三谷バルブは、国内初となるBOV(Bag on Valve)技術を活用し、このフレーバーオイルをフードスプレー化することに成功しました。このスプレー容器は、従来の瓶やプラスチック容器と違い、光や空気による劣化を最小限に抑え、コールドプレス製法で丁寧に搾られた菜種油の鮮度と香りを長く保つことができます。これは、伝統的な製法と現代の技術、そして地域の取り組みが融合して生まれた、新しい食用油の形といえるでしょう。

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